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自動車産業における生産技術の高度化に対応した産業用ロボット用硬さ試験グリッパの開発

株式会社マツザワ(秋田県)
技術課 次長 境屋博司
江藤公子

生産現場の“硬さ試験”を高精度に実現。製品検査のスピードアップ、品質向上に貢献します。

会社紹介

会社外観

 株式会社マツザワは1995年に創業、『硬さ試験機のマツザワ』として、各種技術開発、品質管理などの分野において、国内外の顧客に安定した技術で信頼のおける製品を提供している。
多種多様なニーズに対応した最新の画像処理技術による自動硬さ測定や試料搬送から研磨、硬さ測定までこなすシステム製品を開発し、測定者間の個人誤差や疲労による誤差の改善に貢献している。
主な業務は、マイクロビッカース硬さ試験機・ビッカース硬さ試験機・ロックウェル 硬さ試験機・自動検査装置の設計・製作・販売、および修理や校正も行っている。

研究開発(サポイン事業)の背景

研究開発風景

 自動車産業では、素材や部品において品質保証を向上させるため、製品の全数検査が必要となり始めている。
 従来の検査では、試験対象部品から試験片を切り出して硬さ試験を行うため、必然的にロット単位における抜き取り検査になっている。
 切り出された部品は、不良品となり、コスト面でも負担となっている。一方で、ライン工程の中に硬さ試験を組み込むという方法を検討した場合、3次元空間内の任意の位置で計測することが求められるが、既存の試験機は大型で生産ラインに組み込むことができない。
 これらを解決するためには、自動車産業において、多くの産業ロボットが適用されている現状に併せて、産業ロボットが可搬できる硬さ試験器の開発に取り組んだ。

研究開発(サポイン事業)のチーム体制

本研究開発の製品群

 産業ロボットが可搬できる形状、重量を有する硬さセンサの開発、補正技術、電気回路やソフトフェアなど周辺技術の開発、硬さを計測するセンサ及び制御手法など開発項目は多岐にわたる。
 そこで、専門知識を有する大学、秋田県産業技術センター、他社との共同開発を行い、それぞれの得意分野を活かしながら問題解決に取り組んだ。

研究開発(サポイン事業)の成果について

(1)本研究により開発した製品は従来装置の1/3の体積、重量が80kgから40kgと軽量になり、試験室以外の場所に持ち運んでの測定が可能になった。
(2)グリッパの開発により、測定箇所の制約がなくなった。試験機単体のみならず、システム装置に組み込み、ユーザーニーズに沿った試験装置としての提供も視野に入れている。

商品の特徴

ロボットへの取り付けの例

<Via>
・490.3mN~490.3N(50gf~50kgf)の硬さ試験
・オートフォーカス及び自動読取機能が標準装備
・測定サイクルの高速化
・最大4本レンズ対応
新商品の電動型ビッカース硬さ試験機Via、電動型ロックウェル硬さ試験機Riaは部品の8~9割を秋田県内で調達し、地域貢献に繋がっている。

<Ria>
・閉ループ試験力制御により振動等の外乱を抑制
・上面基準方式により試料下面の影響を受けない測定
・試験力を任意に変更
・ワンタッチで簡単硬さ測定

今後の展開

研究開発チーム

電動型硬さ試験機は、昨年から販売を開始しており、販売実績を伸ばしている状況であり、用途に合わせた特殊仕様の硬さ試験装置としても対応している。
電動型硬さ試験機を産業ロボットに持たせられるようにさらに小型化した小型ロックウェル硬さ試験機は開発段階であり、硬さの品質保証できるようにJIS・ISO規格対応の試験機を製作中である。
将来的には、電動型硬さ試験機や小型ロックウェル硬さ試験機を生産現場で使用できるように技術開発を進め、据え置き型の硬さ試験と同等な試験が行える技術を確立させて信頼性向上に貢献していきたい。


主な受賞歴
第6回ものづくり日本大賞 東北経済産業局長賞を受賞

紹介動画
研究開発技術情報
プロジェクト名:
自動車産業における生産技術の高度化に対応した産業ロボット用硬さ試験グリッパの開発
事業実施年度:
平成22年度~平成24年度