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精密加工

短パルスレーザを利用した予亀裂援用切削加工法の開発

愛知県

エイベックス株式会社

2026年1月30日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 サブナノ秒レーザを用いた難切削鋼の切削性向上を図るレーザ援用切削加工技術および装置の研究開発
基盤技術分野 精密加工
対象となる産業分野 自動車、工作機械
産業分野でのニーズ対応 高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(人件費削減)、高効率化(生産性増加)
キーワード 切削加工、短パルスレーザ、旋盤、金属加工、精密加工
事業化状況 研究実施中
事業実施年度 令和4年度~令和6年度

プロジェクトの詳細

事業概要

本研究は、サブナノ秒レーザを用いた予亀裂援用切削加工技術の確立と、小型レーザ装置の開発を目的とする。純鉄ELCH2と高炭素クロム鋼SUJ2を対象に、横切れ刃角・すくい角・切込み・周速・レーザ溝ピッチの最適化を系統実験で実施し、加工抵抗低減と工具摩耗抑制を検証した。さらに、主軸移動型および汎用自動旋盤に小型装置を実装し、旋盤とレーザの同期制御を構築して量産工程での適用性と再現性を検証した。研究体制は、エイベックス株式会社が装置実装と量産実証、名古屋工業大学が機構解明・条件設計、あいち産業科学技術総合センターが評価・ミスト給油検証を分担した。年度計画に沿い、加工抵抗目標(純鉄24N以下、SUJ2で28N以下)と、装置仕様(出力30W、溝深さ30〜50μm、コスト200万円以下)を設定して段階達成を図った。

開発した技術のポイント

・予亀裂援用加工法の要点
-サブナノ秒レーザで凹状溝を形成し、不連続なモードⅡ破壊を誘起してせん断を促進、加工抵抗を低減
-熱影響が小さく、純鉄のような柔らかい材にも有効で精密仕上げに適する
・最適化知見
-純鉄は横切れ刃角13°・周速50m/分で効果大。SUJ2は横切れ刃角27.5°、ピッチ0.5mmが最良
・装置実装
-機上でレーザ溝形成と切削を一連化し、工程統合を実現
・評価系
-旋盤上での周速・切込み・ピッチ掃引と、切り屑形態のSEM観察、シミュレーション解析を連携し、条件—現象—抵抗の対応関係を定量化。これにより設計自由度と適用範囲の指針を得た

具体的な成果

・サブナノ秒レーザを用いた予亀裂援用加工方法
-レーザ溝の予亀裂により、加工抵抗を低減
-純鉄 従来法比、約30%低減
-高炭素クロム鋼 従来法比、約35%低減
・自動旋盤へのサブナノ秒レーザ装置の適用
-主軸移動型旋盤へレーザ発振器を搭載
-旋盤上でレーザ溝の予亀裂の形成が可能
-自動旋盤の切削加工における加工抵抗を削減

知財出願や広報活動等の状況

特許出願2件 国内1件 PCT1件
PCT 特願2022-577090 切削加工方法
国内 特願2022-171269 切削加工装置 

論文2件
2023年度精密工学会春 B50 鋸歯状切り屑生成促進による切削抵抗の低減効果に関する研究
2023年度精密工学会秋 B98 被削材機械的性質と工具形状が鋸歯状切りくず生成促進による切削抵抗低減に及ぼす影響

研究開発成果の利用シーン

・製造現場
-難切削材の小径部品の旋削で、加工抵抗低減と切り屑処理性の改善によりサイクル短縮と安定加工を実現
・EV関連部品
-油圧制御バルブやポンプシャフト等で、ばらつきとコストを抑制し、量産性を高める
・工程設計
-機上でのレーザ溝形成→切削の一体処理により、試作・立上げの反復を削減し、段取り時間も短縮
・保全・品質
-工具温度上昇を伴わない抵抗低減により、仕上げ面と寸法安定の両立を図れ、検査工数や工具交換頻度の平準化にも資する

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

本研究では、主軸移動型と汎用自動旋盤への小型レーザ装置の実装を完了し、同期制御と安定加工を確認した。小型装置は出力20Wで溝深さ100μmを達成したが、装置コストは約380万円となり、目標の200万円には届かなかった。量産適用に向けては、工具寿命4倍と製造コスト30%低減を見込んでおり、摩耗評価の長距離化によって達成可能と判断し、検証を継続している。

提携可能な製品・サービス内容

素材・部品製造、技術ライセンス

製品・サービスのPRポイント

・PRの核
-サブナノ秒レーザ予亀裂により、熱変形なく加工抵抗を大幅低減し、精密仕上げと工具寿命延長に寄与。
-機上でレーザ溝形成と旋削を一体化することで、段取りとタクトを圧縮し、工程集約を実現。
-EV時代の難切削材に適合し、部品単価と総製造コストの双方を押し下げる実効性が強み。
・導入容易性
-既存自動旋盤への後付け実装が可能で、ライン停止を最小化しながら段階導入できる点も訴求点である。

今後の実用化・事業化の見通し

装置の量産・調達効率化によりコスト200万円以下を目指し、量産工程の加工抵抗低減を製品単価とライン総コストに反映させる。工具摩耗の長距離評価を完了し、寿命4倍とコスト30%低減の指標達成を確認次第、自社ライン適用と外販を段階展開する見通し。対象材質と形状の拡張および最適条件の標準化も並行して進める。また、川下装置メーカーと連携し、制御インターフェースの標準化と保全手順の整備を進め、ミスト給油環境など多様な現場条件での適用ガイドを整備して普及を加速させる計画である。

実用化・事業化にあたっての課題

令和7年3月の事業終了時点で、工具寿命の実験が未達であるため、引き続き試験を継続する。実験機での研究段階から実生産への適用過程では、新規工程ゆえに生産性、小型レーザのパワー、メンテナンス手法などの課題が顕在化する見込みであり、対処のための追加実験を当初から計画している。これに伴いスケジュールは現状から約6〜12か月遅延し、当初の事業化計画は1年遅れへ改定した。

事業化に向けた提携や連携の希望

輸送用機械器具製造業で切削加工部品を製造している企業との連携を模索中

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 エイベックス株式会社
事業管理機関 公益財団法人科学技術交流財団
研究等実施機関 エイベックス株式会社
あいち産業科学技術総合センター 産業技術センター
国立大学法人名古屋工業大学
アドバイザー スター精密株式会社
株式会社ナ・デックス
NTKカッティングツール株式会社

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 エイベックス株式会社(法人番号:3180001009862)
事業内容 輸送用機械器具製造業
社員数 515 名
生産拠点 愛知県名古屋市瑞穂区 三重県桑名市多度町
本社所在地 〒467-0853 愛知県名古屋市瑞穂区内浜町26番3号
ホームページ https://www.avex-inc.co.jp/
連絡先窓口 技術グループ二村 友也
メールアドレス futamura.y@avex-inc.co.jp
電話番号 052-811-1171