精密加工
大幅なウエハ価格のコストダウンを図る樹脂コーティングワイヤーを用いたSiCウエハの鏡面スライシング加工
奈良県
株式会社タカトリ
2020年4月12日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 樹脂コーティングワイヤーを用いたSiCウエハの鏡面スライシング加工技術の開発 |
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基盤技術分野 | 精密加工 |
対象となる産業分野 | 半導体 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(精度向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(生産性増加) |
キーワード | 切削加工、SiC、鏡面加工、サファイア |
事業化状況 | 事業化に成功 |
事業実施年度 | 平成25年度~平成27年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
SICは、パワー半導体や高輝度LEDの基板材料としてニーズが高まっているが、ウエハコストが高く、普及していない。現在、SICのスライシング加工は、ブラスメッキワイヤーやダイヤモンドワイヤーが使われており、加工時間や材料ロスが、コスト高の原因となっている。そこで、樹脂コーティングワイヤーを用いた鏡面スライシング加工技術を確立し、ウエハの薄厚化、後工程の時間短縮など、大幅なコストダウンを目指す
開発した技術のポイント
樹脂コーティングワイヤーを用いた鏡面スライシング加工技術を確立およびその加工に特化した量産機の開発
(新技術)
配管径を見直しにより細い径の配管で表面積を増やし、少ない加工液の量での温度制御を可能にした
(新技術の特徴)
加工液が少ないと温度変化は大きくなるが、配管を工夫することでランニングコスト低減効果が期待できる
具体的な成果
・樹脂コートワイヤーでのSiCの延性モード加工
・切断条件および部材の最適化
・ワイヤー断線リスクに対する知見
・加工液タンクの小型化技術
・加工中の装置の動的挙動を把握する技術
・流体解析ソフトにより加工液ノズルの形状検証技術
・高線速でのハンドリングが可能な量産機の開発
研究開発成果の利用シーン
・細線ハンドリングにより、材料ロスを低減する。
・高線速・高張力による高速切削加工技術により、加工時間を短縮する。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
従来不可能と思われていたSiCの延性研削モード加工に成功し、マルチワイヤーソー(機種名:MWS-612DNX)を開発した。
しかし、反りや厚みのばらつきが、既存のブラスメッキや、ダイヤワイヤー加工と比較して、安定していないことから、加工精度の向上のため、補完研究を実施中である。
提携可能な製品・サービス内容
製品製造
製品・サービスのPRポイント
・鏡面スライシング加工による、後工程の短縮。
・細線ワイヤーでのカーフロス低減
・高線速・高張力でのワイヤーハンドリングが可能なため、加工時間を短縮と、材料ロスを低減する。
SiC以外の高価な結晶材料の低コスト化に対しても貢献が可能。
今後の実用化・事業化の見通し
・本研究の成果を導入したマルチワイヤーソーを販売することで事業化を行う
・本技術の他分野への応用展開の可能性も探索する
・大学など学術機関との共同研究や自社で継続的に装置使用することで顧客ニーズを開拓する
・グローバルニッチトップ企業の地位を堅持するため、SiCウエハ価格低減に貢献出来るようこの分野への投資を続けていく
SiCを使用したパワー半導体市場は、EV車載分野の牽引により、今後も成長が見込まれる。引き続き、パワー半導体市場に対するアプローチと、加工精度の向上の為、補完研究を実施する。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社タカトリ |
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事業管理機関 | 株式会社タカトリ |
研究等実施機関 | 学校法人金沢工業大学 奈良県産業振興総合センター |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社タカトリ(法人番号:2150001010683) |
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事業内容 | 半導体・液晶製造装置、マルチワイヤーソー、繊維機械の開発、設計、製造、販売、サービス |
社員数 | 212 名 |
本社所在地 | 〒634-8580 奈良県橿原市新堂町313-1 |
ホームページ | http://www.takatori-g.co.jp/ |
連絡先窓口 | 新素材加工機器事業部 植村 奈保樹 |
メールアドレス | naoki.uemura@takatori-g.co.jp |
電話番号 | 0744-24-8371 |
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