研究開発された技術紹介

近年、歯の治療では複合プラスチック材料のコンポジットレジンが使用されるが、医療現場からは破折しやすく、また天然歯との界面で虫歯になりやすいという問題が指摘されていることから、３種の異質なポリマーをフッ素含有フィラーにコーティングする独自技術により複合化し、高強度と歯を強化するフッ化物イオンの持続的放出を達成する材料を開発する。

フッ素徐放性と十分な強度・耐久性を両立した歯科充填用コンポジットレジンを開発する
(新技術)
独自の3層コーティング法とフッ素含有フィラーの粒子径等の最適化を行う
(新技術の特徴)
・フッ化物イオンの放出と高強度の両立が実現する
・フッ化物イオンにより虫歯菌付着抑制効果が期待される

・新規コンポジットレジンの試作開発
-コーティングする酸性ポリマーの種類・コーティング方法、ならびにフッ素含有フィラーの粒子径・形状を最適化し、フッ化物イオンの放出と高強度の両立を実現した
-管理医療機器クラスⅡに該当する材料として、市販品と同等の安全性を確認した
-フッ化物イオンにより、付着した菌の増殖を抑えることを確認した

・各種コーティングモノマーの合成、高純度化

特許5659346「歯科用フィラーおよび歯科用組成物」

・2次う触を抑制するためのフッ化物イオン放出し、かつレジンの破折のリスクの低減や適用範囲の拡大のための高強度・高耐久性を両立する複合材料
・無機フィラーの表面処理、コーティング、複合化
・各種モノマーの合成、高純度化
・生体安全性のスクリーニング評価

フッ素イオンを長期的に放出しながらも、強度が低下しないようにフッ素を含むフィラーを3層コーティングする特殊な技術であり、この技術により既存品にはないフッ素放出性と耐久性が得られた試作品が完成している。
コーティングする機能性モノマーの新規合成およびフィラー配合プロセスを検討し、量産化、プロセスの安定化などの技術課題に向けた補完研究を実施中。

・患者負担を小さくする歯科治療の実現による市場拡大
-フッ化物イオンの放出と高強度を両立した樹脂により、2次う触を抑制し、適用範囲が広い革新的歯科治療の可能性の拡大が期待される
-患者負担を低減し、高い研磨性と高強度、高耐久性の達成により患者の満足度を高めることによって、ユーザーが増大、対象市場規模が拡大する

・各種評価プロセスの確立
-フィラーおよびレジン物性の評価方法や、安全性評価のための細胞毒性、プラーク付着および増殖状況の評価方法を確立することにより、材料の新機能創出につながる

量産化、プロセスの安定化などの技術課題に向けた補完研究中