立体造形
表面欠陥・内部欠陥の原因となる懸濁化合物を除去する溶湯精錬技術の開発
広島県
株式会社木下製作所
2020年4月24日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 溶湯精錬(リファイニング)による鋳鉄の高品質化及び低コスト化技術の開発 |
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基盤技術分野 | 立体造形 |
対象となる産業分野 | 自動車、産業機械、工作機械 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(精度向上)、環境配慮、低コスト化 |
キーワード | 精錬、鋳鉄、高品質化、懸濁化合物 |
事業実施年度 | 平成21年度~平成23年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
自動車用及び一般産業用鋳鉄品においては、溶融金属中の懸濁化合物(酸化物等)に起因する内部欠陥、表面残渣等の不良低減が大きな課題である。本研究開発は溶融金属中の懸濁化合物を精錬除去することにより不良を低減し、同時に薄肉軽量化等の高品質化、鋳造歩留り向上等のコスト低減を通して付加価値生産性の向上、省エネルギーによる環境負荷の低減を達成しようとするものである
開発した技術のポイント
溶融金属から懸濁化合物を除去できる溶湯精錬技術を開発
・成分 → 酸素含有量< 20ppm、硫黄含有量<0.008 %
・不良率 → 現状比50%以下
・加工取代 → 現状比50%以下
・鋳造歩留り → 現状比25%向上
・製造原価 → 現状比20%低減
・懸濁化合物が鋳鉄性能の低下に影響するメカニズムの解明と管理指標の構築
(新技術)
<溶湯清錬>
特徴
・溶湯段階でこれらの懸濁化合物を精錬除去(リファイニング)することによって廉価で低品位のスクラップから高品質で付加価値の高い鋳鉄を製造できる装置及び製造技術を開発セラミック中子を用いた複雑形状鋳物でも迅速試作可能
・懸濁化合物が内部欠陥、溶湯の流動性に影響を与えるメカニズムについての解明を行ない、内部欠陥、溶湯の流動性を溶湯段階で定量的に評価できる管理指標を構築
具体的な成果
・懸濁化合物除去のための溶湯処理条件を設定
-懸濁化合物除去前後の溶湯に対する鋳鉄性能(引張強さ、伸び)を満足する溶湯処理条件を設定
-上記条件で懸濁化合物除去前後の溶湯を処理、流動性、内部欠陥、表面欠陥等の鋳鉄性能を比較、処理後の溶湯は流動性が良く、表面欠陥が出難いことが判明
・溶湯精錬炉の操業条件、溶湯精錬炉の操業手順を確立
-実操業における品質確保のための溶湯精錬炉の操業条件、操業手順を確認
-アーク・スラグ処理により低品位のスクラップを使用して表面欠陥が少なく流動性の良い高品質のダクタイル鋳鉄を製造できる目途がたった
-操業の管理指標として溶湯中の硫黄含有量を使用可能
・懸濁化合物が鋳鉄性能の低下に影響するメカニズムを解明
-アーク・スラグ処理前後で溶湯中の酸素量(O量、主にSiO2)は10~20ppmから2~3ppmへ低減されることが判明
-元湯の酸素量の低い溶湯により鋳造した試料の方が欠陥、流動性等の鋳鉄性能は優れていることが判明
-アーク・スラグ処理により高強度、高靭性のダクタイル鋳鉄が製造可能
知財出願や広報活動等の状況
新聞:日本経済新聞(H24.7.7)、中国新聞(H22.3.5)
研究開発成果の利用シーン
自動車用及び一般産業用鋳鉄品における、溶融金属中の懸濁化合物(酸化物等)に起因する内部欠陥、表面残渣等の不良低減。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
・H25年度の実用化に向け、補完研究を継続
・製作した実機版アーク炉の見学が可能。鋳造品についてもこの炉を使って試作は可能
提携可能な製品・サービス内容
加工・組立・処理
製品・サービスのPRポイント
・軽量化 → ダクタイル鋳鉄製品を肉厚2mmまで薄肉軽量化可能
・ロス削減 → 押湯低減、加工取代低減、不良率
・低コスト化 → 上記に加えて、低品質低コストの原材料を使用可能なため20%以上のコスト低減が可能
今後の実用化・事業化の見通し
補完研究と販売促進活動を実施
・実製品での効果を確保するための補完研究と新連携事業を活用した販売促進活動を行なっている
・補完研究は、肉厚製品の内部品質向上効果と高シリコンの耐熱製品の溶湯流動性向上効果を確保するための研究を実施中低減等の効果で歩留りは30%以上向上
・新連携事業により販売促進活動を行なっており、H24年度中に1台の販売成約を目指している
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社木下製作所 |
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事業管理機関 | 公益財団法人ひろしま産業振興機構 |
研究等実施機関 | 株式会社ナニワ炉機研究所 公益財団法人広島市産業振興センター工業技術センター 国立大学法人広島大学 三重県工業研究所 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社木下製作所(法人番号:2240001002614) |
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事業内容 | 球状黒鉛鋳鉄製鋳造部品の製造、販売及びアーク精錬炉技術の |
本社所在地 | 〒732-0802 広島県広島市南区大州4-11-39 |
ホームページ | http://www.7.ocn.ne.jp/~ksworks |
連絡先窓口 | 代表取締役 木下潔 |
メールアドレス | kinowrks@mint.ocn.ne.jp |
電話番号 | 082-285-2121 |
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