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複合・新機能材料

車載用としてのナトリウムイオン電池における高容量化と低温での急速充放電に適した負極カーボン材料の開発

京都府

アイ’エムセップ株式会社

2026年2月3日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 非水系二次電池の高性能化に資する溶融塩電解技術による炭素微粒子の研究開発
基盤技術分野 複合・新機能材料
対象となる産業分野 環境・エネルギー、自動車、産業機械、スマート家電、電池
産業分野でのニーズ対応 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(信頼性・安全性向上)、低コスト化
キーワード ナトリウムイン電池、負極カーボン材料、高容量化、低温特性
事業化状況 研究実施中
事業実施年度 令和4年度~令和6年度

プロジェクトの詳細

事業概要

車載用蓄電池の高容量化と急速充放電を可能とするハイレート化に適した負極材料としての高機能性カーボン、およびその材料製造が可能なカーボン微粒子の量産装置開発を目的とする。具体的には、溶融塩電解技術により一次粒径1μm未満のカーボン微粒子を製造し、熱処理プロセスを経て高機能性カーボンを作製する。研究体制は、主たる研究等実施機関のアイ'エムセップ株式会社を中心に、従たる研究等実施機関としてSECカーボン株式会社、国立研究開発法人産業技術総合研究所が参画し、国立大学法人群馬大学がアドバイザーとして技術指導を行う産学連携体制で実施する。ナトリウムイオン電池の負極材料としての機能検証も並行して行う。

開発した技術のポイント

・溶融塩電解技術による炭素微粒子製造
-放電電解法と電解析出法により100nm~数μmのカーボン粒子を作製
-浴温、浴組成、電流値などの条件最適化により粒子サイズと形態を制御

・炭素微粒子の熱処理プロセス技術
-1,400℃での熱処理により、結晶化を適切に進行させナトリウムイオン貯蔵性を向上
-水酸化カリウムを用いた賦活処理により、比表面積を1.9倍(1,200m2/g)に増大
-造粒促進剤であるスクロースを用いた異なるカーボン粒子の複合化により、粒径1μm以上の高機能性カーボンを作製

・量産装置開発技術
-放電電解法と電解析出法の両方に対応可能な量産試作機を開発
-溶融塩の攪拌機構と電解槽内でのカーボン粒子回収システムを構築
-不定形耐火物表面へのガラス浸潤による溶融塩格納容器素材の耐久性向上技術を開発

具体的な成果

・カーボン微粒子製造技術では、電解手法、浴温、電位、電流、溶融塩種の影響を網羅的に調査し、100nm~数μmサイズのカーボンをおおよそ作り分けることが可能となった。一部条件で繊維状カーボンの形成も確認した。
・熱処理プロセス技術では、水酸化カリウム賦活処理によりカーボン微粒子の比表面積を630m2/gから1,200m2/gまで約1.9倍に増大させた。電解析出法と放電電解法で作製したカーボン微粒子を複合化し、d50が1μm以上の高機能性カーボンを作製した。
・電池性能評価では、作製条件を最適化したカーボン電極において-20℃で1C/0.1C容量比70%以上を達成し、目標の50%超えを上回った。ナトリウムイオン電池負極として市販ハードカーボンに匹敵する放電容量270mAh/gを実現した。
・量産装置開発では、放電電解法と電解析出法の両方に対応可能な量産試作機(生産能力12kg/年)を製造し、実際の炭素製造を確認した。溶融塩電解槽材料として不定形耐火物表面へのガラス浸潤による耐久性向上技術を確立した。

低温での高い放電容量を示す充放電曲線
量産装置の外観
量産装置で製造した炭素の外観
知財出願や広報活動等の状況

本研究開発で活用した基本特許として、特許第4,688,796号「プラズマ誘起電解による微粒子の製造方法」を保有している。この特許技術により製造されるカーボン粒子は粒径1μm未満でシート状、リボン状、キューブ状といった多様な形状を持つ特徴がある。

研究開発成果の利用シーン

主要な利用シーンは電気自動車用リチウムイオン電池およびナトリウムイオン電池の負極材料である。特に低温環境(-20℃)での急速充放電性能が要求される車載用蓄電池において、従来の負極カーボン材料では常温の約4割しか充放電できない課題を解決する。本技術により製造された高機能性カーボンは低温での高レート特性に優れ、電気自動車の走行性能向上に貢献する。また、ナトリウムイオン電池市場の成長に伴い、運輸、家電といった業界での利用拡大に加え、グリッド管理や再生可能エネルギー施設に必要な大規模エネルギー貯蔵アプリケーションへの展開も期待される。リチウムイオン電池と比較してエネルギー密度に限界があるものの、コスト面や資源確保の観点から有望な市場が見込まれる。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

