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接合・実装

異種金属(融点が異なるアルミと鉄など)の抵抗溶接技術とその実用スポット溶接機の開発により、自動車などへのアルミ材適用を大幅に拡大する!

群馬県

ART-HIKARI株式会社

2021年2月19日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 異種金属溶接技術とその実用スポット溶接機の研究開発
基盤技術分野 接合・実装
対象となる産業分野 環境・エネルギー、航空・宇宙、自動車、産業機械、建築物・構造物
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(小型化・軽量化)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高性能化(自動車の車体などの低重量化、高強度化)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、高効率化(生産性増加)、環境配慮、低コスト化、デザイン性・意匠性の向上
キーワード 異種金属接合、アルミと鉄の溶接、自動車軽量化、アルミの溶接、溶接継手検査
事業化状況 事業化に成功し継続的な取引が続いている
事業実施年度 平成28年度~平成30年度

プロジェクトの詳細

事業概要

環境問題が人類の課題となっている今日において、今後10年くらいで化石燃料エンジン車の販売禁止を打ち出す国が続出する。電気自動車や水素燃料自動車になれば、航続距離の長距離化が必須であり、自動車のの軽量化競争が更に熾烈化する。ハイテンの薄板化が限界になって来た今、アルミ材を骨格部分にまで適用する方向が注目されている。その技術的隘路を解決するために、「重量の増加を伴わず、従来の生産手法の延長線上にあって使いやすく、接合速度が速く、実績的にも安定した抵抗溶接」による「異種金属(鉄/アルミ)の接合技術」を開発し、ものづくりの革新をめざす。併せて、非破壊型の溶接継手の検査用センサーの実用化を追求する。

開発した技術のポイント

(1)融点が大きく違う金属2種(アルミ/鉄鋼)の接合を、使用実績が長い抵抗溶接技術を進化させ、世界的にみても初めて実用化した。これまで、実用化が達成されていない『アルミ合金と鋼材ハイテンの異種金属溶接技術』を開発した意義は大きい。
・自動車の生産に長く重用されている抵抗溶接技術を使った『異種金属用スポット溶接』を完成したので、生産方式を大幅に変更しなくても導入可能。
・抵抗溶接の特長である「接合速度が速く、重量の増加が無く、消耗品も不要」を活かし、低コストで接合可能
・FSW(摩擦抵抗溶接)やレーザー溶接などに比べ、溶接対象の固定が不要で、曲線部の溶接も可能
(2)アルミの軽量化効果とハイテンの強度保持効果を組合わせ、車体などの軽量化を実現し、燃費向上などの喫緊の課題解決に道を拓いた。
・ハイテンとアルミを適材適所で使い分け、設計・生産の自由度が向上
(3)異種金属の抵抗溶接における『溶接条件』を徹底的に洗い出しと絞り込みに成功、『異種金属用スポット溶接機』の適正な仕様作りが出来たので、製品化を効率よく達成できた。

ポータブルタイプ『異種金属用スポット溶接機』
具体的な成果
開発した溶接トランス

(1)世界初の異種金属用スポット溶接機の開発
 ・溶接トランスの小型・軽量化と応答性向上、強固化
 ・サーボモータ性能向上による加圧制御の即応性向上
 ・VVP(垂直振動加圧)機能による溶接時間の短縮
 ・スポット溶接機の堅牢化
(2)非破壊型 溶接継手(ナゲット)形状センサーの試作開発
 ・ナゲット(溶接根)検出データ解析
 ・実用化に向けて、検出データの処理技術の検討など開発を継続中。
(3)高機能シミュレーションソフト導入による試作の効率化
 ・各自動車会社向けスポット溶接機のガンをソフト上に構築
(4)溶接信頼性の確認
 ・走査型電子顕微鏡による溶接部組織解析、溶接条件の追求

ポータブル・スポット溶接機の3D-CAD図と撓みシミュレーション
答サーボモータ(右が製品用)
卓上ロボットを使ってナゲット形状センサーの検出信号収集状況
異種金属接合面における、アルミと鉄の成分比率の遷移状況
知財出願や広報活動等の状況

(1)知財出願
 ・異種金属溶接に取り組む前に、アルミ溶接技術の実用化開発などで、「サーミック・エナージー」「VVP機能」等について出芽済み。
(2)広報活動
 ・国際ロボット展(ビックサイト他)に、毎年出展しており、異種金属溶接も出品していく。
 ・館林市の自社工場にて、オープンハウス・スタイルの『技術展』をこれまでに何回も開催。700名程度の顧客が来訪。
 ・顧客(下流ユーザー)の技術相談や共同実験をいつでも受け入れる態勢を整えている。

