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バイオ

ゲノム編集技術を用いた品種改良により、従来の品種改良よりも短い期間で高成長×高付加価値なティラピア及びバナメイエビの品種開発を行う。

京都府

リージョナルフィッシュ株式会社

2026年2月5日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 超高速育種技術による高収率な優良水産物品種の開発
基盤技術分野 バイオ
対象となる産業分野 食品
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高効率化(生産性増加)
キーワード ゲノム編集、品種改良
事業化状況 研究実施中
事業実施年度 令和4年度~令和6年度

プロジェクトの詳細

事業概要

本事業では、ゲノム編集技術を利用した「ゲノム編集育種」による水産物の品種改良を手掛けている。従来型の品種改良法が数十年を要するのに対し、ゲノム編集育種はわずか数年で品種開発を完了させることができる超高速の品種改良技術である。外来遺伝子の挿入を伴わないため、遺伝子組換えには該当せず、従来の品種改良の延長線上にある技術として整理されている。本事業では、市場規模が魚類2位のティラピアと甲殻類1位のバナメイエビを対象に、従来品種を置き換えるような高成長×高付加価値品種をゲノム編集育種により作製する。具体的には、高成長×可食部増量ティラピア、高成長×小骨なしティラピア、高成長×色素増強バナメイエビの3品種開発を実施した。

開発した技術のポイント

・ゲノム編集による高成長×可食部増量ティラピアの作製
・標的遺伝子mstn(myostatin)をノックアウトし、筋肉増殖抑制を解除
・マイクロインジェクション法による受精卵へのゲノム編集ツール導入
・ゲノム編集による高成長×小骨なしティラピアの作製
・標的遺伝子scxa(scleraxis)をノックアウトし、骨格形成を制御
・ゲノム編集による高成長×色素増強バナメイエビの作製
・beta carotene oxygenase遺伝子をノックアウトし、アスタキサンチン合成経路を強化
・Molt inhibiting hormone(MIH)遺伝子をノックアウトし、脱皮回数を増加
・遺伝的多様度を維持したゲノム編集プログラムの策定
・dpMIG-seq法による多型情報取得と系統解析
・個体間遺伝的距離に基づく交配計画策定パイプラインの確立

具体的な成果

・高成長×可食部増量ティラピア: 可食部割合1.4倍、肥満度1.3倍、成長性1.07倍、飼料効率10%改善の性能を達成した
・高成長×小骨なしティラピア: 品種作製に成功したが、顎や腹鰭の変形が生じ、成長性が劣ることが判明した
・高成長×色素増強バナメイエビ: 標的遺伝子への変異導入に成功し、光学的処理による体色増強効果を確認した
・遺伝的多様度確保システム: ゲノム編集評価と遺伝的多様度評価を同一検体から実施できるプロトコルを確立し、ティラピアのゲノム編集系統で実装開始した
・ヒラメMHCクラスII遺伝子解析: VHSV感染試験により、MHCクラスIIα遺伝子53番アミノ酸における耐病性マーカーを特定した

知財出願や広報活動等の状況

令和7年4月に消費者庁、令和7年5月に農林水産省に対してゲノム編集により開発した「可食部増量ティラピア」の届出を行った。の届出は本事業の開発対象系統である「高成長×可食部増量ティラピア」の前段階となる系統に関するものであり、国内のティラピア市場創出に向けた取り組みの契機となる予定である。

研究開発成果の利用シーン

・ティラピア養殖業: 高成長×可食部増量品種により生産性の大幅向上が期待される。弱い水流での飼育により摂餌活性が向上し、養殖効率が上昇する
・バナメイエビ養殖業: 高成長×色素増強品種により従来品種と差別化を図り、特に国内生産でのブランド力向上と海外輸出時の競争力強化が可能
・育種プログラム: 遺伝的多様度を維持したゲノム編集プログラムにより、近交弱勢を回避しながら持続的な優良品種の量産化が実現される
・耐病性育種: ヒラメMHC遺伝子解析技術により、ウイルス性出血性敗血症等に対する耐病性系統の選抜育種が可能となる
・東南アジア市場: 既存の財閥・大手水産会社との提携により、種苗供給から生産物買取までのサプライチェーンへの導入が見込まれる

