バイオ
食品廃棄物を、機能性食品・飼料・堆肥・燃料として再生処理しゼロ・エミッション(全量使い切り)を実現する
北海道
株式会社新聞協同運輸
2020年3月23日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 固体発酵による食品廃棄物の高度再生利用に関する研究開発 |
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基盤技術分野 | バイオ |
対象となる産業分野 | 医療・健康・介護、環境・エネルギー、農業、食品 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、環境配慮、低コスト化 |
キーワード | 微生物利用、機能性食品、機能性飼料、機能性堆肥、固形燃料 |
事業化状況 | 事業化に成功し継続的な取引が続いている |
事業実施年度 | 平成21年度~平成23年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
食品廃棄物等を独自の発酵技術によって高度再生利用する技術を網羅的に研究し、最も事業性の高い方式を選定する。食品残さや抽出粕(オカラなど)を整腸作用のある機能性飼料や機能性食品、病害防除機能をもった機能性堆肥や、低コストな固形燃料などに再生する技術を開発し、事業性評価を行う。
開発した技術のポイント
・オカラを効率的に発酵する独自の乳酸菌の開発
耐熱性の高い有胞子性乳酸菌の中でも、さらに耐熱性の高い独自株を採取して特許登録しました(図4)。培養温度55℃を達成し、食中毒菌フリーの培養が可能です。またオカラをよく発酵することができます。
・遠位送達技術の開発
培養した乳酸菌をオカラに固着すること(オカラカプセル)によって、服用時に乳酸菌が大腸の奥に届いて発酵する技術を開発しました(図5)。これによって遠位大腸の腐敗を防止できるようになりました。
・腸内細菌叢の制御技術の開発
腸内細菌叢の活動を制御して、健康効果の高い短鎖脂肪酸を産生する技術を開発しました(図6)。これによって「便秘」だけでなく「下痢」などの多くの大腸疾患や生活習慣病の予防が可能となりました。
具体的な成果
機能性食品の製造販売を実施するスタートアップ(アテリオ・バイオ株式会社)を起業して以下の製品を販売したほか、他社製品(OEM)の製造販売を実施しています。
・ライラック乳酸菌シリーズ(機能性表示食品届出)
ライラック乳酸菌スタンダード(カプセル)、ライラック乳酸菌Fプラス(カプセル)
・ライラック乳酸菌シリーズ(北海道食品機能性表示制度認定)
ライラック乳酸菌スタンダード(粉末)、ライラック乳酸菌オリゴプラス(粉末)、ライラック乳酸菌プレミアム(粉末)
知財出願や広報活動等の状況
特許:「芽胞形成能を有する新規菌株Bacilluscoagulanslilac-01」(特許第5006986号)
特許:「難消化性物質及びその製造方法」(特許第6306170号)
南田・三輪, ライラック乳酸菌®」摂取による便秘傾向の健康成人に対する便通・便性改善効果, メディカルサイエンスダイジェスト, 43, 4, 2017
南田・三輪, 便通・便性改善効果のあるライラック乳酸菌の開発、株式会社技術情報協会, 421, 2018
Yeonmi et al., Combination of soya pulp and Bacillus coagulans lilac-01 improves intestinal bile acid metabolism without impairing the effects of prebiotics in rats fed a cholic acid-supplemented diet, B J Nutr, 116, 4, 603, 2016
研究開発成果の利用シーン
当社が開発したライラック乳酸菌(図2)は、腸内細菌叢の遠近差を是正して、大腸の奥の腐敗を解消する(図3)ことによって、効果的に「便秘」を解消することができます。消費者庁に届出済みですので、短期間で機能性表示食品(OEM製品)を供給することができます。また「便秘」以外にも多くの機能がありますので、新規の用途開発用の素材として提供することも可能です(共同研究)。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
・H24年に新会社「アテリオ・バイオ株式会社」を設立、乳酸菌サプリメント「ソイティス」をサンプル出荷開始
・H25年「ソイティス(H27年に「ライラック乳酸菌」に変更)」販売開始、
・H27年に北海道食品機能性表示制度(ヘルシーDo)に認定、OEM製品の供給開始
・H29年に機能性表示食品制度(消費者庁)に届出、大手健康食品メーカーへのOEM供給開始
提携可能な製品・サービス内容
素材・部品製造、製品製造、試験・分析・評価、共同研究・共同開発、技術ライセンス、技術コンサルティング
製品・サービスのPRポイント
当社の「ライラック乳酸菌」は、297名という最大級のヒト介入試験によって便通改善効果が立証されています。また少ない菌数であっても体感性が強く、効果が早く現れるのが特徴です(図7-臨床試験の結果)。その秘訣は極めて強いライラック乳酸菌と菌を活性化するオカラカプセルの組み合わせにあります。
ライラック乳酸菌はほぼ100%が生きて腸の奥に届き、大量の乳酸をつくって腸内のpHを整えます。オカラカプセルは菌の培地となって、腸内細菌が乳酸や短鎖脂肪酸をつくる発酵基地になります。近位から遠位にかけて大きく変わる腸内環境を整えて、腸内細菌叢を制御することができます。
これらの技術によって腸内環境を理想的な状態に保つことができ、腸内環境の悪化によって起こる便秘等の生活習慣病の解消を図ることができます。腸内細菌叢の制御技術は、神経を操作する薬剤と異なり、神経障害等の副作用が全くない利点があります。
今後の実用化・事業化の見通し
便秘解消サプリメントとしてライラック乳酸菌のOEM製品の販売拡大を図るほか、便秘以外の生活習慣病への適用を進めています。対象は便秘のほか下痢や過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、大腸癌等の腸疾患がありますが、腸にとどまらず肝臓疾患や腎臓疾患、糖尿病、自己免疫疾患等との関連が指摘されています。
当社では北海道大学との共同研究によって、これらの基礎的な研究を実施しているほか、その研究論文の引用先でアルツハイマー病やパーキンソン病などの神経疾患に対しても有効性を示唆されています。当社ではこれらの生活習慣病に対しても順次、基礎データの取得を行うとともに、臨床試験の実施によって機能性表示食品としての届出を行う計画です。
実用化・事業化にあたっての課題
臨床研究の実施にあたり、資金調達が課題です。
事業化に向けた提携や連携の希望
機能性表示食品に関心のある企業との提携を希望します。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社新聞協同運輸 |
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事業管理機関 | 株式会社新聞協同運輸 |
研究等実施機関 | 国立大学法人北海道大学 株式会社丸蔵 国立研究開発法人産業技術総合研究所 北海道センター 北海道酪農学園大学 有限会社クロモソームサイエンスラボ 株式会社豆太 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社新聞協同運輸(法人番号:2450001001388) |
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事業内容 | 運送業・新聞等の運送 |
社員数 | 90 名 |
生産拠点 | 上川郡鷹栖町、北広島市、帯広市に営業所(運送)、小樽市、鷹栖町に健康食品製造工場を保有 |
本社所在地 | 〒071-1248 北海道上川郡鷹栖町8線西2号2番地 |
ホームページ | https://kyodo-transport.wixsite.com/kyodo/ |
連絡先窓口 | 総務担当役員 常務取締役 青木進悟 |
メールアドレス | aoki-s@arterio.co.jp |
電話番号 | 0166-59-3100 |
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