複合・新機能材料
次世代高速通信に必要な低誘電特性と、先端半導体パッケージ封止材料として必要な特長(低CTE、高密着性、低反り、高信頼性)を併せ持つ熱硬化性樹脂の開発
大阪府
サンユレック株式会社
2026年2月9日更新
プロジェクトの基本情報
| プロジェクト名 | 次世代高速通信に向けた先端半導体パッケージ用高機能液状封止材料の開発 |
|---|---|
| 基盤技術分野 | 複合・新機能材料 |
| 対象となる産業分野 | 半導体、エレクトロニクス、化学品製造 |
| 産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(小型化・軽量化)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高効率化(生産性増加) |
| キーワード | 低誘電特性、先端半導体パッケージ材料、熱硬化性樹脂、低CTE (低線膨張率)、一括大面積封止 |
| 事業化状況 | 実用化間近 |
| 事業実施年度 | 令和4年度~令和6年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
次世代高速通信6G向けの半導体パッケージ用高機能液状封止材料の開発を行った。具体的には、エポキシ樹脂系とビスマレイミド樹脂系の2つの樹脂系から、極性基の低減と低極化による低誘電特性の実現、分子鎖振動の抑制による高耐熱性の付与を図る樹脂ハイブリット化技術を開発した。さらに、微粉シリカフィラーの細密充填技術と高熱伝導フィラーの高充填化技術により、低熱膨張係数と高熱伝導性を実現した。また、12インチサイズの一括大面積封止に対応するため、低背化大面積封止のための封止材料の最適化を行い、FOWLP技術への適用を目指した研究開発を実施した。
開発した技術のポイント
・樹脂ハイブリット化技術
-極性基の低減および低極化により比誘電率2.5以下、誘電正接0.002以下を目標とした
-分子鎖振動の抑制によりガラス転移温度150℃以上、150℃/1,000時間での物性劣化率5%以下を実現
・無機フィラー高充填技術
-微粉シリカフィラーの細密充填により線膨張係数10ppm/℃以下、フィラー量80wt%以上を達成
-高熱伝導フィラーの高充填化により熱伝導率1W/mK以上を実現
・一括大面積封止技術
-12インチサイズでの低反り1mm以下、未充填・ボイド・フローマーク無しの成型性を確立
-ギャップ30μm、ピッチ間15μmへの充填性を実現
具体的な成果
マレイミド系樹脂で誘電正接Df:0.0016、エポキシ系樹脂で誘電正接Df:0.0026を達成し、目標値0.002以下をクリアした。線膨張係数はエポキシ系で8ppm/℃、マレイミド系で8ppm/℃を実現した。開発したマレイミド系樹脂およびエポキシ系樹脂において、120GHzまでの高周波特性評価および温度依存性も確認した。12インチウエハーでの成型において、エポキシ系では反り1mmを達成したが、マレイミド系では後硬化後の樹脂クラックが課題として残った。高温放置試験では150℃/1,000時間後でマレイミド系の重量減少0.04%、エポキシ系0.14%となり、マレイミド系の耐熱性が優れていることを確認した。高熱伝導化ではアルミナフィラー併用により1W/mKを達成した。
知財出願や広報活動等の状況
2021年のMate2021(第27回エレクトロニクスにおけるマイクロ接合・実装技術シンポジウム)およびMES2021(第31回マイクロエレクトロニクスシンポジウム)で研究成果を発表し注目を集めた。2024年度には国内で実装フェスタ関西と第34回マイクロエレクトロニクスシンポジウムの企業展示で発表を行った。海外展示会では12月のセミコンジャパン、1月のインターネプコンに加え、アメリカのECTCと台湾のセミコン台湾にも出展した。研究機関からの依頼や要望を多数受けており、特許戦略については配合特許として低誘電特性を持つFOWLP用封止材料の内容で申請予定である。
研究開発成果の利用シーン
・次世代高速通信6G向けミリ波帯通信デバイスの封止材料
-スマートフォン、自動運転、ロボット技術、遠隔医療、社会インフラ自動監視等の分野
・FOWLP(Fan Out Wafer Level Package)技術における封止材料
-チップの立体的配置による小型化・高密度化パッケージ
・AiP(アンテナインパッケージ)モジュールの封止材料
-通信系デバイスの多機能化・小型化
・RF(Radio Frequency)デバイスの高周波対応封止材料
-28GHz帯5G、300GHz帯6G通信への対応
