バイオ
バイオマスからのD-乳酸製造技術の開発を通じて、バイオマスプラスチックの低コスト化と機能強化を実現
兵庫県
Bio-energy株式会社
2020年4月12日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 未利用バイオマスからのD-乳酸の高効率生産技術の開発と樹脂製造への展開 |
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基盤技術分野 | バイオ |
対象となる産業分野 | 環境・エネルギー、化学品製造 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上) |
キーワード | ポリ乳酸、乳酸発酵、玄米、バイオプラスチック、微生物 |
事業化状況 | 研究実施中 |
事業実施年度 | 平成23年度~平成25年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
環境対応に向けた未利用バイオマス等の高度利用や発酵・精製工程等の効率化・高精度化へのニーズを解決するために、D-乳酸の高効率製造技術を開発し、バイオプラスチックの製造に展開する。発酵プロセスと重合プロセスを一貫させた製造技術を開発することで、ポリD-乳酸と分岐状ポリ乳酸の大幅な製造コスト低減と製造プロセスの省エネを達成し、その実用化によりバイオプラスチックの普及に貢献する
開発した技術のポイント
低いコストで、未利用バイオマスからD-乳酸発酵ならびにポリD-乳酸製造を行う
(新技術)
バイオマスからのD-乳酸の製造を可能にする技術を開発する
(新技術の特徴)
・D-乳酸の低コスト生産が可能になる
・L-乳酸とD-乳酸の混合によりポリ乳酸の耐熱性向上を実現できる
・未利用米などの工業原料をバイオマスとして使用できる
・D-乳酸とL-乳酸のいずれでも、高光学純度で選択して生産できる
具体的な成果
・未利用バイオマス(とくに玄米)からの効率的D-乳酸発酵プロセスの開発
・発酵液からのD-乳酸オリゴマー化条件の最適化
・ポリD-乳酸の合成
・分岐状ポリD-乳酸の合成
・D-乳酸オリゴマーおよび分岐状ポリD-乳酸製造(スケールアップ、評価試験)
知財出願や広報活動等の状況
・日本経済新聞2019年1月21日「日本経済脱プラ担うニッチ素材」
・日本経済新聞2015年5月5日「捨てるコメから強度の高い樹脂」
・バイオマスからの光学活性乳酸の収率および選択性を向上させる発酵プロセスのPCT出願(PCT/JP2014/079030)
・Biotechnol. J., 13(5), Article number 1700517 (2018)
・Appl. Microbiol. Biotechnol., 101, 1869–1875 (2017)
・Bioresour. Technol., 187, 167–172 (2015)
研究開発成果の利用シーン
・バイオマス由来の安価なD-乳酸の製造と利用
・上記のD-乳酸を活用した耐熱性の向上したポリ乳酸の製造と利用
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
・未利用バイオマスからの安価なD-乳酸製造技術として、発酵プロセスにおいては当初の目標を上回る成果を上げ、さらに分岐状バイオポリマーを使用してポリ乳酸の物性・機能を向上させるなど、D-乳酸系ポリマーの新たな展開を示すことができた
・スケールアップ等によって技術価値を高めるとともにサンプルを提供する体制づくりを進めており、共同事業者やライセンス希望会社を探索していくことで事業化を図ることを計画している
提携可能な製品・サービス内容
共同研究・共同開発、技術ライセンス
製品・サービスのPRポイント
・D-乳酸の低コスト化を実現し、機能を強化したポリ乳酸の提供へと貢献
-バイオマスからD-乳酸とL-乳酸を選択的に生産できるようになったことで、従来は高価だった高光学活性乳酸を安価に提供するとともに、耐熱性を向上させたポリ乳酸を提供できるようになった
-耐熱性が足りないがためにバイオマスプラスチックを利用できなかった用途にもバイオマスプラスチックを利用できるようになり、既存市場における優位性の確保につながる
・バイオマスプラスチックの活用によるイメージアップへと貢献
-石油系樹脂の将来的な枯渇や原料費の高騰等を視野に入れると、バイオマスプラスチックの市場は今後より拡大することが予想されるとともに、環境負荷が小さいことから企業イメージ等の向上へと寄与する
今後の実用化・事業化の見通し
・未利用バイオマスから安価に高光学活性なD-乳酸およびL-乳酸を製造する技術を、植物由来樹脂の用途拡大へと展開することで、地球温暖化の防止とプラスチック産業の発展に貢献することが期待される
・事業のアウトプットは、ポリ乳酸をはじめとする植物由来樹脂の品質向上による現汎用樹脂の置き換えであるため、ポリマー部材化に対する需要の伸びに応じて、低コスト・高品質なD-乳酸・L-乳酸の製造技術の普及を図れる可能性が大きい
実用化・事業化にあたっての課題
バイオマス原料の確保とパートナー企業の選定が必須となる。製品となるプラスチック素材によっては量的依存性が高く事業化障壁が大きいものもあり、技術開発以外にサプライチェーン全体で最適化を試行する必要がある。
事業化に向けた提携や連携の希望
バイオマス原料の確保と大量製造におけるパートナー企業との連携
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | Bio-energy株式会社 |
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事業管理機関 | 特定非営利活動法人近畿バイオインダストリー振興会議 |
研究等実施機関 | 国立大学法人大阪大学 |
アドバイザー | バイオベース株式会社、帝人株式会社、株式会社カネカ |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | Bio-energy株式会社(法人番号:1140001052348) |
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事業内容 | バイオマスを有用物質へ変換するシステムの研究開発と提供 |
社員数 | 6 名 |
本社所在地 | 〒660-0053 兵庫県尼崎市南七松町2-9-7 |
ホームページ | http://www.kce.co.jp/bioenergy/index.htm |
連絡先窓口 | R&D研究所 主席研究員兼部長 濵真司 |
メールアドレス | hama@bio-energy.jp |
電話番号 | 06-6418-0810 |
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