2018年12月に開催した、オープンハウス『技術開放展』の様子
研究開発成果の利用シーン

(1)異種金属(鉄/アルミ)のスポット溶接機の実用化により、自動車の構造や部分品にアルミとハイテンの適材適所設計が可能になり、自動車の軽量化をリードする。今後シェアが急拡大する電気自動車などにおいても、軽量化と強度を両立させるアルミ材の採用は必須項目である。
(2)融点が大きく異なるアルミ(650℃)と鉄鋼材(1500℃)の抵抗溶接が可能とは誰も予想していなかった事であり、航空宇宙や機械製造などの分野でも新しい使い道が現れると考えて居る。
(3)高性能シミュレーションソフトを導入したので、各自動車メーカー毎に違う溶接ガンの軽量化設計と剛性シミュレーションによる撓み解析を実施した。メーカー8社向けの引き合いが来たときに、即設計出図が出来る態勢を整える事が出来た。この経験を活かし、各種自動化システムの開発への支援を充実して行きたい。

各自動車メーカー向けのスポット溶接ガンのシェル要素モデル、ソリッド要素モデル化

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

各自動車メーカーの開発試作部門で採用検討が進み、車体構造などを『アルミ材とハイテン鋼材との溶接接合』で軽量化するテストが、試作開発したスポット溶接機を用いて進行している。事例を挙げると、A社は、実車に試験適用し、破壊・強度試験や衝突実験を実施。B社は、ロボット搭載にて『アルミ材とハイテン鋼材』の溶接条件を確認中。C社は、モデル溶接機2台を導入し、あらゆる部位に適用が可能かチェック中。D社は、研究所において、超軽量・超強度モデル車の試作に採用、テスト中。

提携可能な製品・サービス内容

加工・組立・処理、製品製造、試験・分析・評価、技術コンサルティング

製品・サービスのPRポイント

(1)EV車など向けに軽量化が必須の自動車業界に、アルミ採用への課題をすべて解決する溶接技術を確立できた。 ・これまで自動車の生産ラインで重用されて来たスポット溶接機のレベルアップであり、生産ラインの変更が比較的軽微で済む ・抵抗溶接なので、重量の増加が無く、接合(溶接)速度も速い。溶接対象の精度が多少悪くても、また曲線部分でも接合が可能 ・他の接合方式などに比べ、抵抗溶接は低コスト。またスパッタ除けやシールドガス、有害光線防護が不要。溶接時の消耗品(溶接ワイヤー等)も不要。(2)川下ユーザーのニーズへの柔軟な態勢 ・『抵抗スポット溶接機』『抵抗シーム溶接機』のシリーズ化により、スポット(点)溶接からシーム(連続した線)溶接まで対応が可能 ・溶接機の形状も、『定置型』『ポータブル』『ロボット搭載型』など、柔軟に対応できる。 ・鋼材・ハイテン・アルミ・異種金属など、溶接材料を選ばない品揃えが充実。

今後の実用化・事業化の見通し

・自動車業界に関しては、例えば『ルーフと側面におけるアルミとハイテンのリベット等の機械的接合から異種金属溶接による接合に変える等』の改良を売り込む。現在数社から、様々な内容の試作テストのサポート依頼が来ているが、実験に全面的に協力し、溶接条件などのアドバイスも実施中。これらの更なる展開を進めるて行く。
・自動車メーカーへの売り込みには、ティア1(自動車会社へ直接納入する業者)に採用して貰うことが効率的な販路開拓になることが分かって来たので、ティア1・ティア2業者へと採用・販途の深耕を進める。
・産業機械・建築構造物・電池・航空宇宙などに対しても、例えば、鋼材やステンレスを使用している構造物や製品の一部をアルミに置き換えて軽量化を達成するなど、応用をPRしていく。

各自動車メーカー向け『異種金属用スポット溶接機』の加圧に対する応力解析例
実用化・事業化にあたっての課題

 カーメーカー等への実験サポート・共同試験アテンド(世話)態勢のさらなる充実。

事業化に向けた提携や連携の希望

・現状では、自動車メーカー向けに、スポット溶接機や溶接電源の量産を得意とする某ティア1業者に、溶接トランスや電源装置のライセンス供与を実施している、また別のティア1業者と、溶接ガンで連携し、コストダウンを図っている。
・弊社は技術開発型の企業であり、開発した技術や製品が自動車業界などに広く採用されるには、ティア1やティア2業界の深耕が必要と認識している。こうした業界情報の入手に支援が欲しい。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 ART-HIKARI株式会社 舘林本社(技術部)、東京営業所
事業管理機関 ART-HIKARI株式会社 舘林本社(技術部)、東京営業所(社長室)
研究等実施機関 国立大学法人東京工業大学 科学技術創成研究院 先導原子力研究所
群馬県立群馬産業技術センター 金属材料係
アドバイザー ・株式会社本田技術研究所 管理室 試作ブロック 完成車試作グループ   技術員 古舘 孝次 ・三菱自動車工業株式会社 生産技術本部 ボデー生産技術部    エキスパ-ト 藤井 康司

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 ART-HIKARI株式会社(法人番号:4070001024351)
事業内容 溶接機械、溶接機要素機器の製造
社員数 17 名
生産拠点 舘林本社・工場  群馬県館林市大谷町2918番地
本社所在地 〒374-0054 群馬県館林市大谷町2918番地
ホームページ https://www.art-hikari.com.jp
連絡先窓口 舘林本社 副社長 吉川誠也
メールアドレス yoshikawa@art-hikari.co.jp
電話番号 0276-71-1180