表面処理
柔軟かつ軽量の布帛型太陽電池の実用化を目的とした製造工程の自動化および機械化による生産性向上!
大阪府
住江織物株式会社
2020年3月21日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 精密伸線・表面処理技術を用いた繊維型太陽電池の生産性向上及び緯糸挿入技術を用いた布帛型太陽電池製造プロセスの開発 |
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基盤技術分野 | 表面処理 |
対象となる産業分野 | ロボット、コンテンツビジネス、情報通信、スマート家電、電池、エレクトロニクス |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(小型化・軽量化)、低コスト化、デザイン性・意匠性の向上 |
キーワード | 太陽電池、有機薄膜、フレキシブル、スマートテキスタイル |
事業化状況 | 実用化間近 |
事業実施年度 | 平成28年度~平成30年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
軽量・フレキシブルかつ通気性を有する布帛型太陽電池の実用化開発を行う。この布帛型太陽電池は衣服型ウェアラブルデバイスの電源として活用が期待できるものである。布帛型太陽電池製造における基本技術は申請者が既に保有しており、今回の開発では材料の改良および製造工程の機械化・自動化によって生産性を高め低コスト化を実現し、実用化に結びつける。
開発した技術のポイント
本事業において、繊維/布帛型太陽電池の製造工程の自動化および機械化による生産性向上を実施。
これらの技術開発により繊維/布帛型太陽電池の生産効率を底上げすることができた。
繊維/布型太陽電池の性能に関して以下にスペックを記載する。
・繊維型太陽電池
変換効率: 約3.5 %
太陽光下での最大出力: 80 μW
・布帛型太陽電池
上記繊維型太陽電池を布の内部で接続するため、出力可変。
コンデンサと組み合わせることにより無線端末駆動を実証済み。
具体的な成果
・金属繊維表面のラフネス制御:繊維型太陽電池心材用の専用生産設備を導入し、繊維型太陽電池の不良原因となる表面凹凸を低減させた心材製造が可能となった。
・繊維型太陽電池作製プロセス開発:繊維型太陽電池の作製工程を機械化し、バッチ式ではあるが事業開始前と比較して5倍まで生産能力を向上させることに成功。機械化により作業者の習熟度が性能に及ぼす影響を低減させることにも繋がった。また、作製環境条件を改善し良品割合90%超を確認した。太陽電池出力向上について、ナノファイバー構造を活性層内部に導入することで正孔移動度を従来構成比4倍まで上昇させることができ、短絡電流密度の向上を確認した。
・布帛型太陽電池製織プロセス開発:布帛型太陽電池用の専用織機を開発し、従来比8倍まで製織能力を向上させることに成功した。また、布帛型太陽電池の織り組織を改良し、布帛製織と同時に結線を行える組織を見出した。結果として、目標として設定した生産能力を達成できた。
知財出願や広報活動等の状況
論文発表1件
著者: Kazuyoshi Sugino et al. 、論文名: Development of Fiber and Textile-shaped Organic Solar Cells for Smart Textiles
研究開発成果の利用シーン
繊維および布地特有のフレキシブル性を活かして、衣服型ウェアラブルデバイスに違和感なく搭載可能。ウェアラブルデバイスに内蔵したセンサを駆動させるための電源として利用することができる。
繊維型太陽電池の織り込み密度や本数を変更することで、電池出力の調整が可能。
また、有機薄膜太陽電池を採用しているため軽量。フレキシブル性も有しているため、設置場所を選ばず使用可能。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
本事業における研究開発成果である布帛型太陽電池を用いて、現段階でBLE方式の無線センサ端末の動作を行えることを確認している。また、試験運用ではあるがマイコンを動作させて小型液晶の表示切り替えを行うシステムの全電力を賄うことにも成功している。
提携可能な製品・サービス内容
加工・組立・処理、共同研究・共同開発、技術ライセンス
製品・サービスのPRポイント
繊維および布地特有のフレキシブル性を活かして、衣服型ウェアラブルデバイスに違和感なく搭載可能。ウェアラブルデバイスに内蔵したセンサを駆動させるための電源として利用することができる。
繊維型太陽電池の織り込み密度や本数を変更することで、電池出力の調整が可能。
また、有機薄膜太陽電池を採用しているため軽量。フレキシブル性も有しているため、設置場所を選ばず使用可能。
繊維型太陽電池1本で約80 μWの出力を得られ、
複数本を布の内部で接続した布帛型太陽電池は10 cm×5 cmサイズで無線端末の電源として利用可能。
今後の実用化・事業化の見通し
実用化のための生産能力強化および繊維型太陽電池の経時劣化対策について、今後追加研究を進める。
事業化に関しては、布型の電源というユニーク性を活かした新規商材を目指す。最終商品の着想を得るためウェアラブルEXPO (2020年2月)に出展予定。
実用化・事業化にあたっての課題
従来比で生産性を向上させることには成功したが、未だに市場流通可能なほどの生産能力を得られてはいない。また、有機薄膜太陽電池の欠点ともいえる長期耐久性についての解決にも至っていない。以上2点の技術課題を解決するため、今後も開発を実施していく。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 住江織物株式会社 奈良事業所 技術・生産本部テクニカルセンター |
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事業管理機関 | 住江織物株式会社 奈良事業所 技術・生産本部テクニカルセンター |
研究等実施機関 | 井上リボン工業株式会社 国立大学法人東京工業大学 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 住江織物株式会社(法人番号:3120001082312) |
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事業内容 | インテリア内装材の企画・製造・販売 |
社員数 | 260 名 |
生産拠点 | 奈良事業所(奈良県生駒郡)、滋賀事業所(滋賀県甲賀市) |
本社所在地 | 〒542-8504 大阪府大阪市中央区南船場三丁目11番20号 |
ホームページ | https://suminoe.co.jp/ |
連絡先窓口 | 技術・生産本部 テクニカルセンター 杉野和義 |
メールアドレス | Kazuyoshi_Sugino@sin.suminoe.co.jp |
電話番号 | 0743-57-5441 |
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