機械制御
冷熱資源でもある海洋深層水を利活用するため、深海の高圧に耐える深層水ポンプと軟質ホースで容易に取水できる技術を開発し、脱炭素社会の実現に貢献する。
佐賀県
株式会社ゼネシス
2026年2月9日更新
プロジェクトの基本情報
| プロジェクト名 | 地球規模の冷熱資源である海洋深層水の革新的取水技術の開発 |
|---|---|
| 基盤技術分野 | 機械制御 |
| 対象となる産業分野 | 環境・エネルギー、産業機械、建築物・構造物 |
| 産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(小型化・軽量化)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(生産性増加)、環境配慮、低コスト化 |
| キーワード | 海洋深層水、海洋温度差発電、GX、深層水冷熱、脱炭素社会 |
| 事業化状況 | 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中 |
| 事業実施年度 | 令和4年度~令和6年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
深層水が持つ膨大な冷熱性等の資源を活用する際、これまで利活用が進んでいない障壁は硬質管を用いた取水管工事費が高額であることである。本開発では発想を転換し、軟かいホースで深層水を洋上に汲み上げることで硬質管の敷設を不要とする方法を考案した。これにより設置コストを従来より一桁減、工期1週間以内とする革新的な深層水取水システムを実現するものである。
開発した技術のポイント
1深層水ポンプの開発
①耐圧試験により水深800m相当の耐圧強度を達成し、OTEC用途に必要な水深条件を満たした。さらに取水口径250mmの大口径化を実現し、洋上試験で制御性に問題がないことを確認した。
2取水ホースの開発
①口径1000mmの取水ホースを開発し、洋上試験で安定した取水性能を確認した。圧力損失は5m-aq以内に収まり、佐賀県伊万里湾での耐久性試験で1年以上の使用に耐えることを実証した。また岩場環境下でも損傷は軽微であり、長期耐久性が期待できる結果であった。
3引き揚げシステムの開発
①電動ウインチを採用し、専用巻上装置を開発したことで、ロープや電線の損傷を防ぎつつスムーズな巻上げを実現した。洋上試験では約3時間で引き揚げ、全作業を8時間で完了できる作業性を確認した。
4実地試験による成果
①3年間で3回の洋上試験を実施し、最終的に水深665mからの取水に成功した。開発した深層水ポンプ・ホース・巻上装置が実環境で問題なく稼働することを確認し、深層水取水技術の実用化に向けた基盤技術を確立した。
具体的な成果
1深層水ポンプの開発
①水深800mに相当する耐圧8MPaを達成
②実機で必要とされるポンプ効率70%超を達成
③現時点の日本最大規模の取水設備(従来型の陸上ポンプ方式)と同規模のポンプ口径250mmを達成
2取水ホース、引き揚げシステム開発
①流動圧損5m-aq、ホース口径1m以上を達成
②浅海域にて1年以上の通水を行い耐久性を確認
③洋上試験において水深665mからの取水に成功するとともに、開発した巻上装置でポンプの引き揚げも成功
知財出願や広報活動等の状況
本事業で実現したガス均圧式は、油圧均圧式においても同じ課題が存在するため、2通りの方式での特許出願やノウハウ化を検討している。また、川下企業と連携して需要を含めた適地での詳細調査、営業活動を実施中である。
研究開発成果の利用シーン
耐圧8MPaの深層水ポンプと口径1mのホースにより、水深600~800m帯の海洋深層水を安定取水できたため、OTEC発電の取水系として有効である。また、事業化ステップとしては洋上OTEC等の「洋上取水」とともに、陸上OTEC、すなわち地域冷房、水産利用、データセンター冷房などの陸上取水用途での展開が見込まれる。本事業の実地試験で水深665mからの取水と専用巻上装置による円滑な引揚作業を確認しており、保守運用面での実装性も高いと考えている。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
