複合・新機能材料
高周波熱処理により燃費向上を担う次世代型トランスミッション部品の高強度化、短納期化、低コスト化に成功
鳥取県
鳥取県金属熱処理協業組合
2020年4月7日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 次世代トランスミッション用歯車硬化層の精密制御と量産技術に関する研究 |
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基盤技術分野 | 複合・新機能材料 |
対象となる産業分野 | 自動車、ロボット、産業機械 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高性能化(精度向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、高効率化(人件費削減)、高効率化(生産性増加)、環境配慮、低コスト化 |
キーワード | デュアルクラッチトランスミッション、DCT、高周波焼入れ、量産、自動化 |
事業化状況 | 事業化に成功し継続的な取引が続いている |
事業実施年度 | 平成22年度~平成24年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
次世代トランスミッション用歯車硬化層の精密制御と量産技術に関する研究を行なう。シミュレートと実際の熱処理の双方を行い精度の高い生産技術、予測技術等を確立する。歯車用途に見合った適正硬化層や熱処理後の歪を含んだシミュレートも行い試作に関わる時間も大幅に短縮することを目指す。ターゲットは大量生産を前提にしたものであり、効率的な生産を可能とする熱処理工程のFA化技術もあわせて実施する。
開発した技術のポイント
次世代型トランスミッションの一形式であるデュアルクラッチトランスミッション(DCT)における、(1)熱処理データベースの構築に向けたシミュレーション技術の開発、(2)高周波誘導加熱における焼入硬化層の精密制御と疲労強度の改善、(3)高周波焼入に係る熱処理工程のFA化技術の開発を行う
(新技術)
・最適加熱コイル設計支援技術を用いる
・必要箇所のみ選択的に熱処理を行う高周波誘導加熱処理を開発する
・防錆処置等実働ライン、異常検出システムを開発する
(新技術の特徴)
・高周波焼入による硬化層の精密制御を行うために必要なコイルの形状設計法を確立する
・生産性向上、コスト低減を実現する
・安定した性能の部品を国内で低価格で大量に生産可能である
具体的な成果
・最適加熱コイル設計支援技術の開発
‐加熱条件(加熱電力、周波数、加熱時間)及びコイル形状が高周波加熱時の被加熱物の温度分布に及ぼす影響の発見及び最適な加熱条件とコイル形状を決定した
・高周波誘導加熱における焼入硬化層の精密制御と疲労強度の改善
‐疲労強度や摩耗強度に及ぼす硬化層深さの影響を精査した
‐適正硬化層深さを確立した
・高周波焼入れ及び防錆処置等実働ライン、異常検出システムの開発
‐防錆処置工程を実働ラインに設けた
-焼入温度の計測を行い異常時にラインストップするインターロックを設けた
研究開発成果の利用シーン
・各種高周波焼入れを必要とする精密部品に対する加熱コイルの設計支援技術
・高周波焼入れ歯車の最高疲労強度を得るための焼入れ条件の設計支援技術
・高周波焼入れの自動化に関するノウハウ
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
・シミュレーション技術の開発と同時に、焼入れ硬化層の精密制御の技術を生かした高周波焼入れ工程のFA化により、事業化にはほぼ目途が付き、新規受注も含めて競争力の強化につながった
・自動化技術が確立して安定して生産ができている
・サポインで確立した自動化技術を基に更に高精度の技術を推進している
提携可能な製品・サービス内容
製品製造、試験・分析・評価、共同研究・共同開発
製品・サービスのPRポイント
・シミュレーターの活用により、加熱コイル設計製作の時間短縮、コストダウンを実現
‐従来技術では、高周波焼入れコイルの設計には大幅に時間を要していた
‐高周波焼入れ用シミュレーターを用いることにより加熱コイルの設計製作における時間短縮が実現でき、製造コストのダウンにつながる
・高周波焼入れ歯車の設計プロセス及び品質が改善
‐従来は、高周波焼入れ歯車の残留応力は機械的強度に影響することは理解しているが、測定をしない限り把握ができず予測はできなかった
‐高周波焼入れシミュレーターによる残留応力等の機械的強度の予測が可能であり、歯車等の設計に役立つ
・受注の幅が広がり、売上拡大に貢献
‐高周波焼入れシミュレーターにより、加熱コイル設計や製作だけでも受注が可能となる
今後の実用化・事業化の見通し
・試作品及び量産処理に対応ができている
・適正化された熱処理条件にて量産を行える状況で、類似形状での各種部材の適用を目指している
・より精度を向上させたシミュレーターの開発は担当の教授が他界され断念した
・実際の操作環境についてユーザーフレンドリーなソフトの開発を行う
・更に安定した量産化を目指すために新たにロボットの導入を検討している
実用化・事業化にあたっての課題
・限りなく専用機に近いため同量産機を使用しての他部品への応用には限界がある
事業化に向けた提携や連携の希望
・DCTの需要が高まりプロジェクトメンバーとの連携により量産化に成功している
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 鳥取県金属熱処理協業組合 技術課 |
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事業管理機関 | 公益財団法人鳥取県産業振興機構 経営支援部次世代産業グループ |
研究等実施機関 | 地方独立行政法人鳥取県産業技術センター 機械素材研究所・玉井博康 国立大学法人鳥取大学 工学部工学研究科・故宮近幸逸 株式会社ファデコ 専務取締役・藤原大輔 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 鳥取県金属熱処理協業組合(法人番号:8270005003377) |
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事業内容 | 金属製品製造業・各種金属熱処理 |
社員数 | 36 名 |
生産拠点 | 本社所在地に同じ |
本社所在地 | 〒683-0851 鳥取県米子市夜見町3001-3 |
ホームページ | http://www.torinetsu.jp |
連絡先窓口 | 工場長 生田智章 |
メールアドレス | t.ikuta@torinetsu.jp |
電話番号 | 0859-24-0363 |
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