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デザイン開発

弓部大動脈解離の治療に対し、人工血管置換術を行わずとも治療可能な患者にも医師にも負担の少ない低侵襲デバイスの開発事業化。

新潟県

JMR株式会社

2026年2月9日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 大動脈解離治療用ステントシステムであるリ・ポジショニング可能なデリバリーシースの開発
基盤技術分野 デザイン開発
対象となる産業分野 医療・健康・介護
産業分野でのニーズ対応 高性能化(信頼性・安全性向上)
キーワード 大動脈解離、弓部、ベアステント、リポジショニングシース、低侵襲
事業化状況 実用化間近
事業実施年度 令和4年度~令和6年度

プロジェクトの詳細

事業概要

本研究開発では、大動脈解離を低侵襲に治療するためのステントシステムであるリ・ポジショニング可能なデリバリーシースの開発を行った。ニッケルチタン製の形状記憶合金のチューブをレーザー加工で拡張製作することにより、繋ぎ目のない大口径のステントを開発し、屈曲の大きい血管内への設置における課題を解決することを目的とした。主要な技術開発課題として、血管の曲率半径が強い蛇行血管に対応するシースの高耐キンク性能の向上と、一旦リリースを始めたステント等のデバイスの位置直しを可能とするリ・ポジショニング機能の開発を行った。これにより、従来適切な治療用デバイスが存在しなかった大動脈解離の低侵襲なステント治療を実現することを目指した。

開発した技術のポイント

・インナーブレードシースの設計製作
-ステンレス製のワイヤーブレードにナイロン系軟質プラスチック素材であるペバックス製のチューブを挿入
-内腔にはデバイスの滑りを向上するためのPTFEライナーを施した構造デザインを採用
-12Fr、14Fr、16Frサイズでの試作を完了

・高耐キンク性能の実現
-曲率半径45Rでもキンクしない性能をクリア
-従来技術の曲率半径75Rでのキンク発生を大幅に改善

・デバイスホルダーの開発
-デバイスのマーカー部分をインナーシース先端がホールドする構造
-ホールド部分が外れるまではデバイスをリリースしない機構

・リ・ポジショニング機能
-シース先端位置はハンドル操作により前後に動かせる機構
-リリースを始めたデバイスをハンドル操作により引き戻すことが可能

具体的な成果

・シースの性能評価において屈曲半径45Rでもキンクしない高耐キンク性能を確認
・滅菌バリデーション試験において、SAL1/1,000,000を担保し、パッケージの無菌性を保証
・バイオバーデン試験において、18CFUを担保し、試作環境のクリーンルームでの付着菌コントロールを実現
・ヤギを用いた動物実験による評価試験を実施し、目的患部への送達性、プッシャビリティー、トロッカビリティー、シース全体の柔軟性及びレントゲンでの透視下視認性において良好な評価結果を取得
・生物学的安全性試験をGLP適合機関にて実施し、治験申請及び承認申請に向けた設計管理体制を強化
・12Fr、14Fr、16Frサイズの全種類でのデバイスホルダーを製作完了

知財出願や広報活動等の状況

先行研究の成果を基に2018年度に出願した特許についてはFTO調査を実施し、他社知財に対する使用許諾の有無を確認した。2019年2月20日に出願した特許に対しては、同年12月19日にAMED知財リエゾンと打合せを行い、特許戦略の強化を相談した。2020年2月には本事業にも関係するステントデバイスの特許を出願し、2021年2月により内容を強化した特許出願も実施した。基本的な知財戦略として、研究開発において得られた技術についてはノウハウとして秘匿する方策は採らずに知財化によって権利保護し、ライセンス供与も内容によっては積極的に求めに応じて行く方針であり、本事業においても数点の特許出願を予定している。

