研究開発された技術紹介

ガラス瓶成形用金型は、ねずみ鋳鉄(共晶黒鉛)が主に使用されており、ガラス瓶成形時に高温にさらされると共に、加工時の強い衝撃により接触面が摩耗し易い。そのため、これまではNI合金を肉盛溶接し、耐熱性・耐摩耗性を付与している。本研究では、NI合金鋳ぐるみ法により溶接・熱処理工程を廃止し、製造コスト・納期の低減を図ることで川下製造業者の短納期のニーズに応える。合わせて、他分野の加工用金型等への波及効果を図る

金型材質に必要な微細黒鉛(共晶黒鉛)を得る為に、一般的には冷金による急冷効果等を用いるが、鋳ぐるみとの相性が悪い為、冷金を使用せずに片状黒鉛鋳鉄を微細化(共晶黒鉛化)し、この共晶黒鉛鋳鉄を用いて鋳鉄とNi合金の鋳ぐるみ接合技術を開発する
(新技術)
冷金を使用しない共晶黒鉛鋳鉄を用いたNi合金鋳ぐるみ技術を開発する
(新技術の特徴)
製造コストの低減と、納期の短縮化を実現した金型の提供が可能になる

・冷やし金を使用しない片状黒鉛鋳鉄の黒鉛微細化技術の開発
‐微細化効果を促進する金属の最適添加割合及び鋳造条件を確立し、黒鉛微細化及びCE値の評価と物性評価を実施した
・Ni合金鋳ぐるみ技術の開発
‐インサート材(Ni合金)の最適接合条件を確立した
‐接合状態に欠陥が無く、高強度であることを確認した
・製造コスト・製造日数及び耐久性の総合評価
‐鋳鉄材料費の低減見込みを確認した
‐金型製造日数の低減を実証し、目標達成が可能になった
‐実用性・耐久性及び市場競争力を評価し、実用性に問題がないことを確認した

・ガラス瓶成型用金型
・鋳ぐるみ技術を活用した産業機械部品等

・サポイン事業の実施を通じて、鋳ぐるみ技術を用いたガラス瓶成型用金型は実用化に達したが、量産化を考慮した事業化においては鋳ぐるみ品質の安定化に課題がある。

高耐久性金型の短納期提供
・本研究で開発した鋳ぐるみプロセスを活用し、製造工程を短縮することによって、金型の納期を短縮できる
・鋳ぐるみに使用するNi合金は従来の溶接接合で使用するNi合金よりも機械的性質や金型材質用鋳鉄との相性が良い為、耐久性が向上している

・事業化(量産化)に向けた鋳ぐるみ技術の改善及び開発が必要であり、併せて実施していく
・ガラス瓶金型業界に限らず、鋳ぐるみ技術を用いた鋳造品の製造の検討を進める

事業化(量産化）においては、鋳ぐるみ接合厚さのバラツキを抑制する事が課題である