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製造環境

自己洗浄能力を有し酸素・水分混入を極限まで低減させたグローブボックス

茨城県

株式会社ヨシダ

2022年2月2日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 自己洗浄能力を有する高機能次世代グローブボックスの開発
基盤技術分野 製造環境
対象となる産業分野 医療・健康・介護、環境・エネルギー、電池、工作機械
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(生産性増加)、環境配慮、低コスト化
キーワード 高機能グローブボックス、サイクロン型エアレーション、金属積層技術、水分濃度のリアルタイムモニター、粉末材料の回収・再利用
事業化状況 実用化に成功し事業化間近
事業実施年度 平成30年度~令和2年度

プロジェクトの詳細

事業概要

従来の金属積層技術では、粉末材料の酸化や粉塵爆発の危険性があるため、マグネシウムやチタニウムなどの粉体の取り扱いが困難で、利用範囲が限られている。株式会社ヨシダが培った放射性物質用グローブボックスの閉じ込め・隔離・回収技術と、産総研の3Dプリンタ及び粉体製造技術を活用し、現在50μm程度に限られている粉体を20μm程度にする高機能な「自己洗浄能力を有する超精密雰囲気制御型グローブボックスの開発」を目指す。

開発した技術のポイント

・容器内壁の金属微粉末の付着抑制手法の開発
-グローブボックス内壁への金属粉末の付着抑制を図るため、粉末付着層のはく離性および付着抑制に効果的な表面処理法とその加工条件を明らかに した。
・グローブボックス内壁に付着した粉末のはく離および安全に粉末を回収する技術
-近年開発されたスノードライアイスブラスト法は、高い付着粉末除去能力を有しており、メンテナンスの効率化や未使用金属粉末の回収・再利用にもつながるものである。どのような流速で、どのような方向から、どういったサイズのドライアイスを噴射させるかなど、付着粉末除去に最も効果的な洗浄処理条件を明らかにした。
・グローブボックス内環境の最適化とそれを可能とするリアルタイムの計測システム
-容器内への酸素・水分の混入場所の同定と対策
*リークレート0.00001Vol%/hrを達成するため、ハロゲンリークテストを用いて混入カ所の特定・対策化を繰り返し 行った。
-容器内水分濃度のリアルタイムでの可視化
*東北大学ベンチャー企業であるボールウェーブ株式会社が開発したBall-SAWセンサを使用して、全く新しいリアルタイムでの水分濃度測定技術を開発した。
・製品品質を保証する評価検証法の選定課題
-グローブボックスの性能を保証するとともに、金属粉末の再利用が可能であることを実証した。

具体的な成果

・容器内壁の金属微粉末の付着抑制手法の開発
-内壁の表面粗さ(Ra)を0.03μm以下とし、内壁への粉体付着率40%以下を達成した。
・スノードライアイスブラスト法による粉末剥離回収機構の開発
-付着粉体の99%除去に要する所要時間を1hrとし、未使用粉体の回収率を再利用可能で50%以上とする高機能グローブボックスを製作した。
・グローブボックス内環境の最適化とそれを可能とするリアルタイムの計測システム
-容器内への酸素・水分の混入場所の同定と対策
*容器内の水分・酸素濃度を1ppm以下とし、グローブボックスの機密度としてハロゲンリーク試験で0.0000vol%/hrとした。
-容器内水分濃度のリアルタイムでの可視化
*Ball-SAWセンサーを改良し、水分濃度1ppmでの測定時間を1秒以下とし、同時にアルゴンガス濃度同時測定可能なリアルタイム分析システムを開発した。
・製品品質保証の評価検証法確立
-使用可能な金属粉体サイズを20μm以下、金属粉体の酸化率を1%以下とした。
-粉体供給時における容器内の水分濃度と酸素濃度をともに10ppm以下とした。

知財出願や広報活動等の状況

・講演会、学会発表、展示会
-Kazushi Yamanaka, Shingo Akao, Nobuo Takeda, Toshihiro Tsuji, Toru Oizumi, Hideyuki Fukushi, Tatsuhiro Okano and Yusuke Tsukahara: Jpn. J. Appl. Phys. 58 (2019)
-N Takeda, P Carroll, Y Tsukahara, S Beardmore, S Bell, K Yamanaka and S Akao: Meas. Sci. Technol. 31 (2020) 104007.
-Iwaya, Akao, Takeda, Oizumi, Tsukahara, Yamanaka et al. Meas. Sci. Technol. 31 (2020)

・特許出願
-出願準備中、「高機能グローブボックス」

研究開発成果の利用シーン

本開発の超精密雰囲気制御型グローブボックスは、医療や航空宇宙分野、電池分野など、粉末を用いた製造プロセスを必要とする各種分野の製造ラインへの転用が可能である。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

