接合・実装
溶接構造物の疲労損傷を高精度に検証可能な高精度寿命予測法の開発高精度寿命
長崎県
株式会社PAL構造
2020年4月8日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 溶接構造物の高精度寿命予測法の開発 |
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基盤技術分野 | 接合・実装 |
対象となる産業分野 | 航空・宇宙、自動車、ロボット、産業機械、建築物・構造物、工作機械、光学機器 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(耐久性向上)、高性能化(信頼性・安全性向上) |
キーワード | 溶接、疲労損傷、疲労寿命、疲労解析、疲労設計 |
事業化状況 | 事業化に成功し継続的な取引が続いている |
事業実施年度 | 平成21年度~平成23年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
自動車車体など溶接構造物の信頼性・安全性向上のためには、疲労損傷リスク回避の観点から高精度寿命予測技術の確立が重要な課題である。本計画は繰返し塑性域寸法をパラメータとした独自の疲労き裂伝播則を発展させて、実働荷重下のき裂進展シミュレーションを高精度に実現する疲労解析システムを開発する。この開発により溶接構造物の疲労設計技術の高度化、品質保証検査技術の高度化を図り、我が国ものづくり製造業の発展に資する
開発した技術のポイント
疲労き裂成長曲線を推定するアルゴリズムを用いて、溶接構造物の高精度疲労寿命予測システムを開発
・アルゴリズムの改良→ランダム変動荷重下のき裂の取り扱いを可能に
・き裂発生・成長の検証→試験片による疲労試験結果を再現→模型試験体による疲労試験結果を再現
(新技術)
<超短パルスレーザと高出力ファイバーレーザを活用した新レーザ加工法>
特徴
・疲労き裂の発生、伝播寿命の高精度予測
・疲労損傷発生後の余寿命の高精度予測
・鋼材種、溶接継手形式、溶接止端形状、溶接残留応力等、多用な条件が取り扱い可能
・実働ランダム変動荷重下の寿命予測を実現
具体的な成果
疲労寿命計算プログラムの高機能化を実施
・疲労寿命計算プログラムの高精度化に係る数理モデル、アルゴリズム、定式化を検討
・実際の荷重履歴を、き裂の発生・成長に寄与する最大荷重・最小荷重の荷重対のみからなる実効荷重履歴に置き換え
・ランダム変動荷重下における疲労き裂の発生・成長を取扱い可能に
疲労寿命計算プログラムの計算精度が妥当であることを確認
・3つの変動荷重パターンを基に、試験片の疲労き裂発生段階におけるき裂成長の様子を確認し、疲労寿命計算プログラムで算出した計算結果と比較した結果、試験結果とプログラムの計算結果が良好に一致することを確認
・試験片の疲労き裂成長段階においても試験結果とプログラムの計算結果を比較した結果、一定振幅荷重のケースで、計算結果と試験結果が良好に一致することを確認
溶接構造物への実働荷重を加えた場合でも、き裂の発生・成長の挙動を高い精度で予測
・溶接構造物の実機構造体部分を模擬する模型試験体を用いて、試験を実施
・一定振幅荷重とブロック変動荷重の2種類の荷重条件を試験し、き裂の発生・成長挙動を実用的な精度で推定できることを確認
疲労試験結果と寿命計算結果の比較(ブロック変動荷重)
~疲労試験結果と寿命計算結果が良好に一致。特に溶接構造物の損傷等につながる比較的大きなき裂(1.5mm以上)に対する寿命推定は、精度が非常に高い~
知財出願や広報活動等の状況
・製品販売先拡張のための調査、営業活動等を実施している。
研究開発成果の利用シーン
・橋梁等の社会インフラ分野は疲労寿命評価等の維持管理技術が注目されており、建設コンサルタント会社や橋梁メーカーから引き合いが来ている。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
・開発システムを利用する計算サービスの引き合いは、一定数確保できている。
・高精度寿命予測システムの試作版あり(有償)
提携可能な製品・サービス内容
技術コンサルティング
製品・サービスのPRポイント
・耐久性向上→疲労き裂の発生・伝播寿命の高精度予測により、疲労耐久性、信頼姓、安全性に優れた製品の開発を支援
・品質管理能力向上→溶接品質のバラツキ等の寿命影響評価を可能とすることで、品質保証検査技術の高度化を支援
・軽量化→軽量化や鋼材コスト低減等の製品ブラッシュアップを支援
今後の実用化・事業化の見通し
・高精度疲労寿命予測システムを用いた計算サービスの受託業務を本格化させ、顧客ニーズを把握するとともに、潜在的ニーズを開拓するよう提案していくことで、開発技術の普及を図るとともに、高精度疲労寿命予測システムの販売(H25年10月開始目標)に繋げる
・設計現場で活用できる高精度疲労寿命予測システムを目標とし、さらなる計算高速化のため、最適コード化や並列計算システム化などの改良を補完研究にて実施中
・自動車分野の製造メーカを対象に疲労寿命予測の計算サービスを展開する一方で、船舶、機械、航空機、原子力プラントなどの中堅メーカを市場対象に含めた事業展開を推進
実用化・事業化にあたっての課題
・実用版疲労寿命計算プログラムの計算高速化については、設計現場で活用できる高精度疲労寿命予測システムの開発が目標であることから、さらなる計算高速化の改良が課題になっている。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社PAL構造 |
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事業管理機関 | 株式会社PAL構造 |
研究等実施機関 | 国立大学法人九州大学 国立大学法人長崎大学 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社PAL構造(法人番号:1310001001790) |
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事業内容 | 建築・土木・プラント・船舶・海洋構造物・各種機械などの構造設計、構造技術の研究・開発およびコンサルティング、各種情報システムの開発販売、環境およびエネルギー関連製品の開発販売 |
社員数 | 130 名 |
生産拠点 | 長崎市旭町8ー20 本社 |
本社所在地 | 〒852-8003 長崎県長崎市旭町8-20 |
ホームページ | http://www.pal.co.jp |
連絡先窓口 | フロンティア事業開発部 楠葉貞治 |
メールアドレス | kusuba@pal.co.jp |
電話番号 | 095-801-5776 |
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