バイオ
細胞の凍結乾燥工法
京都府
マイキャン・テクノロジーズ株式会社
2026年2月3日更新
プロジェクトの基本情報
| プロジェクト名 | ヒトiPS細胞由来のウイルス培養細胞の凍結乾燥工法の開発 |
|---|---|
| 基盤技術分野 | バイオ |
| 対象となる産業分野 | 医療・健康・介護、化学品製造 |
| 産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、低コスト化 |
| キーワード | 凍結乾燥、iPS細胞 |
| 事業化状況 | 研究実施中 |
| 事業実施年度 | 令和4年度~令和6年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
本研究開発は、ヒトiPS細胞由来のウイルス培養細胞を凍結乾燥製品にすることで、世界のあらゆる地域で使用可能にするための技術開発である。マイキャン・テクノロジーズ株式会社が開発したiMylc細胞を基に、凍結乾燥と復元が可能なウイルス培養細胞の開発、凍結乾燥工法の開発、復元手法の開発、社会実装試験を実施した。この技術により、検体採取時に凍結乾燥した培養細胞を復元液で復元し、検体と混合することでウイルス培養を開始でき、輸送中もウイルスが劣化せずに研究所に到着できる。ウイルス分離成功率を70%以上に向上させることを目標とした。
開発した技術のポイント
・足場材としてポリビニルアルコール(PVA)を使用: 分子量31,000-50,000の5%PVAを粒状にし、細胞膜破損を防止
・抗酸化剤グルタチオンを含む細胞凍結液: トレハロース20%とグルタチオン4mg/mLを含有し、DMSO無しで細胞凍結を実現
・電磁場をかけた凍結法: プロトン凍結機を使用し、氷の粒子を制御して細胞膜損傷を防止
・アンプル管での真空保管: バイアル瓶からアンプル管に変更し、微量水分による細胞障害を減少
・短時間復元工程: 超純水を用いた10分以内の復元により、細胞生存率を向上
・温度と圧力を精密制御した凍結乾燥工法の確立
具体的な成果
・凍結解凍時の細胞生存率80%以上を達成するPVA足場材とグルタチオン含有凍結液の開発
・核染色による生存率判定で90%以上を示す凍結乾燥工法の確立
・アンプル管を用いた真空保管により、7AAD核染色による細胞生存率評価で96%を達成
・超純水での短時間復元方法と凍結乾燥容器の最適化により、復元後の細胞形状が球状を維持
・iPS細胞由来樹状細胞(iMylc-D05-s-ML2株)を選別し、広範なウイルス研究に適用可能な細胞を確立
・凍結乾燥したウイルス培養細胞の製造法プロトコルの確立
・デングウイルスおよびアデノウイルスでの感染実験の実施
研究開発成果の利用シーン
・地方の医療現場での検体採取時の即座なウイルス培養開始
・感染症の流行初期段階での迅速なウイルス分離と同定
・発展途上国など冷凍設備が整わない環境での感染症診断支援
・パンデミック時の緊急対応における現地でのウイルス分離
・研究所間での安全な検体輸送における品質保持
・新興感染症の早期発見と研究促進
・ワクチン開発や治療薬研究の迅速化支援
・国際的な感染症監視体制の強化
・離島や山間部など医療アクセスが困難な地域での感染症対応
これらにより患者死亡率の低減とワクチン・治療薬研究の促進に貢献する。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
現時点では技術開発段階であり、本格的な事業化には至っていない。研究開発期間中に100製品分の試作を目標としていたが、復元後のウイルス培養機能が十分に担保できておらず、製造法自体の確立ができていない状況である。凍結乾燥したウイルス培養細胞を用いたウイルス分離能評価では、デングウイルスとアデノウイルスでの感染実験を実施したが、有意なウイルス増殖は認められなかった。PVAを足場材に使用していることでウイルスがトラップされる可能性があり、さらなる技術改良が必要な段階である。引き続き凍結乾燥工法の改良を進めて製品化を目指している。
製品・サービスのPRポイント
・世界初の感染患者からのウイルス分離を支援する凍結乾燥ウイルス培養細胞製品
・常温保存が可能なため、-80℃の冷凍保管が不要で地方医療現場や発展途上国でも使用可能
・検体採取時に即座にウイルス培養を開始でき、輸送時間の制限を解消
・従来10-30%だったウイルス分離成功率を70%以上に向上
・ヒトiPS細胞由来のため、ワシントン条約等の法的制限がなく自由に輸送・保管可能
・新型コロナウイルス、デングウイルス、Zikaウイルスなど世界で患者数が多いウイルスに対応
・早期診断支援により患者死亡率の低減とワクチン・治療薬研究の促進に貢献
今後の実用化・事業化の見通し
現在は細胞生存評価が困難で、ウイルスの有意な増殖確認ができていない段階だが、細胞形状や組織の維持については部分的に改善されている。引き続きウイルス培養細胞の凍結乾燥工法を改良し、製品化を実施していく予定である。当面の事業化検討として、評価が比較的簡単な赤血球への適用から開始し、溶血という単純な現象で評価可能な技術確立を目指している。これまで開発した工法を活用し、段階的な社会実装を進めることで、最終的には世界中で使用可能な感染症診断支援製品の実現を目標としている。技術の汎用性を活かし、幅広い医療分野での応用も検討している。
実用化・事業化にあたっての課題
・復元後の細胞でウイルスの有意な増殖が認められず、ウイルス培養機能の十分な回復が困難
・PVAを足場材に使用することでウイルスがトラップされてしまう可能性があり、さらなる改良が必要
・細胞生存評価方法が確立されておらず、機能評価の標準化が課題
・凍結乾燥工法の部分最適化では成立せず、全体最適化が必要で技術的難易度が高い
・ヒト細胞の凍結乾燥は世界的にも成功例がなく、技術的ハードルが極めて高い
・製品の安全性評価と品質管理体制の構築
・医療機器としての承認取得に向けた臨床評価データの蓄積
・製造コストの最適化と量産体制の確立
プロジェクトの実施体制
| 主たる研究等実施機関 | マイキャン・テクノロジーズ株式会社 |
|---|---|
| 事業管理機関 | 公益財団法人京都高度技術研究所 |
| 研究等実施機関 | マイキャン・テクノロジーズ株式会社 国立大学法人京都大学 |
| アドバイザー | ZACROS株式会社 サラヤ株式会社 |
主たる研究等実施機関 企業情報
| 企業名 | マイキャン・テクノロジーズ株式会社(法人番号:7010001177012) |
|---|---|
| 事業内容 | 不死化ミエロイド系細胞(Mylc)を使用した安全性評価キット、感染症検査キットの開発・提供 |
| 社員数 | 21 名 |
| 生産拠点 | 神戸製造所(兵庫県) |
| 本社所在地 | 〒615-8245 京都府京都市西京区御陵大原1-36 京大桂ベンチャープラザ |
| ホームページ | https://www.micantechnologies.com |
| 連絡先窓口 | マイキャン・テクノロジーズ株式会社 取締役/COO 伏原和久 |
| メールアドレス | kfushihara@micantechnorogies.com |
| 電話番号 | 075-381-3008 |
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