複合・新機能材料
圧力勾配スパッタ法によるパワーデバイス用高品質絶縁膜形成法の開発
兵庫県
ケニックス株式会社
2026年2月12日更新
プロジェクトの基本情報
| プロジェクト名 | 次世代パワーデバイス高度化に向けた革新的物理蒸着技術の開発 |
|---|---|
| 基盤技術分野 | 複合・新機能材料 |
| 対象となる産業分野 | 環境・エネルギー、自動車、スマート家電、半導体、エレクトロニクス |
| 産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加) |
| キーワード | 高品質絶縁膜形成、圧力勾配スパッタ、低ダメージ、高品質、パワー半導体 |
| 事業化状況 | 事業化に成功 |
| 事業実施年度 | 令和4年度~令和6年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
次世代パワーデバイス高度化に向けた革新的物理蒸着技術の開発を目的とし、SiCパワー半導体の性能を左右する高品質絶縁膜形成プロセス開発を実施した。従来の熱酸化法や化学気相成長法に代わる物理蒸着法であるスパッタ法を用い、プラズマダメージを制御した圧力勾配スパッタ装置を開発した。この装置により炭素・水素不純物の低減や汎用性、設備・運用コスト面で優れた技術の確立を目指した。研究体制はケニックス株式会社が装置開発・製作を、大阪大学が成膜サンプル評価・分析を担当し、3年間の研究開発を通じて高品質絶縁膜形成装置の完成と評価を進めた。
開発した技術のポイント
・圧力勾配スパッタ装置の開発
-カソード側からガス導入する独自構造により、基板周辺を高真空に保ちながらスパッタ成膜を実現
-複数のカソードとロードロック機構により清浄環境での多層膜作製が可能
・低ダメージ絶縁膜形成技術
-バイアスシャッタによる高速イオンの入射抑制でプラズマダメージを軽減
-ターゲット~基板間距離約10cmの構造で基板表面をプラズマから隔離
・成膜条件の最適化
-アルゴン/酸素混合ガス中でのスパッタ成膜により酸素欠損を補償
-極低電力(11W)成膜により界面欠陥密度を大幅に低減
-室温成膜でも炭素・水素不純物濃度をX線光電子分光法の検出限界以下まで抑制
具体的な成果
・圧力勾配スパッタ装置の完成と基本性能確認
-10のマイナス2乗Pa以下の高真空域でスパッタカソードの安定プラズマ生成を確認
-カソードターゲット直上圧力0.5Pa以下、基板付近圧力10のマイナス2乗Pa以下の圧力勾配条件を実現
・高品質絶縁膜の形成
-2次イオン質量分析法により炭素・水素不純物濃度を大幅に低減
-断面透過電子顕微鏡観察により膜厚が均一で表面が平坦なSiO2膜の形成を確認
・デバイス性能評価
-GaN MOSキャパシタで理想的な容量-電圧特性を実現し、周波数分散をほぼ消失
-SiC MOSFETの試作に成功し、従来の熱酸化膜と同程度の電界効果移動度を達成
知財出願や広報活動等の状況
知財出願は無し 広報活動は、(応用物理学会、セミコン、プラズマプロセス系学会等)学会や展示会で技術発表及び製品紹介をしている
研究開発成果の利用シーン
・電気自動車用パワーデバイス
-インバータシステムでの高効率電力変換によりバッテリー駆動時間の延長と小型化を実現
・鉄道車両用システム
-架線の直流電圧を交流に変換するインバータでの電力損失低減
・家電製品
-エアコンなどの家庭用電化製品での省エネルギー性能向上
・再生可能エネルギーシステム
-太陽電池の電力変換効率向上により発電効率を最大化
・産業用電力変換装置
-工場設備やデータセンターでの電力効率改善による運用コスト削減
これらの分野において、電力損失を現在の半分以下にすることで低消費電力型社会の実現に寄与する。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
