バイオ
未利用資源による新規バイオ変換によるジヒドロターピネオール製造方法の開発
神奈川県
株式会社ちとせ研究所
2023年3月1日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 電子材料向け導電性ペースト原料であるジヒドロターピネオールの安定供給を実現する新規バイオ製法開発 |
---|---|
基盤技術分野 | バイオ |
対象となる産業分野 | 自動車、スマート家電、半導体、エレクトロニクス、化学品製造 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(原料代替)、環境配慮 |
キーワード | MLCC、金属ペースト、バイオ変換、ジヒドロターピネオール、原料代替 |
事業化状況 | 研究実施中 |
事業実施年度 | 令和1年度~令和3年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
IoT時代の到来によりデジタル機器に搭載される積層セラミックコンデンサー(MLCC)の需要が増大している。MLCC製造の原料となる金属ペーストには植物由来素材であるジヒドロターピネオールという溶剤が用いられる。川下企業ではこのジヒドロターピネオールの原料価格の高騰や生産プロセスの環境負荷が課題となっている。そこで、安価な未利用バイオマス原料から新規のバイオ製造技術を開発することで課題解決を図る。
開発した技術のポイント
・未利用資源の原料化が可能
‐新たに見いだした酵素反応では、これまで用途がなく焼却処分されていた未利用成分を安価な新原料として活用できる。
・高い反応選択性
‐これまで未利用の原料からジヒドロターピネオール前駆体を選択的に生産することが可能である。
・環境負荷の低い生産プロセス
‐生物学的な酵素反応を用いる変換法であるため、反応条件が温和であり、環境基準に適合したプロセスの構築が可能となる。
具体的な成果
本事業において、変換反応溶液の検討を行い、反応における酵素コストを事業開始当初から1/50まで低下させることに成功した。また、本反応は酸性条件で最も収率が高くなる。酵素は酸性条件下で失活するため、反応に使用する酵素には酸耐性が求められるが、酵素遺伝子への変異導入により酸耐性のある変異体を見出した。酵素反応における基礎反応条件を検討したところで、反応系を試験管からスケールアップし、撹拌翼を導入した反応系を構築した。これにより撹拌効率が向上し、2相系である本反応の収率を高めることに成功した。天然からのスクリーニングにより、菌体自体が親株と同等の変換反応を起こす株を発見した。発見した株のシーケンスを実施し、反応に関与していると思われる酵素遺伝子を特定した。菌株自体が変換反応を起こすため、さらなる培養条件の検討により酵素コスト削減が期待される。
知財出願や広報活動等の状況
本事業において得られた知見はノウハウとして保護するため現時点での知財出願は実施していない。また、大々的な広報活動はしていないが、本事業成果に興味があるユーザーとの意見交換を進めている。
研究開発成果の利用シーン
本事業で構築した反応を基幹として、酵素改変技術や、反応プロセス開発を行うことで、原料としてテルペンを扱う企業が現在の生産プロセスに問題を抱えている場合に別の生産プロセスを検討するためや、メーカーの求める新規機能を有するテルペン化合物を生産したい場合などに利用できる。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
2022年以降引き続き追加研究を行い、スケールアップのための基礎検討を継続している。
提携可能な製品・サービス内容
共同研究・共同開発
製品・サービスのPRポイント
本事業で開発した反応プロセスは、安価な未利用資源を活用することで、価格高騰と供給不安の課題を改善したジヒドロターピネオールの生産に繋がる。また、本反応を基幹とし、酵素改変技術や、反応プロセス開発を行うことでメーカーの求める様々なテルペン化合物を提供できる可能性のある技術である。
今後の実用化・事業化の見通し
スケールアップに関する検討を引継ぎ実施する。本事業に参画した川下企業以外とのコラボレーションも進めて事業化への道筋を検討予定。
実用化・事業化にあたっての課題
実機での反応制御プロセスを固めるため、川下企業と協力しながら実生産を見据えた反応条件検討を引き続き実施し、得られた知見をもとにスケールアップ検討を行う。
事業化に向けた提携や連携の希望
テルペンを原料として活用している業界やメーカーとの連携や実用化のための共同研究を希望。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社ちとせ研究所 Tech & Biz Development Div. |
---|---|
事業管理機関 | 株式会社ちとせ研究所 Corporate Logistics Div. 国立大学法人京都大学 北部構内事務部 経理課科学研究費等補助金掛 |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社ちとせ研究所(法人番号:9020001081673) |
---|---|
事業内容 | 幅広い生物(微生物・培養細胞・微細藻類など)の育種・培養技術を有し、これらの技術を産業利用されている生物で活用する。さらに、バイオ領域における新規プロジェクト立案、シーズ技術構築、実用化研究開発、事業化支援・コンサルティングをグループ各社と連携しながら実施する。 |
社員数 | 72 名 |
本社所在地 | 〒216-0041 神奈川県川崎市宮前区野川本町2丁目13番3号 |
ホームページ | https://chitose-bio.com/jp/business/chitose_laboratory |
連絡先窓口 | 株式会社ちとせ研究所 バイオ生産部 河合哲志 |
メールアドレス | tetsushi.kawai@chitose-bio.com |
電話番号 | 044-741-2168 |
研究開発された技術を探す