文字サイズ
標準
色の変更

研究開発された技術紹介

  1. トップ
  2. 研究開発技術検索
  3. 自動車のトーションビーム等の薄肉中空部品の軽量化・低コスト化を実現し、高強度性を保つ複合加工技術を開発する。

複合・新機能材料

自動車のトーションビーム等の薄肉中空部品の軽量化・低コスト化を実現し、高強度性を保つ複合加工技術を開発する。

広島県

株式会社ワイテック

2021年2月19日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 軽量薄肉高強度中空断面部品の革新的複合加工技術の開発
基盤技術分野 複合・新機能材料
対象となる産業分野 自動車
産業分野でのニーズ対応 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(小型化・軽量化)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、高効率化(省エネルギー化)、低コスト化
キーワード 高周波通電加熱、熱間成形
事業化状況 研究実施中
事業実施年度 平成21年度~平成23年度

プロジェクトの詳細

事業概要

本研究開発では、自動車の燃費向上につながる車体重量削減ニーズに、低コストな軽量薄肉高強度中空断面部品を実現する事で寄与すべく、液圧成形、ホットスタンプそれぞれの特徴を活かし、高度に複合化させて革新的な加工技術を確立し、低コスト、省エネルギー、高効率に軽量薄肉高強度中空断面部品の量産化を図る。

開発した技術のポイント

成形~加熱~冷却のプロセスを一工程で実施し、製品の性能を維持・向上させコストを低減
・製品の性能を向上:強度20 %向上(1,500MPa) → 平均硬度450Hv (1,500MPa 相当)を達成
・軽量化:製品の重量を10 %削減 → 24 %削減を達成
・低コスト化:製造設備費用30 %削減、1 個当たり総加工時間1/10以下 → 製造設備費用32 %削減、1 個当たり総加工時間1/10 以下を達成
(新技術)
<成形~冷却までの全てのプロセスを一工程で実現する新技術>
・金型内で、中空‐様断面素材(パイプ材等)を通電により瞬時に加熱
・素材内部に水蒸気圧力を発生させ、素材を内圧で保持、金型形状に沿わせやすい状態を保つ
・AC3変態点以上の高温化でプレス成形を行う
・型締直後に素材内部へ注水して直接急冷を行う

具体的な成果

・目標は達成
-通電加熱による加熱技術を確立
-高周波通電加熱において、給電部を4分割した部分についても設定した目標を達成。高い耐久性能が確認された接触式とし、給電の安定化を実現
-金型とワークのクリアランス確保等を施すことで、周辺設備への誘導加熱ロスを削減し、目標の900℃/85秒(量産想定設備換算で900℃/8秒に相当)に対し、900℃/82秒を達成
-高周波通電加熱が、中空一様断面を急速加熱させるのに最適な加熱方法であることを実証
・水蒸気圧発生装置技術を確立
-適切な水蒸気圧力をシミュレーション及び実験により抽出、内圧2MPaでワークが金型に密着することを確認
-プレシールパッキン構造(予圧拡張型パッキン)を採用し、シール性と量産性を両立・冷却条件を最適化、試作品によって性能を確認
-最適な冷却条件を探索し、焼入れ必要部位の平均硬度450Hv(1,500MPa相当)以上を達成
-トーションビームアスクルを試作し、ハイサイクル捩り耐久試験、ローサイクル捩り耐久試験いずれについても設定した目標を達成。高い耐久性能が確認された

知財出願や広報活動等の状況

【特許】
・筒状体の成形方法及び成形装置(特願2009-178108/特許5692974)
・熱処理方法(特願2014-023702/特許6342667)
・筒状体の成形方法及び成形装置(特願2015-063755/特許6526459)

研究開発成果の利用シーン

開発した複合加工技術により、トーションビームのような中空部材の軽量化と低コスト化を両立することができる。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

・有償サンプルあり(弊社想定のトーションビーム試作部品)

提携可能な製品・サービス内容

設計・製作、試験・分析・評価、共同研究・共同開発

製品・サービスのPRポイント

・軽量化 → 開発したクラッシュドチューブタイプのトーションビームは高剛性・高強度を保ちつつ中空薄肉化を実現し24%の軽量化を実現
・低コスト化 → 開発した複合加工は従来比で工程数1/3、個当り加工時間1/10、設置面積1/2となり製造設備費用の32%削減を実現出来る見込みである
・省エネルギー化 → 熱処理時の加熱工程を電気炉から直接通電加熱に変更し、加熱エネルギー53%削減を実現

今後の実用化・事業化の見通し

事業化を視野に、技術開発を実施中。自動車メーカーのニーズと事業で得られた技術をマッチングさせた部品設計を、自動車メーカーと共同で行うことを目指す
・現在自動車メーカーとの共同開発を目指して、トーションビームの設計スタディ中である・事業化に向けた実用化技術開発、更なる効率化を目指し、IH表皮効果による部分加熱、焼入れ工法の実験研究を今後補完研究にて実施する予定・自動車メーカーのグローバル戦略(価格は競合で決まる、海外どこででも作れることが必要)のため、独自技術はその採用が難しい面もあるようだ。多様で複雑な自動車メーカーのニーズと当技術をうまくマッチングさせた部品提案をしたい

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社ワイテック
事業管理機関 公益財団法人ひろしま産業振興機構
研究等実施機関 株式会社富士技研
株式会社山本水圧工業所

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社ワイテック(法人番号:2240001036645)
事業内容 自動車部品製造
社員数 1516 名
生産拠点 中国地方に8工場を保有
本社所在地 〒736-0003 広島県安芸郡海田町曽田3-74
ホームページ http://www.ytec-gr.co.jp
連絡先窓口 YKI開発センター リーダー 山根響太郎
メールアドレス yamane-k@ytec-gr.co.jp
電話番号 082-823-2257