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

国内事業では、令和7年4月に消費者庁、5月に農林水産省へ可食部増量ティラピアの届出を実施し、令和8年度から高成長×可食部増量ティラピアの販売開始を目指している。バナメイエビは令和5年7月にNTTとの合弁でNTT Green & Foodsを設立し、令和6年8月に海幸ゆきのや合同会社の全持分取得、12月に静岡県磐田市の陸上養殖プラント竣工、令和7年1月に鹿児島県阿久根市で種苗生産開始により、国内最大級の生産体制を構築した。海外展開では、タイのCPグループやThai Union、インドネシアのSTP JAPFAやArgo Manunggalグループ等との打ち合わせを重ね、一定の関心を獲得している。タイが令和6年7月にゲノム編集技術商用利用ガイドラインを発表し、最初の展開先候補国として有力視されている。

提携可能な製品・サービス内容

共同研究・共同開発、技術コンサルティング

製品・サービスのPRポイント

・超高速育種技術: 従来数十年かかる品種開発をわずか数年で完了させる革新的技術
・確実な形質付与: 標的遺伝子に確実に変異を導入し、比較的少数の個体で目的形質を取得可能
・高い生産性向上効果: 可食部増量ティラピアでは可食部割合1.4倍、飼料効率10%改善を実現
・遺伝的多様度維持: 近交弱勢を回避する持続的な量産化システムを構築
・市場競争力: 既存品種を置き換える高成長×高付加価値の組み合わせにより差別化を実現
・安全性: 外来遺伝子の挿入を伴わず、従来の品種改良の延長線上にある技術として位置づけられる
・世界初の実用化: 水産業でのゲノム編集技術の商用化を世界で初めて成功させた実績

今後の実用化・事業化の見通し

国内では令和8年度から高成長×可食部増量ティラピアの販売開始を予定し、バナメイエビも種苗から成エビ生産まで一貫したサプライチェーンが整備済みである。海外展開では、タイが最初の候補国として有力で、令和6年7月のゲノム編集技術商用利用ガイドライン発表により規制環境が整備されつつある。ただし具体的運用にはまだ進展していないため、令和8年度中の上市は困難と予想される。高成長×小骨なしティラピアと高成長×色素増強バナメイエビについては、追加研究開発や能登地震被災による遅れにより、事業化時期を1年程度遅らせる想定である。東南アジア各国の財閥・大手水産会社との提携により、既存サプライチェーンへの早期参入を目指している。

実用化・事業化にあたっての課題

・規制環境の整備: 各国でゲノム編集水産物の養殖・食品使用に関する規制類の検討に時間を要しており、事業化スケジュールに影響している
・品種完成度の向上: 高成長×小骨なしティラピアでは予想外の形態変化が生じ、追加研究開発が必要
・開発遅延の対応: 能登地震被災により高成長×色素増強バナメイエビの開発が半年から1年遅延
・市場認知度の向上: ティラピア自体が国内消費市場で十分な市民権を得られておらず、商品開発・ブランディングによる認知度向上が必要
・国際展開の加速: 東南アジア各国での規制整備待ちの状況下で、現地サプライチェーンへの早期参入戦略の構築が課題
・持続的品質管理: 遺伝的多様度維持システムの継続的運用による品種の長期安定性確保

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 リージョナルフィッシュ株式会社
事業管理機関 リージョナルフィッシュ株式会社
研究等実施機関 リージョナルフィッシュ株式会社
国立大学法人東京海洋大学
国立大学法人京都大学
アドバイザー 株式会社荏原製作所

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 リージョナルフィッシュ株式会社(法人番号:7130001064314)
事業内容 水産養殖業
社員数 91 名
本社所在地 〒606-8305 京都府京都市左京区吉田本町36番地1京都大学国際科学イノベーション棟
ホームページ https://regional.fish/
連絡先窓口 リージョナルフィッシュ株式会社 研究開発部・荻野哲也
メールアドレス info@regional.fish
電話番号 075-600-2961