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高度な目標を設定し全社を挙げて研究開発を実施、早い段階からのPR活動を通じて市場ニーズの把握と顧客開拓に成功

イーメックス株式会社  専務取締役   大西和夫氏

培った技術・知見をもとに事業化までの時間軸が短い研究開発を開始

研究開発が開始したきっかけを教えてください

当社は、過去に実施したNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の研究プロジェクトで培った「高分子アクチュエータ」に関する技術を強みとしており、上記プロジェクトに参画した国立大学教授や産総研研究者6名とともに設立した会社である。高分子アクチュエータ技術に関する15年近くの蓄積を持ち、実用化に向けた世界トップクラスの実力や知見を有する。
かねてより、高分子アクチュエータの材料を使用して新テーマの検討を進めていたのだが、様々な媒体から収集した情報や、当社が15年に渡るアクチュエータの研究を通じて培った5,000~6,000にわたる材料の処方を活かすことで早期の事業化が期待できると考え、二次電池の正極に高い性能を持たせられる材料の研究開発に乗り出すことを決意した。

正極の性能向上に関する技術動向やニーズはどのようにして把握されたのでしょうか

パイロットプラントで連続電解重合した正極

当社はサポイン事業を開始する前から二次電池の正極に関する研究開発を行っており、エネルギー密度と出力密度の2点が重要であることを強く認識していた。正極材料自体が新しいものであるため、新しい製品開発へのニーズや確証を得られる機会は必ずしも多くはないが、研究成果の発表や発信が顧客との意見交換につながった。当社の開発する電池は出力密度に特徴があることから関心を引くことができたと考えている。

将来を見据えた高度な目標を設定、全社を挙げて開発目標に挑戦

研究開発の目標はどのようにして定められたのでしょうか

サポイン事業の実施自体は事業化を見据えたゴールではないと考えている。サポイン事業を実施するためだけに、事業期間中で達成できそうな比較的やさしめの目標を特別に設定するのではなく、当社がサポイン事業とは関係なく立てた全社を挙げて取り組むべき高度な目標をそのままサポイン事業の目標とした。
最先端の研究開発を行う場合は当然、多少のリスクは伴うとは思う。一方で、最先端の研究テーマを根気よく継続することによって、長期的に見た顧客の信頼や認知を得ることに繋がるのではないだろうか。

高度な目標を達成するため、どのような体制で研究開発を進められましたか

当社は元大学教員および企業の研究員をはじめとしたベテラン研究者の採用に力を入れている。目標達成に向けて自身で考え、行動に移す方々が集まっていたことで、高い目標を達成するための素地があったように思われる。
また、サポイン事業に限らずに日常的に、研究開発内容に関するディスカッションや意見交換をしていたこともあり、本サポイン事業でも日々の進捗確認や情報共有をごく自然に行うことができた。

研究開発を行う社内の体制がうまく機能されていたようにお見受けします

今回のサポイン事業で開発した装置(連続電解重合装置)は、世界初ということもあり、研究開発におけるパートナー探しや装置の作動等について、最終的には当社自身がやり抜くという覚悟が必要でもあった。
外部のアドバイザーと協働しつつも、研究開発に全社を挙げて取組んだことで、サポイン事業期間を通じ、困難な目標に向けて遅延なく研究開発を進められたのではないだろうか。

戦略的に顧客との接点を構築、市場ニーズの把握と顧客開拓に成功

研究開発成果はどのようにPRされていかれたのでしょうか

必ずしもサポイン事業の成果に限定されるものではないが、研究成果の公開は顧客との接点を作る上で非常に重要だと認識している。例えばHPによる情報発信では、研究開発内容について多くの情報を公開することによって、顧客との接点がより生まれやすいように工夫している。
もちろん、広く情報を公開するリスクはあるかもしれないが、多様なキーワードや内容を盛り込んで発信することによって、顧客が興味関心を持つ機会を生み出すことにも繋がっている。実際にHPを介した問い合わせは多い。

展示会のような場も活用されましたか

ホームページや学会誌等を通じた技術や製品のPRに特に力を入れており、現時点では展示会等の場の活用は想定していない。サポイン事業を開始する前から電池の研究を行っていたこともあり、展示会のような場を活用せずとも電池を取扱う顧客との結びつきを多く持っていたことも大きいだろう。
自社の研究開発成果や内容を発信する場や接点として、本当に適しているかどうかを見極めた上で、戦略的な情報発信が当社のビジネスでは功を奏している。当社では、HP等での発信が質が高い顧客との接点構築に上手く繋がっているのではないだろうか。

様々な接点を持つことによって、具体的な成果にもつながっておられるのでしょうか

キャパシタ電池を搭載した電気自動車

サポイン事業で開発した連続電解重合装置により、電池を量産する目処がたった。また、量産した電池を用いて電気自動車を動かすことができる段階に進んでいるということもあり、現在は、当社の技術に関心を寄せる企業に小型電池のサンプルの評価を依頼している段階だ。
HPを通じた情報発信、様々な問い合わせやつながりをきっかけとして、最終ユーザー(電池を装置に組み込むメーカー)、電池メーカー、正極の量産メーカー等、当社で開発した正極に関与する企業が1つのラインで繋がりつつある。今後は、これらの繋がりをより太くするとともに興味を持っていただける企業との質が高い関係を継続的に構築していきたいと考えている。

サポイン事業を効果的に利用する上でのメッセージ、アドバイス

最後に、今後サポイン事業に応募を検討される方や、現在実施されている方にメッセージをお願いいたします

当然のことではあるが、サポイン事業に応募する時点で設定した最初の目的を意識し、達成に向かって研究開発を進めることが重要かと思う。
もちろん、開始時点で立てた目標の全てをクリアすることは難しいことではあるが、サポイン事業の最終的な目的は、開始時点で設定した目標の達成ではなく事業化になるだろう。
事業化を見据えた目標設定、達成を意識することによって、研究開発を進める中でより柔軟な対応ができるとともに、研究開発のゴールの達成に繋がるように思われる。

サポイン技術情報
プロジェクト名:
リチウムイオン二次電池を超える高性能二次電池(キャパシタ電池)の開発
事業実施年度:
平成24年度~平成26年度
研究開発の目的:
導電性高分子を用い、大容量、大電流、長寿命を実現させる二次電池用正極の開発を行い、それを用いた電池システムの検証と量産に向けた正極のパイロットプラントの製作を行う
事業化の状況:
サポイン事業終了時点で事業化に向けた開発の実施段階であり、今後は同社と技術提携を行う複数の正極メーカー、電池の量産メーカーで製造販売を行う予定である