立体造形
高強度・高耐圧アルミ部品の新工法により、自動車エアコンの軽量化・コストダウン・品質向上を目指す
群馬県
株式会社三和 伊勢崎第1工場
2023年9月25日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 高強度・高耐圧アルミ部品の新工法開発 |
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基盤技術分野 | 立体造形 |
対象となる産業分野 | 航空・宇宙、自動車 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高性能化(小型化・軽量化)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、高効率化(生産性増加)、環境配慮、低コスト化、デザイン性・意匠性の向上 |
キーワード | 薄肉鋳造化、高強度、耐摩耗 |
事業化状況 | 研究中止または停滞中 |
事業実施年度 | 平成19年度~平成21年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
従来のアルミダイカストでは困難であった高耐圧薄肉部品の製造を可能にする新ダイカスト工法と高強度・耐摩耗部品の製造を可能にする新プレス成形工法により、高耐圧と高強度・耐摩耗が要求される自動車空調用アルミ製コンプレッサの薄肉化と低コスト化を実現する。本工法は、低コストでの剛性・耐食性・耐久性およびリサイクル性に優れたアルミ部品の用途拡大を牽引する重要な役割を担うものである
開発した技術のポイント
3つのサブテーマ研究より、アルミ製コンプレッサの薄肉化と低コスト化を実現
・セミソリッド粒状結晶による高耐圧・高強度部品を製造するダイカスト工法開発:
モデル形状限定であるが→耐圧性能:3.5MPa→35MPa、最小肉厚:5mm→3mm
・SiC混入スラリーを用い、鍛造と同等の高強度・耐摩耗部品を成形するプレス工法開発:複合材の安定化に至らず目標未達成
・新たなノウハウ・品質等情報を、初期段階から蓄積・活用する仕組みを構築:
研究開発体制時は開発から金型製作、鋳造評価迄のデータ一元化と活用の仕組みを確立、後に体制変更等あり活用できず。
(新技術)
サブテーマ1:高耐圧薄肉部品の製造を可能にするダイカスト工法の開発
・従来のセミソリッド工法は、ダイカストに適した低粘度スラリーの安定生成が困難。また、破断の起点となる欠陥が生じやすく、高耐圧部品に不適。
サブテーマ2:高強度・耐摩耗部品の製造を可能とするプレス成形工法開発
・従来の高強度・耐摩耗性アルミ素材を用いた鍛造工法は、素材の割れを回避するため複数工程に分けて複雑形状部品を成型している。
サブテーマ3:新アルミ部品製造工法に関するナレッジシステム開発
・新製造工法のノウハウや品質等の情報を、開発の初期段階から蓄積・活用する仕組みを創り、無駄を省くプロセスの開発、製品開発から製造までの最速生産リードタイムを実現。
具体的な成果
(サブテーマ1)高耐圧薄肉部品のダイカスト工法は、技術目標の耐圧値をクリア
・厚肉複雑形状モデルで耐圧性能35MPa以上を達成(従来の10倍以上)
・単純形状モデルで熱処理品にて、引張り強度MAX415MPa、伸びMAX6.10%を達成
・セミソリッドで困難とされる薄肉複雑形状モデルにて、平均肉厚3mm品の鋳造を実現。但し、内部品質にばらつきがあり量産適用には至らず
(サブテーマ2)特性値向上が期待できる複合材の撹拌ノウハウを獲得
・サブテーマ1と共通する高品位スラリー生成の最適条件見極めを最優先項目に計画変更
・ユーザー企業からニーズの高い「高強度」、「耐摩耗」、「防振・熱膨張への適用」に関する特性値向上を期待できる複合材作製の撹拌ノウハウを獲得
(サブテーマ3)技術情報DBを構築し、トレーサビリティ強化
・鋳造解析を含む工法開発過程の必要情報の明確化により、技術情報DBを構築
・情報DBによりデータ管理の一元化を図り、トレーサビリティを強化
・工法開発途上により技術目標は未達。システムへの情報一元管理の継続により、目標実現を目指す
知財出願や広報活動等の状況
工法開発特許が主となるため、特許取得は見送り。
研究開発終了時は、成果物(形状モデル及び結晶組織)を用いた広報活動を管理法人と連携して展開したが、現在は無し。
研究開発成果の利用シーン
研究開発時:
・カーエアコン用コンプレッサにおいて、傾斜冷却法によるセミソリッドスラリー生成技術を活用したアルミ部品を用いることにより、軽量化・高品質化を図る
研究開発後:研究開発により取得した要素技術活用として
・高品質化を図るための鋳造温度制御技術、湯流れ解析、および鋳巣欠陥等の評価技術に展開
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
本開発事業の対象製品である自然冷媒対応のカーエアコン用圧縮機の筐体に対しては、本事業で開発した工法の採用はできなかったが、この開発で得られた要素技術を活用し平成26年より別工法開発を実施。平成29年5月より川下企業へ納入開始した。
但し川下企業より顧客情報に係る関係から販売数量含めた詳細情報は控えるよう打診あり
提携可能な製品・サービス内容
素材・部品製造
製品・サービスのPRポイント
研究開発が事業化に至らなかったが、得られた要素技術の活用による鋳造温度制御技術および湯流れ解析含めた鋳巣欠陥等の品質評価技術で早期の高品質化提案に対応が可能
今後の実用化・事業化の見通し
事業化に向けて、3テーマの補完研究は川下企業の意向により停滞あるいは中断
・サブテーマ1は、この開発で得られた鋳湯温度制御の要素技術を活用し、平成26年より別工法開発を実施。平成29年5月より川下企業へ納入開始。
・サブテーマ2は、耐摩耗性部品に適用する複合材の実用研究は研究開発機能の縮小に伴い中断
・サブテーマ3についても上記と同様、事業管理会社の解散およびコンソーシアム企業の統廃合により中止
事業化に向けた提携や連携の希望
実験の進め方やデータのまとめ方など、通常業務ではほとんど機会がない研究レベルでの経験を持て、実務者のモチベーション向上につながった。また、研究機関所有の評価設備の活用により、自社製品評価で川下企業への具体的な提案ができたと考える。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | サンワアルテック株式会社 |
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事業管理機関 | M&Dテクノ研究協同組合 |
研究等実施機関 | M&Dテクノ研究協同組合 旭産業株式会社 蔵前産業株式会社 サンデン株式会社 製造本部 藤田ソリューションパートナーズ株式会社 学校法人千葉工業大学 工学部 群馬県立群馬産業技術センター |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社三和 伊勢崎第1工場(法人番号:8070001013400) |
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事業内容 | ダイカスト鋳造 |
社員数 | 47 名 |
生産拠点 | 群馬県伊勢崎市に工場を所有 |
本社所在地 | 〒372-0855 群馬県伊勢崎市長沼町224番地1 |
連絡先窓口 | 2017年の合併以降、当研究開発に従事する機能(部署)が解体となり、現在は窓口無し |
電話番号 | 0270-31-3802 |
備考 | (旧サンワアルテック株式会社 ※2017年1月、サンデンホールディングス㈱のグループ会社である株式会社 三和と合併、名称変更) |
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