研究開発は令和4年度から令和6年度まで3年間実施され、現在は基礎技術の確立段階にある。圧力勾配スパッタ装置の開発・製作を完了し、大阪大学での実証実験により技術的優位性を実証した。SiC MOSFETの試作により従来の熱酸化膜と同程度の電界効果移動度を達成したが、当初目標の100cm2/Vsには到達しなかった。膜中炭素および水素不純物濃度の低減、基板と絶縁膜界面の酸化層形成確認は達成している。今後は電界効果移動度の向上を目指した圧力勾配スパッタのプロセス条件最適化と装置の改良改善を継続し、実用化に向けた開発を進める段階にある。
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、加工・組立・処理、素材・部品製造、共同研究・共同開発、技術ライセンス
製品・サービスのPRポイント
・革新的な圧力勾配スパッタ技術
-従来の熱酸化法や化学気相成長法で解決できなかった20年来の技術課題を解決する独自技術
-室温成膜でも高品質絶縁膜を形成可能で省エネルギー製造を実現
・不純物低減技術
-炭素・水素不純物をX線光電子分光法の検出限界以下まで抑制
-従来技術では困難だった超清浄絶縁膜の形成が可能
・汎用性と経済性
-設備・運用コストの優位性により量産適用が期待
-SiCやGaNなどの次世代パワーデバイス製造への幅広い適用が可能
・環境貢献
-電力損失を大幅に削減することで脱炭素社会実現に貢献
今後の実用化・事業化の見通し
引き続き電界効果移動度の向上を目指し圧力勾配スパッタのプロセス条件最適化を実施する。必要に応じた装置の改良改善を行いながら高品質絶縁膜形成開発を継続する計画である。GaNなど窒化物ワイドバンドギャップ半導体の開発にも取り組み、パワー半導体のアプリケーション多様性を視野に入れたさらなる圧力勾配スパッタの応用展開を進める。SiC市場は2025年頃から電気自動車などへの搭載により大きく成長する予想であり、ワイドバンドギャップ半導体の需要拡大に合わせた事業化を目指す。技術的優位性が実証されたことで、次世代パワーデバイス製造技術としての競争力を発揮できる見込みである。
実用化・事業化にあたっての課題
・技術的課題
-電界効果移動度の目標値100cm2/Vs達成に向けたさらなるプロセス最適化が必要
-極低電力成膜時の著しい成膜速度低下(0.06nm/min)による生産性の向上が課題
・装置技術の改良
-成膜速度向上とプラズマダメージ低減の両立を図る装置構造の最適化
-量産適用に向けた装置の信頼性向上と保守性の確保
・市場適用への対応
-各種パワーデバイスメーカーとの技術仕様調整と量産技術の確立
-競合する従来技術との差別化ポイントの明確化
-製造コストの競争力確保と投資回収モデルの構築が実用化促進の鍵となる
プロジェクトの実施体制
| 主たる研究等実施機関 | ケニックス株式会社 代表取締役 米澤 健 国立大学法人大阪大学 工学研究科 教授 渡部 平司 |
|---|---|
| 事業管理機関 | ケニックス株式会社 代表取締役 米澤 健 国立大学法人大阪大学 工学研究科 教授 渡部 平司 |
| 研究等実施機関 | ケニックス株式会社 代表取締役 米澤 健 国立大学法人大阪大学 工学研究科 教授 渡部 平司 |
主たる研究等実施機関 企業情報
| 企業名 | ケニックス株式会社(法人番号:1140001064855) |
|---|---|
| 事業内容 | 半導体製造装置および理化学機器の開発・製造・販売 |
| 社員数 | 8 名 |
| 生産拠点 | 兵庫県姫路市北条口2丁目15-501(ケニックス株式会社 本社)、兵庫県姫路市飾西432-1(ケニックス株式会社 飾西事業所) |
| 本社所在地 | 〒670-0935 兵庫県姫路市北条口2丁目15-501 |
| ホームページ | https://kenix.jp |
| 連絡先窓口 | ケニックス株式会社 代表取締役 米澤 健 |
| メールアドレス | kenix@leto.eonet.ne.jp |
| 電話番号 | 079-283-3150 |
研究開発された技術を探す