本研究開発は、深層水取水に係る高額な海洋土木工事の代替として軟質ホースと耐圧性を高めた深層水ポンプを用いる方式を確立し、洋上実地試験で水深665mからの取水に成功した。開発したポンプ、ホース、巻上装置はいずれも目標値を満たし、実用化の基盤が整ったといえる。事業化に向けては、まず陸上OTECや地域冷房、水産利用、データセンター冷房といった陸上取水用途での展開が期待されており、耐久性・施工性・保守性のさらなる検証が課題である。今後は1MW級OTECを目標に段階的な規模拡大を進める方針である。
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、共同研究・共同開発、技術ライセンス、技術コンサルティング
製品・サービスのPRポイント
1高耐圧・高性能の深層水ポンプ
①耐圧強度8MPa(水深800m相当)を達成した深層水ポンプは、深層水取水に十分な性能を備えている。さらに大流量・低揚程向けに最適化した設計により、省エネルギーかつ安定した運転が可能である。
2大口径・高耐久性の取水ホース
①様々な口径で製作可能な取水ホースは低圧力損失で省エネ型の運用に適している。
3安全で効率的な引き揚げシステム
①洋上取水式では電動ウインチを用いた巻上装置を採用し、スムーズかつ安全に引き揚げ作業が完了でき、保守性と作業効率を高めた。
4実証済みの信頼性
①3度の洋上試験で水深665mからの取水に成功し、深層水ポンプ・ホース・巻上装置が実環境で問題なく稼働することを確認済みである。脱炭素社会の実現に貢献する深層水活用技術として高く評価されている。
今後の実用化・事業化の見通し
1 実用化・事業化の方向性
①「陸上取水」用途(陸上OTEC、地域冷房、水産利用、データセンター冷房)や「洋上取水」(洋上OTEC等)への展開を想定している。
2 規模拡大の見通し
①深層水を活用した地域冷房やデータセンター等の大型施設冷房への活用。またOTECの実現に向け1MW、10MW、最終的には100MW級への規模拡大を目指す。
実用化・事業化にあたっての課題
1耐久性の確保
①浅海域・海底斜面・深海底での波浪・潮流・摩擦による取水ホースや電線類の損傷防止が課題である。伊万里湾での耐久試験を継続し、材料の検証を進め長期耐久性を確立する必要がある。
2施工性の向上
①陸上取水では設備まで数キロに及ぶ水平施工が必要である。施工性を高め、工期短縮と作業の標準化を図り、低コスト化へ繋げることが求められる。
3保守性の確立
①保守点検間隔の設定、異常検知方法の確立、スムーズな引揚手順の整備が必要である。自動化やロボット活用も含めて検討し、運用信頼性を高めることが課題である。
事業化に向けた提携や連携の希望
脱炭素化社会の実現は地球規模の緊急課題となっているため、本研究成果の事業化に興味をもつ企業等との提携・連携を希望する。
プロジェクトの実施体制
| 主たる研究等実施機関 | 株式会社ゼネシス 伊万里工場 |
|---|---|
| 事業管理機関 | (公財)佐賀県産業振興機構 佐賀県産業イノベーションセンター |
| 研究等実施機関 | 山口産業株式会社 本社製造部 国立大学法人佐賀大学 理工学部 |
| アドバイザー | 株式会社商船三井 株式会社西武 プリンスホテルズワールドワイド |
参考情報
- 株式会社ゼネシス HP
- http://www.xenesys.com/index.html
主たる研究等実施機関 企業情報
| 企業名 | 株式会社ゼネシス(法人番号:1010001142153) |
|---|---|
| 事業内容 | 製造業 |
| 社員数 | 18 名 |
| 生産拠点 | 伊万里工場 |
| 本社所在地 | 〒848-0121 佐賀県伊万里市黒川町塩屋字七ッ島5番91号 |
| ホームページ | http://www.xenesys.com/index.html |
| 連絡先窓口 | 株式会社ゼネシス 伊万里工場 |
| メールアドレス | info@xenesys.com |
| 電話番号 | 0955-20-7570 |