研究開発成果の利用シーン

従来適切な治療用デバイスが存在しないために開胸手術をせざるを得なかった大動脈解離に対し、低侵襲なステント治療の適用拡大を促進する。高齢者に見られる曲率半径の強い蛇行血管へのアプローチが可能となり、リ・ポジショニング機能によって最適位置へのデバイスリリースが容易に行えることから手術の難度が低減される。本製品の高耐キンク性、リ・ポジショニング機能は大動脈解離にとどまらず、脳血管や冠動脈又は下肢動脈や静脈、腸管への適用も想定される。また、将来的には血管内の留置フィルターや血栓除去デバイス等、幅広い分野への展開が期待でき、腹膜透析市場等の更なる他分野への展開も可能と考えられる。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

想定する国内市場規模は年間2,500件で、保険償還価格は800,000円を設定している。大動脈解離の手術件数は2017年時点で年間10,000例に達しており、現在も増加傾向にある。症状の深刻度を考慮し、本手法による低侵襲な施術が適用可能な症例はそのうち25%程度であると推定すると、年間の需要は約2,500件と試算される。1回の手術でステントが平均2本使用されることを考慮すると、日本国内の市場規模は800,000円×2本×2,500件=40億円程度と推定される。海外市場は国内市場の概ね10倍であることから、世界全体では440億円程度の市場があるものと想定される。マーケットアドバイザーとしてクロスウィルメディカル株式会社の協力を得て、国内におけるシース販売の事業化を目指す。

提携可能な製品・サービス内容

設計・製作

製品・サービスのPRポイント

・高耐キンク性: 曲率半径45Rでもキンクしない構造により、高齢者に見られる曲率半径の強い蛇行血管への手術を低侵襲で可能にする
・デバイスのリ・ポジショニング機能: 最適位置へのデバイスリリースが容易に行えることから手術の難度が低減され、治療効果が最大限に発揮される
・間違いの少ない簡単操作: 従来技術では不可能であったリリース開始後のデバイス位置調整が可能
・小口径シースへの収納: 従来のステントグラフトよりも小口径のシースに収納可能なため、大腿動脈からの挿入アプローチ時の患者負担が軽減
・全リンクステント構造: セル間が全て繋がっているため血管内壁を傷つけるリスクが低い

今後の実用化・事業化の見通し

令和9年度より製品の生産・販売を開始予定で、初年度は100本、令和10年度300本、令和11年度600本の販売を計画している。売上高は令和9年度80,000千円、令和10年度240,000千円、令和11年度480,000千円を見込んでいる。将来的には大動脈解離患者国内年間約10,000人に対して適用20%=2,000症例=16億円/年を目標とし、海外については国内の10倍規模=160億円/年を目指す。事業化が進めば、株式会社JMRや協力製造業を中心に50から200人程度の新規雇用が創出されると考えられ、他診療科への波及が進んだ段階では、全国的に製造業、医療業界における新たな雇用創出が期待される。

実用化・事業化にあたっての課題

・中枢側の跳ね上がりを抑えた先すぼみステントの開発
・弓部の跳ね上がりを抑えた湾曲ステントの開発
・使いやすいパッケージの開発
・確実な滅菌体制の確立
・クラスIVでの薬事申請

これらの課題解決により、より効果的で安全な治療デバイスの実現を目指す。特に薬事申請に関しては、クラスIV機器に対応した承認申請を目指し品質保証体制を更に強化する必要がある。また、中枢側や弓部の跳ね上がりを抑制するステント形状の最適化により、治療効果の向上と安全性の確保を図る。滅菌体制の確実な確立により、医療現場での安全な使用を保証する。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 JMR株式会社
事業管理機関 公益財団法人にいがた産業創造機構
研究等実施機関 JMR株式会社
クロスウィルメディカル株式会社
国立大学法人新潟大学
国立大学法人東北大学
アドバイザー 国立大学法人東北大学
クロスウィルメディカル株式会社

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 JMR株式会社(法人番号:3110001027383)
事業内容 医療機器の設計開発及び製造販売、医療機器ビジネスのコーディネート
社員数 11 名
本社所在地 〒959-0511 新潟県新潟市西蒲区大原3061
連絡先窓口 JMR株式会社 代表取締役 笹崎 淳
メールアドレス info@jmr-lab.com
電話番号 0256-77-8808