自社にできることを認識した上で、まずは3Dプリンタ分野に進出し、同時に放射線分野及びバイオ・再生医療分野を視野に入れる予定である。

提携可能な製品・サービス内容

設計・製作、加工・組立・処理、製品製造、共同研究・共同開発、技術ライセンス

製品・サービスのPRポイント

今回開発した技術は金属積層だけではなく、放射性物質の洗浄、水分を嫌うリチウムイオン電池製造、衛生的な雰囲気制御が望まれるバイオ分野などへの利用が可能と考えられる。そのため、数十億円から数百億円の新たな雰囲気制御グローブボックス市場が拓けると思われる。
研究開発中のグローブボックスにむけ納入する装置説明のため、PolarTechのDan CEOがわざわざデンマークから来社してくださいました。多岐にわたるディスカッションを行い、開発へのアドバイスも頂くことが出来ました。

今後の実用化・事業化の見通し

・放射性物質用グローブボックスの安全性向上への適用
-本開発の自動粉末のはく離回収機構は、放射性物質の自動洗浄回収に十分な効果があると考えている。株式会社ヨシダでは、このはく離回収機構を導入した完全遠隔操作型放射性物質用グローブボックスの製造を目指している。本件の開発はエンドユーザーからの期待も大きく、今後、放射性物質を模擬したモックアップ試験や実際の放射性物質汚染状況下での実施を経て、事業化を目指している。

・感染症対策用グローブボックスへの適用
-株式会社ヨシダではコロナウィルスによる医療従事者の二次感染を防ぐことを想定し、感染症対策用グローブボックスの設計とモックアップ製作を行った。今後、このグローブボックスへ自己洗浄機能の技術を応用する事を計画している。この染症対策用グローブボックスを量産化することで、各病院や行政機関、PCRセンターに配備し、原子力分野でのサポイン事業の技術を生かして地域への貢献度を高めていきたいと考えている。

実用化・事業化にあたっての課題

従来の金属積層技術では、粉末材料の酸化や粉塵爆発の危険性があるため、マグネシウムやチタニウムなどの粉体の取り扱いが困難で、利用範囲が限られている。(株)ヨシダが培った放射性物質用グローブボックスの閉じ込め・隔離・回収技術、計算機による洗浄機構のシミュレーション、グローブボックス内環境の最適化と水分濃度のリアルタイム計測システムの実用化により、現在利用が50μm程度に限られている粉体を20μm程度まで可能にする高機能な「自己洗浄能力を有する超精密雰囲気制御型グローブボックス」を製作し、同時に電池製造プロセス、放射性物質処理、バイオ産業などへの応用を進めていく予定である。

事業化に向けた提携や連携の希望

定期的に開催するフォローアップ会議、及び事業進行に合わせて関係者が集まる開発連絡会を通して、随時新技術の検討及びニーズ把握を行うなど参画機関の協力体制は密である。また、産総研の積層加工システム研究グループ、茨城大学永野講師のシミュレーションによる先見性の高い成果と連携することにより、ラボレベル、製造レベルでの将来見通し検討を常時行っている。高機能グローブボックスの設計・製造は、試作品での基礎的なデータの積み上げと様々な装置機能制御上のノウハウが蓄積されて初めて実現可能となるので、企業と公的機関が密に連携して新型装置の開発に挑戦することの意義は極めて大きい。

プロジェクトの実施体制

サポイン事業者 株式会社ヨシダ 設計課、業務本部、業務副本部
事業管理機関 株式会社ヨシダ 設計課、業務本部、業務副本部
株式会社つくば研究支援センター 地域支援部
研究等実施機関 国立研究開発法人産業技術総合研究所 製造技術研究部門 積層加工システム研究グループ 主任研究員 小木曽 久人・研究員 板垣 宏知・契約職員 黄 蘭、イノベーション推進本部 産学官契約部 受託研究契約室 西原 大翔
ボールウェーブ 株式会社 代表取締役社長 赤尾 慎吾、取締役事業開発部長 塚原 祐輔、取締役研究開発部長 山中 一司、取締役製造技術部長 竹田 宣生、管理部 村上 安春
国立大学法人茨城大学 工学部物質科学工学科 講師 永野 隆敏、会計課 遠藤 寛和
茨城県産業技術イノベーションセンター 技術支援部 フードケミカル・グループ 技師 安達 卓也・主任 安藤 亮、技術支援部 部長 平野 聡、総務部 出久根 隆雄
アドバイザー 芝浦機械株式会社 技術開発部 部長 本間 周平
京セラ株式会社 メディカル事業部 研究部 研究課 課長 池田 潤二
新菱冷熱工業株式会社 技術統括本部 中央研究所 次長 三上 秀人

サポイン事業者 企業情報

企業名 株式会社ヨシダ(法人番号:1050001002386)
事業内容 グローブボックス加工・製造
社員数 66 名
生産拠点 第2工場 〒311-1135 茨城県水戸市六反田町1279-1
本社所在地 〒311-1114 茨城県水戸市塩崎町2363
ホームページ https://ysd-k.co.jp/
連絡先窓口 株式会社ヨシダ 業務副本部長 米川 周佑
メールアドレス shusuke.yonekawa@ysd-k.co.jp
電話番号 029-297-1005