精密加工
5層連続一体成形加工により密着性と寸法精度を向上した食品製造業界向け高機能樹脂ホース
富山県
株式会社トヨックス
2020年4月20日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 任意切断面の寸法が安定な、食品製造業界向け耐熱機能性ホースの精密一体成形技術の確立 |
---|---|
基盤技術分野 | 精密加工 |
対象となる産業分野 | 産業機械、食品、工作機械 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高性能化(小型化・軽量化)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高性能化(精度向上)、高効率化(工程短縮)、高効率化(人件費削減)、高効率化(生産性増加)、環境配慮、低コスト化 |
キーワード | 食品安全、安全安心配管、省エネ流体移送、省施工配管、耐震配管 |
事業化状況 | 事業化に成功し継続的な取引が続いている |
事業実施年度 | 平成26年度~平成28年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
食品製造業界向け機能性(高温度で曲げても折れにくく、柔軟性が高い機能性)樹脂ホースの精密一体成形を研究開発することにより、任意切断面の寸法を高精度で安定的に保証する(何処を切っても金太郎飴)ことで、川下ニーズのホース配管継手部からの漏れ・抜けのトラブル防止、リスク排除に貢献する
開発した技術のポイント
樹脂ホースを5層連続一体成形加工することで密着性を高め、寸法精度を向上させることにより、高精度寸法を保証する高機能化を達成する
(新技術)
・押出機の低水温温調制御による加硫制御技術
・寸法・肉厚自動制御技術
・柔らかいホース上に一定張力でコイルを巻きつけるためのボビン回転トルク制御技術
・2工程の複合一体成形化
(新技術の特徴)
複合化された高機能性を有するフレキシブルなホースにおいて、全ての切断面で寸法高精度を保証できる。
具体的な成果
・押出機シリンダーの低水温による一定温調制御は、±3℃範囲で可能となり、シリコーン樹脂の加硫状態をコントロールすることができ、外径寸法の変動も緩和して品質を安定化した
・GP(ギアーポンプ)の入口樹脂圧を一定に制御することで吐出量が安定し、さらに外径測定器の情報もGPの回転にフィードバック制御することで、チューブ外径公差が±0.2mmまで環境の変化に左右されず収束できた
・新規NTS(編構造:ノートーションシステム)を編目ピッチ測定器と連動させて、ピッチ1個単位で基準値に自動補正できるようにしたことで、連続でNTSピッチ公差±0.1mmを達成した
・ホースに一定張力で線材を巻くため、ボビン回転補助モータの取付、線材の減少に追随できる制御ソフトの改善により、コイルピッチのバラツキは±0.25mmに収まり、曲げR190mm以下を実現し、ホース内面も平滑になった
・2工程を連結して5層一体成形ラインでの試作を実施し、インラインエックス線測定装置で基本性能を検証した
知財出願や広報活動等の状況
広報活動としては、毎年国内外の国際食品工業展・機械要素技術展・インターフェックス・化粧品要素展・国際工作機械展などの展示会に出展している。
知材においては、本製品の意匠・特許は既に取得している。
シリコーン商品群(ホースと接続金具)として、国内外にすでに登録されている特許の件数は18件、特に当該技術対象商品名と登録番号は以下になる。
・トヨシリコーンホース:特許第4649630号(平成22年12月24日、登録)
・ハイブリッドトヨシリコーンホース:特許第5028558号(平成24年7月6日、登録)
・トヨシリコーンSホース:特許第5028558号(線材材質が上記と異種、ステンレス)
研究開発成果の利用シーン
本事業で研究開発した高精度の耐熱機能ホースは、食品業界においては、高温でも漏れなく安全に消毒作業が簡単にできる利点がある。また、食品充填設備においては、ホースが折れにくいため狭いところに可動配管ができ、流体の圧力損失も少なく、コンパクトな設備設計が可能となる。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
当該商品は既に事業化されており、本年度目標とした全社売上げ構成比の4%を達成する見込みである。
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、加工・組立・処理、製品製造、共同研究・共同開発
製品・サービスのPRポイント
・自動精密加工
‐製品が基準寸法の±0.2mm公差内で自動連続加工
‐金具と精密に連結でき、抜け・漏れを防止
‐補強材編上げ(巻付け)の精密加工で、曲げ、耐圧、内圧による外形変化を改善
・任意切断面での寸法保障
‐一体成形ラインでX線測定装置による連続内外径測定ができ、任意切断面での寸法保証可能
今後の実用化・事業化の見通し
本事業で高度化された設備・加工技術は、更なる高機能性を保有する商品開発にノウハウを活用して、食品以外の他の業界へ安全・安心樹脂配管による改善活動に役立てる。流通は、全国(東京・大阪・名古屋)の代理店を通じた各販売店への物流形態を取るが、見本市出展でのキーマンコンタクトや、エンドユーザーからの困りごと相談をフリーダイヤルから情報を直接入手し、ホースドクターカー(15台)で訪問(15000社実績)、改善を提案する実演技術営業(200名)により、流通販売店へ注文が入るようなビジネスモデルを更に展開強化していく。
実用化・事業化にあたっての課題
本来自社の目指すのは「安全安心ホース配管事業」である。それは配管継手とホースの精度を近似化することで、誰が配管しても不具合が発生しない作業標準化ができ、省エネ・省施工・耐震性など時代のニーズに適応させて社会貢献に寄与するためでもある。これを事業化するには、川下企業と連携して「物売り」から「事売り」の事業マネジメントが重要な課題と考えている。
事業化に向けた提携や連携の希望
あらゆる配管において樹脂ホースを選択するのは非常にリスクがある。それは温度・圧力に限度があるからだ。鋼管配管においては、このリスクが少ないのは事実だが、過剰品質の分野があるのも事実だ。この選択判断を支援するのが弊社の責務と感じる。なぜなら、省エネ・省施工・耐震などを優位に評価できるからです。この情報を設計・設備開発者にPRできる提携ができれば幸いと考える。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社トヨックス |
---|---|
事業管理機関 | 公益財団法人富山県新世紀産業機構 株式会社トヨックス 生産技術部 宇奈月工場 |
研究等実施機関 | 株式会社トヨックス 生産技術部 前佛 洋平 富山県産業技術研究開発センター 株式会社中西電気 配電盤事業部 宮島 義男 |
アドバイザー | 新潟大学(山内 健) 澁谷工業株式会社(谷川勝則) |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社トヨックス(法人番号:1230001007383) |
---|---|
事業内容 | 耐圧樹脂ホース・専用継手の開発・製造・販売、輻射空調の開発・販売、OA機器、ソフトウェアの企画・販売 |
社員数 | 300 名 |
生産拠点 | 株式会社トヨックス宇奈月工場 |
本社所在地 | 〒938-8585 富山県黒部市前沢4371 |
ホームページ | https://www.toyox.co.jp/ |
連絡先窓口 | 生産技術部 前佛 洋平 |
メールアドレス | zembutsu@toyox.co.jp |
電話番号 | 0765-54-2317 |
研究開発された技術を探す