・電子部品用接着剤・封止材への応用
-コンデンサー等の電子部品における低誘電損失材料としての利用
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
株式会社村田製作所からアンテナリレー一体型モジュール向け低誘電封止材の要求を受け、TSMCからは誘電損失0.002以下の具体的数値目標を提示され開発引合いを獲得している。2025年度にサンプル出荷開始予定で、TSMC、日本電信電話株式会社、株式会社村田製作所、ASEへの供給を計画している。売上見込みは2025年度48,000千円(400kg)から2029年度800,000千円(10,000kg)まで段階的に拡大予定である。販売戦略としては国内外の展示会への出展、代理店経由の販売展開、海外パッケージ企業への拡販を進め、台湾・日本企業から世界企業への顧客拡大を図る計画である。
提携可能な製品・サービス内容
素材・部品製造、共同研究・共同開発
製品・サービスのPRポイント
次世代高速通信6G対応の世界初となる低誘電特性(マレイミド系樹脂では誘電正接0.002以下、エポキシ樹脂系では0.003以下)を実現したFOWLP用封止材料である。従来のエポキシ樹脂では達成困難な低誘電特性と高耐熱性、低熱膨張性を同時に実現し、12インチサイズの大面積成型にも対応可能である。マレイミド系樹脂採用により300℃以上のガラス転移温度を持ち、高温環境での安定性が優れている。また、FOWLP技術の設計自由度向上によりパッケージの低コスト化・小型化に貢献し、AiP技術との組み合わせで通信デバイスの多機能化を実現する。研削プロセス対応の表面平滑性も確保し、次世代パッケージ技術の実用化を支援する。
今後の実用化・事業化の見通し
2024年度から顧客(台湾、日本)への本格的なサンプル出荷を開始し、2025年度では各社に合わせた調整を行っており、2026年度以降の量産化を目指している。世界半導体市場の2025年予測6,972億ドルのうちFOWLP市場は34億ドル規模で15%成長が見込まれ、材料市場は実装コストの4割の2,400億円と推定される。販売戦略では自社工場での初期生産後、需要拡大に応じて海外工場展開やライセンス供与も検討している。国内外の展示会出展により認知度向上を図り、半導体パッケージング展やセミコン台湾等での販路拡大を進める。産業技術総合研究所との共同研究による伝送損失データ取得も計画している。
実用化・事業化にあたっての課題
・技術的課題
-マレイミド系樹脂の後硬化時におけるクラック発生の完全解決
-比誘電率の目標値2.5以下への更なる低減(現状はエポキシ系3.34、マレイミド系3.04)
-薄膜成型時(200μm以下)のフローマーク発生抑制
・事業化課題
-高価な材料コストによる製品価格の高騰
-ヒートサイクル試験での適切な評価構造の確立
-海外製造委託先の確保と品質管理体制の構築
-競合他社への技術流出防止策の強化
・市場開拓課題
-新規顧客開拓のための実績積み上げ
-海外市場での認知度向上とブランド確立
事業化に向けた提携や連携の希望
高周波(6G対応)のアンテナ設計を研究されている国立研究開発法人産業技術総合研究所との共同研究を行う予定。
プロジェクトの実施体制
| 主たる研究等実施機関 | サンユレック株式会社 開発部 市場開発グループ |
|---|---|
| 事業管理機関 | 一般財団法人金属系材料研究開発センター |
| 研究等実施機関 | サンユレック株式会社 大阪公立大学 |
| アドバイザー | ニシダエレクトロニクス実装技術支援 中京大学 株式会社村田製作所 株式会社東レリサーチセンター 国立大学法人熊本大学 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
主たる研究等実施機関 企業情報
| 企業名 | サンユレック株式会社(法人番号:2120901011040) |
|---|---|
| 事業内容 | 化成品の配合・製造販売 |
| 社員数 | 204 名 |
| 生産拠点 | 本社工場(大阪府高槻市) |
| 本社所在地 | 〒569-8558 大阪府高槻市道鵜町三丁目5番1号 |
| 連絡先窓口 | サンユレック株式会社 開発部 市場開発グループリーダー 石川有紀 |
| メールアドレス | ishikawa@sanyu-rec.jp |
| 電話番号 | 072-669-1233 |
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