立体造形
鋳型造型技術の革新
大阪府
リグナイト株式会社
2020年3月21日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 過熱蒸気による鋳型造型プロセスの開発 |
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基盤技術分野 | 立体造形 |
対象となる産業分野 | 環境・エネルギー、自動車 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高性能化(精度向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(生産性増加)、環境配慮 |
キーワード | 過熱水蒸気、HSBプロセス、鋳型造型、フェノール樹脂 |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中 |
事業実施年度 | 平成18年度~平成21年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
川上製造事業者(自動車産業等)からの鋳造部品に対する要望「軽量化」「低コスト化」要求に対応するため、現在主流の「シェルモールド法」や「コールドボックス法」による鋳型造型法では限界がある。その為それらより進んだ方法の開発が急務であり『過熱蒸気による鋳型造型法』(ホットスチームブロープロセス)による鋳造技術を確立する。また同技術の確立によって鋳造工程における作業者等への環境改善を図る
開発した技術のポイント
川下製造事業者3社において、中子鋳型の造型と鋳込み評価試験が実施された。HSB造型法による鋳型造型では、バリの発生が抑えられること、さらに臭気の発生が極端に少ないことなどを立証することができた。一方、一部の鋳型形状に関しては強度不足やガス欠陥等の指摘を受けた。
また、鋳込み評価試験における製品評価は、HSB中子の特長である製品の寸法精度、ガス欠陥の少ないことや崩壊性が良いことなどが、現状のシェル造型法に対して優れているとして、高い評価を受けた。
当研究成果は、2009年11月に、日本鋳造協会秋季大会の講演会において発表された。
(新技術)
研究成果による新技術(HSB法)
・金型温度は150~170℃、過熱蒸気を直接通気
・型歪みは少なく、精度良好な鋳型となる
・新規粘結剤開発と蒸気通気法により低臭気実現
具体的な成果
従来のシェルモールド法では、写真Aの精度レベルの箇所に対して、本研究開発事業の成果として写真Bのレベルまでバリレス化を達成した。さらに、従来、作業環境が悪いとされてきたシェルモールド法に置き換わりうる低温、低臭気のHSB法の開発に成功した。
HSB法の研究開発により、人にやさしく、寸法精度が高く、歪の少ない品質の良い鋳型を供給できることになった。
なお、本研究開発の実施により、現在鋳造業界で使用されているシェルマシンは、過熱蒸気発生装置の追加によりHSB法に切り替わり、設備費を低く抑え、生産性の高い鋳型造型の実現が期待できる。
また、同技術は主型分野への転用が可能であり、直鋳込み鋳型製造への活用の研究開発にも取組んでいく。
知財出願や広報活動等の状況
特許出願数:13件
鋳造工学会 全国講演大会 HSB造型法に関し3回発表を行う。
及び展示会等にも出展を行う。
平成26年鋳造工学誌に「レジンコーテッドサンドの加熱に過熱水蒸気を用いた鋳型造型法の開発」を発表。
平成27年~28年にかけて鋳造工学誌に宣伝広告を掲載する。
研究開発成果の利用シーン
過熱水蒸気を利用することで鋳型造型時に発生するアンモニア等の臭気性ガスを大幅に軽減できるため、工場内及び近隣周辺への環境対策に有効である。金型温度を下げられるため金型の反りや寿命軽減及び鋳型の品質向上が見込まれる。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
2012年A社に於いて、過熱水蒸気を搭載した水平割鋳型造型機を作製し、HSBプロセスによる鋳型造型が行われ、約1年間稼働した。その間、処々の問題点も見受けられたが、A社の事情により終了となる。2019年B社に於いて、水平割鋳鋳型造型機に搭載可能な金型を作製し、造型の検証を進めている。
提携可能な製品・サービス内容
共同研究・共同開発、技術ライセンス
製品・サービスのPRポイント
過熱水蒸気を利用することで鋳型造型時に発生するアンモニア等の臭気性ガスを大幅に軽減できるため、工場内及び近隣周辺への環境対策に有効である。
金型温度を下げられるため金型の反りや寿命軽減及び鋳型の品質向上が見込まれる。
今後の実用化・事業化の見通し
鋳造工学会 全国講演大会への発表や展示会及び広告掲載などにより、ユーザーからの問い合わせが数多くありHSBプロセスの造型法はそれなりに浸透してきたと感じる。
2019年B社に於いて、水平割鋳鋳型造型機に搭載可能な金型を作製し、造型の検証を進めている。
実用化・事業化にあたっての課題
当プロセスの全体コストを下げる必要がある。「HSB中子」の完成度を上げるために鋳鉄部品の鋳込みを早期に実現する。そして、川下製造事業者からニーズを収集して粘結剤の改良と最適方案を織り込むことで、ニーズに合った「中子」を供給できる技術レベルの確立を図っていく。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社前田シェルサービス |
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事業管理機関 | 公益財団法人中部科学技術センター |
研究等実施機関 | リグナイト株式会社 株式会社前田金型製造所 新東工業株式会社 |
アドバイザー | 倉内技術経営ラボ、株式会社豊田自動織機、アイシン高丘株式会社、ヤマハ発動機株式会社 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | リグナイト株式会社(法人番号:8120001168494) |
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事業内容 | 工業用プラスティック及び成形品の製造・販売 |
社員数 | 66 名 |
本社所在地 | 〒592-8331 大阪府堺市西区築港新町二丁5番地 |
ホームページ | https://www.lignyte.co.jp |
連絡先窓口 | 開発部 井出、西田 |
メールアドレス | i.ide@lignyte.co.jp |
電話番号 | 072-243-1524 |
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