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情報処理

持病や既往歴が多岐に渡る高齢者医療の難しさを学習型人工知能を搭載したシステムを活用することで解決する

福岡県

芙蓉開発株式会社

2024年12月5日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 高齢者の特性に合わせた独自のロジックを持つ学習型人口知能を搭載した自動診断システムの開発
基盤技術分野 情報処理
対象となる産業分野 医療・健康・介護、情報通信
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)
キーワード 高齢者医療、診断支援AI、テーラーメイド医療、IoT、デジタルバイオマーカー
事業化状況 事業化に成功
事業実施年度 平成28年度~平成30年度

プロジェクトの詳細

事業概要

本提案では対象を高齢者に絞り、一人ひとりの体温・血圧・酸素飽和度といったバイタルの異常、観察・問診の内容、さらには既往歴から疾患の可能性を提示し診断の補助とすることが可能となる、自動鑑別診断アルゴリズムの開発を行う。その結果をフィードバックして自ら学習する学習AIを搭載することで、更に精度の高い鑑別診断を行うことが可能になる。あたかも経験豊富な医師が診断の支援をするかのように病態の判定を可能とし、高齢者医療を均一的かつ大幅に向上させる。

開発した技術のポイント

【開発技術1 バイタルスコアリング技術】
・バイタルから健康状態悪化、医療介入の必要性のリスクをスコアで表示、アラーティングする
・一般成人と異なる特性を持ち、従来法では難しかった高齢者の状態悪化の早期発見を行う
・各商品(電子カルテ・介護システム等)にカスタマイズして搭載する以外に、APIを開発し提供予定

【開発技術2 肺炎・心不全等の罹患率を出す診断サポートAI】
・上記バイタル情報に加え、症状、既往歴の情報から肺炎・心不全の罹患率を出す
・個人の過去歴より自己学習してAIの精度を上げる、データベースを構築しており、バイタルスコアリングAPIからのデータが集積してくれば各マーカーに重みづけ(機械学習)を行い更に精度が向上する

学習型人口知能を搭載した自動診断システム
具体的な成果

【1:バイタルスコアリング技術】
・効能:個体差を反映したバイタル異常検知の立証と精度の向上
・精度:バイタルスコアリング技術」を開発し、介護施設(延べ280名、2年10か月)で検証した結果、肺炎の医療介入(入院:63件)に対し、スコア合計3点にて、感度:65%、特異度:93%との結果を出した

【2:肺炎・心不全等の罹患率を出す診断サポートAI】
・効能:介護施設や病棟サイドで取得できるバイタル・症状・既往歴の情報から肺炎・心不全の罹患率を出す
・精度:介護施設で後ろ向き検証した結果、肺炎(65件)で、感度:74.86%、特異度:98.38%。心不全(9件)で、感度:88.89%、特異度:95.68%
・学習型AIの開発とデータベースの構築

個体差を反映したバイタル異常値検知の結果
知財出願や広報活動等の状況

【特許】
発明の名称:ソフトウェア、健康状態判定装置及び健康状態判定方法
出願人:芙蓉開発株式会社
出願番号:特願2018-88629

研究開発成果の利用シーン

慢性期病院や介護施設など、人材不足が顕著となる状況でバイタルデータを解析した結果より、テーラーメイドの基準域を設定し、個体差を反映したバイタル異常に加え、観察・問診の内容、さらには既往歴からその原因を探る新たな診断技術を確立し、高齢者に特化した病気の自動鑑別診断システムを開発する。このシステムにより、経験豊富な医師が診断支援を行うかのように病態の把握を可能とする。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細
APIとは

本事業で開発した「バイタルスコアリング技術」を「API」として再開発を行い、各メーカーに提供することとしている。
すでに・ 当該APIは既に電子カルテベンダー・介護ソフトベンダー・ベッドセンサーメーカー・住宅建設会社等が採用し、現在開発中、または試験運用中である。更に多数のメーカー(川下産業)から引き合いが来ており、かなり高い評価が得られている。

提携可能な製品・サービス内容

共同研究・共同開発、技術コンサルティング

製品・サービスのPRポイント

一人ひとりの体温・血圧・酸素飽和度といったバイタルの異常、観察・問診の内容、さらには既往歴から疾患の可能性を提示し診断の補助とすることが可能となる、自動鑑別診断アルゴリズムの開発を行う。その結果をフィードバックして自ら学習する学習AIを搭載することで、更に精度の高い鑑別診断を行うことが可能になる。あたかも経験豊富な医師が診断の支援をするかのように病態の判定を可能とし、高齢者医療を均一的かつ大幅に向上させる。
またバイタルや既往歴といった、データ取得が容易なものを解析して結果を出すことから、医療資源の乏しい環境下でも運用が可能となり、活用シーンには介護施設を始め、患者自宅での運用が考えられる。また慢性期病院など看護師の配置が少なくスキルの標準化が難しい環境などでも役立てることが期待できる。

今後の実用化・事業化の見通し

【【1 バイタルスコアリング技術】
既に介護システム、電子カルテ等への実装が始まっているが、カスタマイズしたものであり、今後は「API」により在宅分野への提供が行えるようにする。

【2:肺炎・心不全等の罹患率を出す診断サポートAI】
機械学習の機能を備えており、現在の制度では医療AIに対するガイドラインが発表されていないため、PMDAの審査が必要となり、有償販売は困難である。現在、モニター事業者、API利用者を通じて、肺炎・心不全患者のデータ(発病前からの経時的なデータが必要)を収集中であり、後ろ向き研究から前向き研究を行うことでエビデンスを蓄積することで、医療機器認定及び有償化を目指す。

実用化・事業化にあたっての課題

医療AIの定義について
・現在、日本医師会など「医療AI」に対する関心の高まりとともに、医療の質の担保の観点から懸念されることが多く、XAI(Explainable AI:説明可能なAI)とすべくエビデンスを集積が必要である。
・医療AIは、画像診断の補助に関するものは評価されているが、診断カルテ等のデータより解析するタイプのデータ収集型のAIはほとんどが日の目を見ない状況にある
・上記より、本提案はコアAPIやモニターから十分なエビデンスを準備してから商用化を目指さなければ、評価されない可能性が高い

事業化に向けた提携や連携の希望

すでに数社との連携が始まっているが、事業化に向けてはさらにメディカル・ヘルスケア領域のベンダーと連携する必要がある。またAI開発にあたっても他社での優れたAI開発を行っているところもあるため、それらの企業と技術提携をしていきたいと考えている。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 芙蓉開発株式会社
事業管理機関 公益財団法人九州先端科学技術研究所
研究等実施機関 国立大学法人長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科
株式会社ロジカルプロダクト
アドバイザー 医療法人 芙蓉会 筑紫南ヶ丘病院

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 芙蓉開発株式会社(法人番号:4290001019783)
事業内容 医療機器の販売、不動産業
社員数 12 名
本社所在地 〒815-0012 福岡県福岡市博多区山王1丁目10-29
ホームページ http://www.minamigaoka.jp/fuyokaihatsu/index.html
連絡先窓口 総務部 水野
メールアドレス mizuno@fuyo-group.com
電話番号 092-471-8585