研究開発された技術紹介

従来の電気自動車用リチウムイオン電池の溶接工程では、ワークの個々バラつきを補正するために量産化、品質安定化に課題があった。本提案では複数ワークの位置ずれを一括補正ができ、且つ高速高精度のレーザ溶接が実現できる画像処理装置を搭載した新しい高速高精度リモートレーザ溶接システムを開発し、自動車部品製造の量産化に寄与する

電気自動車搭載用リチウムイオン電池の高速高精度溶接システムを開発し、溶接品質を確保し、且つ一般向けの量産化に対応可能な電池製造技術を確立する
(新技術)
新しい高速高精度リモートレーザ溶接システムを開発する
(新技術の特徴)
複数ワークの位置ずれを一括補正ができ、且つ高速高精度のレーザ溶接が実現できる

・カメラによる3次元画像処理測定技術とリモートレーザ溶接技術を統合した位置補正機能を有するティーチングレスの溶接システムの開発
-高速高精度な溶接を実現した
・溶接不良の無い高品質な溶接施工条件の最適化
-溶接欠陥の無い施工条件を見出した
-従来のパルスレーザ溶接法と比較して5倍以上の短縮が可能であることを実証した

リチウムイオン電池の溶接のみではなく、燃料電池用溶接システムや各種薄板溶接への技術応用

今回開発した「電気自動車用リチウムイオン電池の量産化のための高速高精度リモートレーザ溶接システム」については、溶接速度、安定した溶接痕、2個以上の同時加工等々に於いて良好な結果を得ている

・溶接工程の生産性の向上とラインスペースの低減へと寄与
-リモートヘッドの位置決め精度を向上させ、溶接速度を上げた溶接施工条件を最適化したことによって、生産性が大きく向上した
-また、高価格なレーザ発振器の設置台数を減らすことができ、ラインスペースの低減が可能になった
・加工のサイクルタイムの短縮によるコスト削減
-カメラの高精度画像処理測定技術の開発により、電池ケースの設置位置の変動に対して、レーザ照射位置座標変更のためのティーチングが不要となった
-結果として、加工のサイクルタイムの大幅な短縮が可能になった

・リチウムイオン電池メーカー各社は、秘匿性の高い製造ラインに関して情報開示が無く溶接方法や基準も各社各様の為、溶接装置も各社仕様に合わせたものを開発する必要が出てくる
・川下企業提供のケースでの溶接を行っているが、今後は電池メーカー様の賛同が得られれば共同開発という形で更に改良し販売する予定である
・また、今回得られたリモート溶接技術を発展させ、リチウムイオン電池の溶接のみではなく燃料電池用溶接システムや各種薄板溶接への技術応用を行う予定である

車載用の安全性における重要箇所となるので、技術だけではなく、信頼性も必要となる