接合・実装
使い捨てマイクロ流路チップを用いたセルソーターにより、創薬・再生医療の研究が低コストで飛躍的に進展
東京都
株式会社オンチップ・バイオテクノロジーズ
2021年2月19日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | バイオハザード対応・無菌・ダメージレス・マイクロ流路チップ・セルソーターの開発 |
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基盤技術分野 | 接合・実装 |
対象となる産業分野 | 医療・健康・介護 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(信頼性・安全性向上) |
キーワード | 細胞解析、フローサイトメーター、セルソーター |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中 |
事業実施年度 | 平成23年度~平成23年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
申請者らは、世界初となるマイクロ流路チップを用いたセルソーターの原理試作に成功した。これは従来機と異なり、目的細胞を無菌・ダメージレスに分離できる唯一の細胞解析・分離機である。本機をベースによりバイオハザード対策を強化し、操作性の改善、消耗品等の低コスト化などを行い「小型・高機能化」を実現し、世界市場と医療展開も可能な競争力のある装置として完成させる。
開発した技術のポイント
使い捨てマイクロ流路チップ内での細胞分離を行う方式により、医療・バイオテクノロジー分野のニーズに最適で、医療用途に展開可能な小型、簡単操作、バイオハザード対応のセルソーターを開発する
(新技術)
1.交換型のマイクロ流路チップ内で空気圧制御のパルス流で細胞を分離する
2.バイオハザード対応を容易とするため装置本体と制御PC間をワイヤレス化
(新技術の特徴)
1.コンタミが発生せず、ダメージフリーで細胞を解析分離できる。
2.小型でワイヤレスに操作が簡単
具体的な成果
本プロジェクトで実施した以下の開発成果を活用し、マイクロ流路チップ型のセルソーター“On-chip Sort”を製品化している。
①電子部品・デバイスの実装技術によるワイアレス制御セルソーター開発
1)小型装置のままでの細胞識別能力向上 (蛍光6色検出)
2)分離速度向上の為の高速演算処理ボード開発 (1000event/sec)
3)本体と制御PC間のワイアレス制御 (未実装)
②組み込みソフトウェア技術による操作性向上 (実装)
③射出成型技術によるマイクロ流路チップ原価削減 (実装)
知財出願や広報活動等の状況
本プロジェクトの開始前に、必要な特許は出願済。現在までに国内外でそれらの特許は成立している。
上記の“On-chip Sort”を用いた論文は以下に記載。
https://www.on-chip.co.jp/publication/
研究開発成果の利用シーン
1. セルソーターは 数百万個の細胞を1つずつ解析し、必要な細胞を分離回収できる装置で、細胞を用いる生命科学の研究において汎用されている装置である。
2. 一方、セルソーターがもたらす細胞ダメージが “Sorter Induced Cellular Stress (SICS)” として課題となって来ている。
3. 本プロジェクトでは、従来のセルソーターとは異なり、マイクロ流路チップ上で細胞を解析分離し、かつ、装置本体と、制御PC間をワイヤレスとした装置を試作開発した。
4. このワイヤレス化によって、バイオハザードサンプルや、無菌性を確保しての細胞解析・分離が容易となる。
5. この利用シーンは、ダメージなく細胞を分離し、かつ、臨床サンプルや、無菌性を確保した細胞精製が求められる用途である。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
当社が開発したマイクロ流路チップ型のセルソーターをベースに本プロジェクトでは以下の開発を行った。
・電子部品・デバイスの実装技術によるワイヤレス制御セルソーターを開発した
・組み込みソフトウェア技術により、操作性を向上した
・アプリケーションを開発し、神経細胞や幹細胞の解析/分離を行った
提携可能な製品・サービス内容
試験・分析・評価、共同研究・共同開発
製品・サービスのPRポイント
・セルソーターとは、複数の種類の細胞が入ったサンプルから特定の細胞だけを分離する装置である
・従来のセルソーターのその分離のメカニズムは細胞に高圧を掛け、液滴形成、荷電、液面への衝突などがあるため、細胞にダメージをもたらす分離方法で、かつ複雑な分離機構のため、操作に習熟が必要で、無菌的な細胞分離も困難な装置であった
・交換型のマイクロ流路チップ内でパルス流で細胞の動きを制御する細胞分離方法を採用することにより、以下の特長を有する小型のセルソーターが実現し製品化している。
1. ダメージなく細胞を分離
2. 無菌的、コンタミネーション・フリーで分離可能
3. 細胞塊、オイル中のエマルションも解析・分離
4. サンプルの再解析・再分離が可能
5. 小型、簡単操作
(ただし、本プロジェクトの目的であった装置本体と、制御PC間をワイヤレス化は実現できていない。)
今後の実用化・事業化の見通し
個々の細胞について取得できる情報(細胞識別能力)は前方散乱光、側方散乱光、蛍光6色で、これを1000個/秒で解析し、分離する。取得される情報量、それを高速・リアルタイムで処理しなければならないため、装置本体と制御PC間のワイヤレス化は実現できていない。
ワイヤレス化されていない装置は、上記の通り、製品化している。
実用化・事業化にあたっての課題
細胞識別能力の向上と細胞処理速度の向上に伴い、装置本体と制御PC間でやりする情報量が増大し、かつそれを1/1000秒以下で処理しなければならず、ワイヤレス化は実現できていない。より大容量の情報を高速かつ低負荷で通信できる最新ワイヤレス技術の実装が必要である。
事業化に向けた提携や連携の希望
高速かつ低負荷で通信できる最新ワイヤレス技術
本セルソーターを用いたアプリケーションの共同開発
本セルソーターに用いる試薬や、本セルソーターの医療機器化の開発パートナー
当社の無菌・ダメージフリー細胞分離技術を用いた細胞加⼯・選別・培養装置の開発パートナー
本セルソーターの海外での販売・マーケティングのパートナー
上記の開発資金を提供する投資家
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社オンチップ・バイオテクノロジーズ |
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事業管理機関 | 株式会社オンチップ・バイオテクノロジーズ |
研究等実施機関 | 株式会社AUC 日本獣医生命科学大学 国立大学法人京都大学 学校法人片柳学園 東京工科大学 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社オンチップ・バイオテクノロジーズ(法人番号:0124-01-018678) |
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事業内容 | マイクロ流路チップ型のフローサイトメーター(細胞解析装置)、セルソーター(細胞分離装置)の開発・製造・販売 |
社員数 | 19 名 |
生産拠点 | 生産は外注で行うファブレス企業である。 |
本社所在地 | 〒184-0012 東京都小金井市中町2-24-16 農工大・多摩小金井ベンチャーポート203 |
ホームページ | https://www.on-chip.co.jp |
連絡先窓口 | 小林雅之 |
メールアドレス | info@on-chip.co.jp |
電話番号 | 042-385-0461 |
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