バイオ
茶葉を原料に黒茶ポリフェノールを発酵生産する統合微生物発酵制御技術「ファーメントミクス」の開発
福岡県
福岡県醤油醸造協同組合
2020年4月10日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | ファーメントミクス(統合微生物発酵制御技術)による黒茶ポリフェノールの生産と素材化技術の開発 |
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基盤技術分野 | バイオ |
対象となる産業分野 | 医療・健康・介護、食品 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加) |
キーワード | 発酵茶、麴菌、ポリフェノール |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化間近 |
事業実施年度 | 平成21年度~平成23年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
生活習慣病が急増し、高齢化が進行する中、メタボリックシンドローム対策に関心が寄せられている。我々は茶葉を黒麹発酵させた後発酵茶より新規機能性成分として黒茶ポリフェノールを見出した。本研究開発では生体触媒を活用し、黒茶ポリフェノールを効率的に発酵生産する統合微生物発酵制御技術「ファーメントミクス」を開発する。また、当該成分を精製・機能性素材化し、社会的要求に応じた多様な健康志向型食品等を提案する
開発した技術のポイント
茶葉を原料に、黒茶ポリフェノールを含む機能性食品素材を発酵生産する統合微生物発酵制御技術「ファーメントミクス」を開発する
(新技術)
【新技術開発(黒茶ポリフェノールの新展開)】
黒茶ポリフェノールの発酵生産
(1)機能性成分を指標とした発酵方法・条件の最適化
(2)機能性成分の分離技術の最適化
(3)機能性食品素材化⇒健康食品市場全般への展開
黒茶ポリフェノール
(1)構造決定
(2)生成経路の解明
(3)生体機能性(動物実験)
高度発酵制御
・黒茶ポリフェノールの大量生産抽出
・素材化技術の確立
・黒茶ポリフェノールの食品素材化黒茶ポリフェノール
・機能性食品素材⇒機能性食品(健康飲料、サプリメント等)
生体調節機能評価(科学的なエビデンス)
・血液循環能改善
・肝解毒・腎機能の向上
具体的な成果
茶葉の最適発酵制御条件の検討
・八女産茶葉(二番茶)を黒麹菌で熟成発酵させた発酵茶葉(黒茶)について、以下の各種検討を行なった。
・発酵茶葉に含まれる黒茶ポリフェノール(X成分)は、従来のカテキン類とは異なる構造を有する新規化合物であることを確認
・X成分の効率的生成に向け最適発酵系を検討。Aspergillus属菌株を用いた半固体発酵において各種成分変化を調べた結果、EGCG、EGC、没食子酸の増減に伴いX成分の生成が見られ、半固体発酵技術確立のための指標を得た
実用規模培養装置による発酵制御条件の検討
・茶葉からのX成分生成に適したAspergillus属菌を用いた半固体発酵法は、固形分当たりのX成分の生産性が固体発酵法より高いことを確認
・実用レベルで生産可能な固体発酵技術を確立
黒茶ポリフェノールの抽出・素材化技術の検討と医学的評価
・発酵茶葉からのX成分の抽出・素材化において、熱水抽出法、樹脂処理法双方とも工業生産ラインを確立できることを確認
・熱水抽出法は生産性が高いこと、樹脂処理法から得た樹脂処理画分(黒茶ポリフェノール素材)は高い血液循環能改善効果があること等が判明
・黒茶ポリフェノール素材及びX成分は、抗メタボ効果、血液循環能改善効果に有効性を示した(特に、糖尿病、高血圧症、肥満症)
Aspergillus属菌A、B株の固体発酵、半固体発酵によるX成分生産量
〜B株を用いた半固体発酵法は固体発酵法に比べて固形分当たりのX成分の生産性が高い〜
半固体培養した発酵物のカテキン類、X成分及び菌体量の変化
〜カテキン類(EGCG、EGC)の減少に伴いX成分の生産量が増加する〜
知財出願や広報活動等の状況
・特許:発酵茶および薬効性組成物 」(特願2009-68709)、「医薬用組成物」(特願2011-088448)、「医薬用組成物」(PCT/JP2012/002540)
・新聞:読売新聞(H21.9.23)
研究開発成果の利用シーン
開発した技術により、各生産地の茶葉を麴菌を用いた発酵茶に加工することが出来る。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
・H23年度の実用化に成功
・微生物発酵茶(黒茶)、黒茶ポリフェノール素材、黒茶ポリフェノール配合タブレット等の無償サンプルあり
提携可能な製品・サービス内容
素材・部品製造、技術ライセンス
製品・サービスのPRポイント
・新素材実現茶葉を麹菌により固体発酵させた高品質な「微生物発酵茶(黒茶)」、新規機能性成分「黒茶ポリフェノール」の機能性食品素材としての利用を可能とした
・量産化・安定供給化ファーメントミクスによる黒茶及び黒茶ポリフェノール素材の量産化と安定供給を可能とした
・地場産業振興独自製法で低価格・低品質な茶葉の高付加価値化を図る
今後の実用化・事業化の見通し
工業化を目指した補完研究等を進めつつ、事業化を目指す
・茶葉の半固体発酵技術について工業化を目指したスケールアップのための補完研究を継続中
・黒茶ポリフェノールの効率生産技術及び当該成分の医薬利用に特化した研究を継続実施予定
・H26年度を目途に、一番食品の通信販売を主体とした事業化を目指す。また、健康食品関連業者への販路開拓を行い、他社でのプライベート商品化を狙う
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 福岡県醤油醸造協同組合 |
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事業管理機関 | 一番食品株式会社 |
研究等実施機関 | 国立大学法人九州大学 一番食品株式会社 株式会社レオロジー機能食品研究所 |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 福岡県醤油醸造協同組合(法人番号:5290005006629) |
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事業内容 | 生揚醤油、醤油および醤油加工品の製造販売 |
社員数 | 43 名 |
生産拠点 | 本社所在地の工場 |
本社所在地 | 〒818-0014 福岡県筑紫野市大字牛島65番地 |
ホームページ | http://www.fsjk.or.jp |
連絡先窓口 | 技術部 植木達朗 |
メールアドレス | ueki@fsjk.or.jp |
電話番号 | 092-922-3831 |
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