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精密加工

板金プレス加工技術の高度化により、ショックアブソーバーのシール用金属部品の材料歩留まりを大幅に改善

埼玉県

株式会社井口一世

2020年3月23日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 シール用金属部品の省資材化・低コスト化を実現する板金プレス加工技術の研究開発
基盤技術分野 精密加工
対象となる産業分野 航空・宇宙、自動車、ロボット、産業機械、建築物・構造物
産業分野でのニーズ対応 高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、環境配慮、低コスト化
キーワード 塑性結合、リング成形、切削レス、歩留り向上
事業化状況 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中
事業実施年度 平成21年度~平成26年度

プロジェクトの詳細

事業概要

シール用金属部品は自動車等に搭載されるショックアブソーバーの構成部品の一つである。従来は切削またはプレス絞りと抜き加工で製造され、部品一個の材料歩留りは7~14%である。本開発では、汎用プレスとレーザ加工機を使用した板金プレス工程に塑性結合、リング成形などの新しい技術を導入し、従来と同様な構造で材料歩留りを大幅に向上させ平成25年には年間で約2万トンの材料節減と31億円のコスト低減を達成する

開発した技術のポイント

レーザー加工による切削レス化や帯状材料からリング形状に成形し、結合部に塑性結合を用いる新技術を導入し、材料歩留まりの大幅改善を目指す
(新技術)
・大口径
‐薄板材料よりレーザ加工でブランクを採取
‐汎用プレスによる絞り及び抜き加工
(目標値)
‐歩留り:約7→41%
‐加工工程数、コスト:1/10
・中口径
‐帯状の板材を所定の周長にブランク切断し、リング状に成形、結合部をカシメ・塑性結合により接合後、プレスにより所要の成形を施す
(目標値)
‐歩留り:約41→90%・材料コストの低減
・小口径
‐高張力鋼採用を可能にする新規板金プレス加工技術を開発
(目標値)
‐軽量化:約30%以上・材料費削減

具体的な成果

・大口径シール用金属部品の板金プレス加工技術の確立
‐中実丸棒を切削する従来方法から、板材をレーザーカットし絞り加工で製作する方法を開発。材料歩留まりを従来の3~6%から19~30%に改善、加工コストは半減
‐円板ブランクをドーナツ形ブランクの複数取りの採用で目標の40%を達成
‐中口径で開発した帯状板材からの加工法を活用することで100%に近い歩留まりを達成する見通しを得た
・中口径シール用金属部品の板金プレス加工技術の確立
‐帯状材料からの作製に成功し、材料歩留まりをほぼ100%にできた
‐川下企業からのアドバイスを受け、本工法を大口径部品や他産業分野の部品加工に適用する検討を実施
・小口径シール用金属部品の板金プレス加工技術の確立
‐中口径部材と同じ成形方法に成功したが、新工法による経済効果は小さかった
・数値シミュレーションを用いた弾塑性解析による新工法の検討
‐実際の試作品と解析結果との比較検証を行い、絞り圧力、製品各部で発生する応力やひずみ、板厚の分布、製品形状の変化等を把握

知財出願や広報活動等の状況

・特許:「金属部品の締結構造」(特開2011-185344)、「中空筒型リング部材の製造方法及び中空筒型リング部材」(特願2012-42905)
・受賞:東京都「東京都経営革新優秀賞」最優秀賞(H24)
・出展:2012産業交流展(H24.12)

研究開発成果の利用シーン

汎用プレスとレーザ加工機を使用した板金プレス工程に塑性結合、リング成形などの新しい技術を導入することで、材料歩留まりを大幅に向上させることが可能

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

・シール用金属部品(大口径・中口径・小口径)の有償サンプルあり
・派生技術について
本研究から派生した「切削レス」の考え方で、今まで切削加工で部品を製作していた企業から多々案件を頂き提案し事業化が成功している。

提携可能な製品・サービス内容

設計・製作、加工・組立・処理、素材・部品製造、製品製造

製品・サービスのPRポイント

・低コスト化→開発したシール用金属部品は、大口径で1,600円/個、中口径で400円/個、小口径で1円/個のコストダウンが可能になる
・歩留まり向上→開発したシール用金属部品は、大口径で7%→41%、中口径・小口径で41%⇒ほぼ100%の歩留まり向上を可能にする
・省エネルギー化→材料歩留まりを大きく向上させることにより、省資材・省エネルギー化を実現する

今後の実用化・事業化の見通し

川下企業からの引き合いを受け、性能・耐久性等の評価を受けている
・川下企業から数件の引き合いを受けている。性能や耐久性について川下企業の評価コメント待ちの状況
・シール用金属部品としての製品化を目指し、川下企業と製品化の範囲や数量、スケジュール等について協議を進めていく
・現在自動車産業以外にも同技術を水平展開しており、さらなる拡大が見込まれる

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社井口一世
事業管理機関 株式会社井口一世
研究等実施機関 株式会社井口一世
有限会社池場製作所
国立大学法人東京農工大学

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社井口一世(法人番号:5010001118372)
事業内容 金属加工用金型の設計・製作、金属プレス加工、板金加工、各種表面処理、各種熱処理、各種アッセンブリー
社員数 38 名
本社所在地 〒359-0006 埼玉県所沢市所沢新町2553-3
ホームページ http://www.iguchi.ne.jp
連絡先窓口 管理部 総務課 稲垣早希子
メールアドレス inagaki@iguchi.ne.jp
電話番号 04-2990-5400