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精密加工

人工関節の摺動部の摩耗発生を排除する技術の確立により再置換手術の必要がない、長寿命の人工股関節の実現を目指す

埼玉県

株式会社東京チタニウム

2020年3月23日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 PE摩耗ゼロを目指すTi-13Nb-13Z(rF1713)製人工股関節骨頭コンポーネントの開発
基盤技術分野 精密加工
対象となる産業分野 医療・健康・介護、環境・エネルギー、航空・宇宙、産業機械、化学品製造
産業分野でのニーズ対応 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高性能化(精度向上)
キーワード 耐摩耗性向上、真球度向上
事業化状況 研究中止または停滞中
事業実施年度 平成21年度~平成26年度

プロジェクトの詳細

事業概要

人工股関節摺動部PE(ポリエチレン)臼蓋の摩耗は骨吸収を誘発しルースニングの原因になる。PE臼蓋及びTI-13NB-13ZR頭骨が共に低剛性であることに着目し、摺動部に弾性流体潤滑膜の維持を容易にすることで摺動面の直接接触を防ぎ、PEの摩耗を回避する。そのため頭骨の真球度を0.5μM、表面粗さを0.1μM以下に加工する。型彫放電加工及び回転平板研削によるチタン系難削材の球体加工技術を開発する

開発した技術のポイント

摩耗による再置換手術の必要がない、長寿命の人工股関節を開発する
・潤滑膜の維持→低剛性Ti-13Nb-13Zr骨頭球を使用し、流体膜を維持
・骨頭球の高真球度達成→表面粗さ:0.1µm、真球度0.5µm以下
・放電加工時間の短縮→放電加工量を減らし、加工時間・コストを短縮
・高い生体適合性→Ti-13Nb-13Zrを骨頭に用いて摩耗粉の発生を従来比1/10に
(新技術)
臼蓋の摩耗を防ぐためには?
・素材の改善
‐低剛性であるTi13Nb-13Zrを採用
・加工方法の改善
‐難削材であるTi13Nb-13Zrを、真球精度の高い骨頭球に加工する
・潤滑膜の維持
‐骨頭球と臼蓋が直接触れないための成膜技術開発

摩耗による再置換手術の必要がない長寿命の人工股関節を開発

具体的な成果

・Ti-13Nb-13Zr製人工骨頭球の加工
‐Ti-13Nb-13Zrロッド材の旋盤による荒切削加工方法の改善、型彫放電加工による骨頭原型の作成、ELID研削での仕上げ等により、骨頭球の表面粗さ0.02µm、真球度φ28に対して0.35µm以下を達成
・Ti-13Nb-13Zr製人工骨頭表面のICF被膜
‐ICF(真正カーボン膜)成膜条件を検討し、Ti合金試験片にICFを被覆。摩擦環境におけるTi合金の耐食性とPE焼き付き防止効果を確認
‐FEM(有限要素法)解析・引き抜き試験により、潤滑膜維持には、骨頭球とPE臼蓋の半径隙間20µm以下が必要であることが判明。これに基づき最適形状のPE臼蓋を作製
‐PVPを用いたPE表面の親水化処理技術を開発
・人工股関節シミュレータ作成とPE摩耗低減効果の評価
‐人工股関節シミュレータにより、通常歩行速度で摩擦トルクが顕著に減少し、潤滑膜が維持可能な条件があることを確認
‐親水化処理及びICF被覆により、PE摩耗粉の発生を防止できることを確認

知財出願や広報活動等の状況

・特許:「非晶質炭素膜への機能性材料の固定方法」(特願2012-075162)
・受賞:さいたま市「さいたま市テクニカルブランド認証企業」(H23)、コラボ産学官埼玉支部「優秀賞」(H24.5)

研究開発成果の利用シーン

人口股関節部PEの摩耗が軽減することで半永久的に人口股関節が使用出来る為、高齢者の手術時の肉体手的・精神的な負担を軽減出来る。また、術後の心配もなくなる。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

H26年度の事業化に向け、補完研究を継続中

提携可能な製品・サービス内容

設計・製作、製品製造

製品・サービスのPRポイント

・精度向上→摺動面に絶えず潤滑膜が維持できるように、骨頭球の真球度と表面粗さ、PE臼蓋と骨頭球間の半径隙間を20μm以下に抑える
・耐摩耗性の向上→骨頭球とPE臼蓋の直接接触を避けPE摩耗を抑制。金属表面にDLC薄膜被覆、PEの親水化処理を施しPE移着摩耗を回避
・複雑形状化→骨頭球の真球度を高めるために、非接触で加工が可能な型彫り放電加工を採用

今後の実用化・事業化の見通し

真球度、耐摩耗性、コストダウン等に向けた研究を継続し、H26年度の事業化を目指す
・真球度の精度・安定性を追求。精度安定に向けた機器改良・副資材の検討試験中
・製造機器、工程、治具副資材の最適条件を追求し、将来のコストダウンにつなげる
・高精度、高耐久であり市況コストに見合った人工股関節コンポーネントを、H26年4月に完成させることを目指す
・既に欧米医療機器メーカーと販売交渉を実施中。他社との交渉も継続していく

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社東京チタニウム
事業管理機関 公益財団法人さいたま市産業創造財団
研究等実施機関 株式会社ティーアンドアイ
ナノテック株式会社
国立大学法人埼玉大学

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社東京チタニウム(法人番号:2030001018549)
事業内容 金属チタンの材料、加工、製品販売。医療機器、理科学及び海洋プラント機器設計製造販売
社員数 31 名
本社所在地 〒339-0072 埼玉県さいたま市岩槻区古ヶ場2-3-10
ホームページ http://www.tokyo-titanium.co.jp
連絡先窓口 専務取締役 小澤健太
メールアドレス k.ozawa@tokyo-titanium.co.jp
電話番号 048-794-8770