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研究開発された技術紹介

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表面処理

高い機能性を確保しつつ複雑形状部品への適用を可能とする環境配慮型溶射技術の開発

岐阜県

旭金属工業株式会社

2020年3月23日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 環境配慮に適応した溶射技術高度化の開発
基盤技術分野 表面処理
対象となる産業分野 航空・宇宙
産業分野でのニーズ対応 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高性能化(信頼性・安全性向上)、環境配慮
キーワード クロムフリー、耐摩耗性、高硬度
事業化状況 事業化に成功
事業実施年度 平成20年度~平成22年度

プロジェクトの詳細

事業概要

ランディングギア、フラップ等の航空機部品は、使用環境が過酷なため高い耐久性・耐摩耗性が要求され、またROHS規制等の流れを受け、環境負荷が少ない新たな生産方法の確立が求められている。本研究開発は、こうした状況下、従来のクロムめっきに替り採用されたHVOF溶射について膜厚均一/均質な被膜化及び面粗度の精度向上を図り、クロムめっき以上の機能性を確保しつつ複雑形状部品への適用を可能とするものである

開発した技術のポイント

歴史の浅いHVOF溶射について、基礎データを取得しながら課題解決を目指す
・温度モニタリングの測定精度:±1.1℃以下
・疲労強度:疲労試験100,000サイクルで破断しない
・パウダーの付着率:20%以上
・跳ね返り率:35%以下
(新技術)
<環境配慮型HVOF溶射技術>
(新技術の特徴)
・均一な膜厚、表面粗度向上によるコスト削減
・付着率向上、跳ね返り度減少による生産性の向上
・複雑形状物製作が可能となり、多様なニーズに応える

複雑ワークへの溶射の様子
具体的な成果

・溶射面粗度向上のための試験と評価
‐パウダーの選定と、冷却方法の工夫により、パウダーの付着率が向上し、平板では共に付着率の目標値20%以上を達成した
‐選定したパウダーで溶射した15-5PH材の疲労試験片は、ポロシティー、酸化物、未溶融粒子及び皮膜硬度がそれぞれ目標値1%以下、HV1000以上を満たしていた。また破断サイクル数について目標の100,000サイクル以上を達成した
・複雑形状ワークによる皮膜の評価
‐複雑形状ワークの溶射面に対するガン角度を工夫することにより膜厚が均一になることが確認でき、膜厚要求値125±25μmを満たすことができた
・安定した品質作り込みのための溶射管理技術の開発
‐要素技術の研究開発の成果を集大成し、実機レベルの溶射に適応したHVOF溶射のプロセス仕様書を作成した
・溶射品の断面組織
~膜厚に関して良好な結果が得られた方法を用いて溶射を実施。溶射方法の改善によって、溶射面粗度が向上し、目標値を達成した~

溶射品の断面組織
知財出願や広報活動等の状況

出展:香港エアーショー(H23.3)、パリエアーショー(H23.6,H)、Aeromart Toulouse2012~、シンガポールエアショー、

研究開発成果の利用シーン

クロムめっき以上の機能性を確保しつつ複雑形状部品へ適用できる溶射技術

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

MRJ試作機にHVOF溶射が採用された。また量産機の受注獲得も成功した。
B787機種にHVOF溶射が採用され、量産機の受注獲得に成功した。
ヨーロッパなど海外から新規受注の引き合いが増えている。現在受注検討中である。

提携可能な製品・サービス内容

加工・組立・処理、素材・部品製造

製品・サービスのPRポイント

・歩留まり向上:疲労強度の低下が少ない作業限界温度の設定と冷却方法の工夫により連続的に溶射でき、現状より約2割歩留まりを向上することができた
・複雑形状化:オフラインソフトの開発により、ティーチングを行わずにCATIAデータから溶射プログラム作成をすることができるようになり、複雑な部品に対応できるようになった
・低コスト化:溶射後の面粗度を4.0μm以下にすることができたため、溶射後の研磨作業が低減され、コストを削減することができた

今後の実用化・事業化の見通し

事業化した。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 旭金属工業株式会社
事業管理機関 公益財団法人中部科学技術センター
研究等実施機関 国立大学法人北海道大学
国立大学法人九州工業大学

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 旭金属工業株式会社(法人番号:7130001002439)
事業内容 特殊工程を中心として、(1)航空・宇宙機器部品の製作、(2)航空・宇宙エンジン部品の製作、(3)航空・宇宙機器部品の加工用冶具・組立冶具の製作(4)原子力機器部品・加速器部品の製作、(5)その他大物部品の陽極処理
社員数 337 名
生産拠点 京都に本社工場、京都南工場の2工場、岐阜県安八郡に3工場、マレーシアに1工場、アメリカに1工場。
本社所在地 〒503-0125 岐阜県安八郡安八町牧4851-4
ホームページ Http://www.akg.co.jp
連絡先窓口 営業担当常務取締役 中村止
メールアドレス tnakamura@akg.co.jp
電話番号 0584-64-5061