製造環境
AOVに代わる電気二重層キャパシタ内蔵電動高速開閉弁(新型ECV)の開発によって、MOCVD装置の利便性と性能の向上が可能に
大阪府
株式会社フジキン
2020年4月14日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | MOCVD装置における革新的ガス供給システムの実証研究 |
---|---|
基盤技術分野 | 製造環境 |
対象となる産業分野 | 半導体 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(小型化・軽量化)、低コスト化 |
キーワード | 高速開閉、小型化 |
事業化状況 | 事業化に成功 |
事業実施年度 | 平成23年度~平成25年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
化合物半導体デバイスの薄膜形成において、生産装置の最適による高性能化を実現させるために、製造プロセスの中核となる真空チャンバ内における結晶成長を極限まで正確に制御することが求められている。このためには、正確なタイミングで供給するバルブ制御技術の革新が不可欠であり、今回の研究開発により、現状よりも10~20倍高速での開閉を可能とする電子式作動バルブを含む革新的ガス供給システムの開発を行う
開発した技術のポイント
MOCVD装置において最適となる電動高速開閉弁(ECV)の製品化を目指す
(新技術)
電気二重層キャパシタを用いてECVの電源部分を小型化し、ECV本体への内蔵を可能とする
(新技術の特徴)
小型化した専用電源をECV本体に内蔵することで、省スペース化、省配線化に加え、コスト削減が可能となる
具体的な成果
・高出力ソレノイドの研究開発
・電気制御基板の研究開発
・機械加工部品の製作
・高出力ソレノイド及び新型ECVの性能評価
・模擬配管系の製作
・ラン/ベント方式によるガス切替評価
・従来技術(ガス切替用バルブにAOVを使用した従来のガス供給系)によるプロセス試験
・新技術(ガス切替バルブに「新型ECV」を使用した新しいガス供給系)によるプロセス試験
知財出願や広報活動等の状況
特許登録番号:第3764598、名称:ソレノイド駆動式金属ダイヤフラム型開閉制御弁
【ECV®のバルブ本体の構造に関する基本特許】
特許登録番号:第5395060、名称:ソレノイドバルブ
【新型ECV®の基本特許。ソレノイドバルブを駆動するための専用電源の小型化による省スペース化及び小型化した専用電源をソレノイドバルブに内蔵・配線抵抗を小さくし、コスト削減を図ることが目的
新聞記事への掲載2014.05.30付け日刊工業新聞(朝刊)に『フジキン小型機投入 高速応答の電動バルブ』との記事で取り上げられた。
研究開発成果の利用シーン
開発した電気二重層キャパシタ内蔵技術により、電動弁(新型ECV)製品の開閉性能を高速化することができる。ガスの高速切り替えやガスのパルス供給といったシーンでの利活用が可能である。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
・サポイン期間の研究開発を通じて全ての研究開発目標を100%達成した
・開発成果品は、既存のラン/ベント方式のユーザであるMOCVD装置メーカに単体出荷を行い、装置のエンドユーザ向けには、従来方式からの置き換え需要を狙っていく
・今回、大阪大学での実証試験から得られた知見により、「新型ECV」の効果をアピールすることが可能であり、サンプル出荷を促進すると考えている
提携可能な製品・サービス内容
製品製造
製品・サービスのPRポイント
新型ECVによりMOCVD装置の省スペース化をもたらし、MOCVD装置の利便性と機能強化に貢献
・従来のECVと比較して、新型ECVは電気二重層キャパシタを用いた専用電源を小型化しており、専用電源をECV本体に内蔵することを可能にした
・装置の省スペース化、省配線化を実現したことで、利用に伴う利便性を向上させた製品の提供が可能になる
・また、新型ECVは、AOVでは困難であり従来型のECVでは大型システムを必要としていた高速応答での開閉動作を、小型システムによって可能にした
・MOCVD装置の性能向上をもたらしたことによって、既存のMOCVD装置と比較して訴求ポイントが増え、将来的な置き換え需要への対応が可能である
今後の実用化・事業化の見通し
・MOCVD装置のラン/ベント方式の更なる改良にとどまらず、その上流側に存在する液体材料の気化系に、株式会社フジキンのコア技術である「自動圧力制御技術」や「圧力制御式流量コントロール技術」等を活用することにより、システム全体の安定性、再現性、信頼性の大幅な向上を目指す
・追加研究開発された成果は、株式会社フジキンのソリューションの一環として、化合物半導体製造装置メーカに提案、販売していく予定である
実用化・事業化にあたっての課題
事業化には成功しましたが、本製品の市場価格に合った部品、生産コストの引き下げが必要です。部材の調達、コストの見直しを実施していますが、特殊な部材のコスト低減が困難な状況です。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社フジキン |
---|---|
事業管理機関 | 一般財団法人金属系材料研究開発センター |
研究等実施機関 | 株式会社貴望工業 東阪エンジニアリング株式会社 国立大学法人大阪大学 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社フジキン(法人番号:5120001046991) |
---|---|
事業内容 | 特殊バルブ機器類、超精密ながれ(流体)制御システムの製造、販売 |
社員数 | 911 名 |
本社所在地 | 〒550-0012 大阪府大阪市西区立売堀2-3-2 |
ホームページ | http://www.fujikin.co.jp |
連絡先窓口 | 平田薫 |
メールアドレス | k-hirata@fujikin.co.jp |
電話番号 | 06-6612-0251 |
研究開発された技術を探す