現在は研究開発段階から事業化準備段階への移行期にある。本事業期間中に量産試作機(生産能力12kg/年)を製造し、実際のカーボン製造が可能であることを確認した。ナトリウムイオン電池市場は2033年までに3億7,410万米ドルから14億5,610万米ドルに成長するとの予測もあり、堅実な市場成長が見込まれる。事業化展開は当初想定の電気自動車向けを主軸としつつ、他用途への展開も視野に入れている。2030年時点で年間9トンの生産規模を目標とし、本事業終了以降は製造した量産試作機を運用しながら、さらに拡大した量産機(計画20kg/年)の製作を実施予定である。SECカーボン株式会社、国立研究開発法人産業技術総合研究所、アイ'エムセップ株式会社の3者による連携を継続し、補完研究を推進する体制が整っている。

提携可能な製品・サービス内容

素材・部品製造、技術コンサルティング

製品・サービスのPRポイント

本技術の最大のPRポイントは、従来の粉砕法では困難であった1μm未満のカーボン微粒子を溶融塩電解技術により安定的に製造できることである。製造したカーボン微粒子は多様な形状(シート状、リボン状、キューブ状)を持ち、高い比表面積により電池の通電特性向上に寄与する。特に低温環境での性能が優れており、-20℃において1C/0.1C容量比70%以上を実現し、従来材料の課題であった低温性能劣化を大幅に改善している。量産装置では放電電解法と電解析出法の両方に対応可能な設計により、用途に応じた最適なカーボン材料の製造が可能である。また、リチウムレス溶融塩の採用により、リチウム価格高騰リスクを回避しながらコスト競争力を確保している。ナトリウムイオン電池負極として市販ハードカーボンに匹敵する性能を実現し、次世代蓄電池市場での競争優位性を確立している。

今後の実用化・事業化の見通し

実用化・事業化に向けた具体的なロードマップが策定されており、段階的な生産規模拡大を計画している。まず本事業で製造した量産試作機(12kg/年)を運用しながら、技術的な課題解決と製造プロセスの最適化を継続する。次段階として量産機(20kg/年)を製作し、2030年時点で年間9トンの生産規模達成を目標とする。ナトリウムイオン電池市場の堅実な成長が予測される中、当初計画の電気自動車向けに加え、運輸、家電、大規模エネルギー貯蔵システムなど多様な用途展開を視野に入れている。技術面ではSECカーボン株式会社、国立研究開発法人産業技術総合研究所、アイ'エムセップ株式会社の3者連携体制を継続し、低温域熱処理の影響など残された検討事項に取り組む。市場投入時期は技術完成度と市場動向を総合的に判断して決定するが、次世代蓄電池市場の成長期に合わせた事業化を目指している。

実用化・事業化にあたっての課題

技術面では高容量と高レート特性の両立、低温での充電容量増大、電極厚膜化時の低温・高レートでの大幅な容量低下が主要課題である。これらの解決にはカーボン材料そのものの改善と電極構成の最適化が必要であり、特に低温域での熱処理の影響など調査を残している検討事項がある。製造面では大量生産設備の開発が必須であり、現在の試作機レベルから工業生産レベルへのスケールアップに伴う技術的課題の解決が求められる。また、溶融塩の大量乾燥方法確立や電解槽材料の長期耐久性向上も重要な課題である。コスト面では溶融塩材料費、電力費、設備費の最適化により収益性確保が必要である。市場面では次世代蓄電池市場における競合他社との差別化戦略確立と、電気自動車以外の用途開発による市場拡大が課題となる。さらに品質管理体制構築、安全性評価、環境負荷評価など事業化に向けた総合的な取り組みが必要である。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 アイ’エムセップ株式会社
事業管理機関 公益財団法人京都高度技術研究所
研究等実施機関 SECカーボン株式会社
国立研究開発法人産業技術総合研究所
アドバイザー 国立大学法人群馬大学

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 アイ’エムセップ株式会社(法人番号:1130001026749)
事業内容 技術開発、技術コンサルティング(受託研究、技術調査、実験指導、実験装置販売、大型装置開発)
社員数 7 名
本社所在地 〒610-0334 京都府京田辺市田辺中央6丁目3番地1近鉄新田辺西ビル8階
ホームページ http://www.imsep.co.jp/
連絡先窓口 アイ’エムセップ株式会社 黒田 孝二
メールアドレス kuroda@imsep.co.jp
電話番号 0774-66-7252