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「チャレンジ精神」、「フットワーク」に基づく、「オープンイノベーションな
社内文化」により事業化目標の早期達成手段を選択

シグマ株式会社 LIS カンパニー COO  江崎泰史氏(写真左)
               次長  石倉靖大氏(写真右)

産業技術総合研究所との共同開発成果をベースとしてサポイン事業を実施

今回のサポイン事業に応募するまでの経緯を教えてください

当社(本社は呉市)は、創業80年で現在売上70億円、従業員350名の会社で、もともとは海軍の船の部品を造ることから始まった。その後、船から自動車の部品の製造に移り変わり、金属や樹脂、複合材の冷間鍛造で出来た精密小物部品を造っている。部品以外にも完成品の事業分野を広げ、1つはセキュリティ分野で国産トップシェアの店舗用防犯ゲート、もう1 つはレーザーを使った検査装置が製品となった。
これまで社内組織での室から事業部へ組織改正し、さらに2000年にレーザーを使用した検査装置を事業とする社内ベンチャー企業としてLISカンパニーを立ち上げ、現在この地(広島起業化センター「クリエイトコア」)で研究開発を行っている。
サポイン事業の応募前から、既に地の利を活かして2000年から産業技術総合研究所(以下、産総研)の岡田先生とでレーザー検査装置の共同開発を進め、2007年にはある程度の量産型が完成した。ただし、当時はリーマンショックがあったため、販売が上手くいかなかったが、その様な中でも地道にお客様のニーズを聞き取って改良して、2010年には製品として販売を進め、2014年には経済産業省のグローバルニッチトップ企業100にも選ばれました。

ユーザーニーズに沿って、レーザー検査装置の適用範囲を拡大

研究開発のゴールをどのように設定しましたか。

レーザー検査装置は部品上の穴中の欠陥を検査できる装置であったが、お客様からの要望もあり、サポイン事業を使って欠陥だけでなく穴の径や真円度も同時に測定できる装置の開発を目指すこととした。
従来、エンジンブロックの穴の欠陥検査は、検査員が穴の中でライトを光らせることや細い穴には内視鏡を入れてモニター画像を見ることで行ってきた。従来、穴径の測定は、検査員が多種類の穴に異なるエアマイクロを、真円度もゲージ棒を穴に刺して測定している。
欠陥検査においては、高速に回る軸(15,000回転/分)を穴に入れて先端からスポットレーザーを出すことで、穴の中をスキャニングして検査することをイメージし、穴壁からのレーザーの反射光を検知して、その明るさの変化量で欠陥が分かる。さらに穴径と真円度も一緒に自動化できるのが良いと考え、産総研と一緒に進めた方がいいと判断し、今回のサポイン事業での研究開発となった。
さらに、検査で採ったデータを使ってOK、NGと判断しているが、蓄積したデータを集計・分析すれば、どのような欠陥が、どの位置に、いつ、どのくらい発生するのか、また対策の善し悪しの判断や予兆管理等にもデータの活用ができる。
加えて、経済産業省の新市場創造型標準化制度事業に参画し、穴中のJIS規格作りも始めている。将来的にはISO規格に発展させたい。

量産プロト装置

体制内での密度の濃いデータ交換により課題認識の共有化、現実的な妥協点への到達

研究開発の体制、研究開発中の苦労した点について教えてください。

産総研と一緒に研究開発を進めてきたが、その時々の最終判断は当社で行った。当社のスキルや知識が足りない所は、当社が理解して消化できるまで産総研に聞き、今では、対等に技術的な議論が交わせることになっている。基礎データは産総研、装置化によるデータは当社で採り、当社で基礎データが採れるようになったら、装置を産総研に貸与するなど、データのキャッチボールにより、お互いに課題を認識し、共有化できた。
産総研が提示する理論に対して、当社には具現化するために、いろいろな情報収集、新たな要素技術を開発することが求められた。量産のプロトタイプを造る上で理論が現実的でない場合には、当社から産総研にフィードバックし、現実的な妥協点を見出すことができた。

海外企業との提携により、IoT、AIの活用を図り、装置の自動運転化を目指す

事業化に向けた活動について教えてください。

今回サポイン事業を活用して研究開発を実施したことで計測分野にも進出することができた。なお、今回の研究開発品の残った課題に対して、その後広島県の補助金も活用して、補完研究を実施し製品化しており、2018年6月の東京ビッグサイトでの展示会に出品し、販売を開始する予定である。
また、取得したデータに対してIoTやAIを活用する検討を進め、米国シリコンバレーの企業と提携して試作中である。ユーザーからの意見に沿って改良、実証試験を通じて製品に仕上げ、製品化したい。
シリコンバレーの企業と提携したのはIoTやAIを活用して如何に安全に自動運転するかを検討するため、専門家の知識を拝借するためである。
社員の約4割が外国人であり、海外にも目を向けてエンジニアや年齢に関係なく人材を採用し、自然と社内が多国籍となっている企業風土も役立っている。

装置構成概要

サポイン事業を効果的に利用する上でのメッセージ、アドバイス

最後に、今後サポイン事業に応募を検討される方や、現在実施されている方にメッセージをお願いします。

中小企業というのは、組織編成が非常にこぢんまりとしていることから、情報共有や意思決定にもスピード感が必要であり、元気がないとやっていけない立場にあるのではないかと思っている。
今後サポイン事業を活用する中小企業に対しては、実用化は自ら実施することを肝に銘じて進めた方がいいと思う。また、共同研究する研究機関は、自ら経済産業局や大学でのセミナーや催し等に参加することや、ネット等によって探す行動力も必要と思う。

サポイン技術情報
プロジェクト名:
内面欠陥検査・径測定・真円度測定を同時に可能にするレーザー3次元内面検査装置の実用化開発
事業実施年度:
平成26年度~平成28年度
研究開発の目的:
内面欠陥検査と同時に径測定及び真円度測定を実施することにより、「検査精度の向上」と共に「設備コスト・検査員コストの削減」「サイクルタイムの短縮」が可能なオンリーワン検査装置を実用化開発する
事業化の状況:
ものづくり補助金等の公的資金を活用しながら、本格的量産対応モデル(高速化・ロバスト強化)の開発に着手し、平成30年度から自動車業界市場へ供給するための量産を開始し、以降、事業規模を拡大する。