情報処理
清掃工場と農業用ハウスが連携することで熱とCO2を資源化させる地域循環経済の創出
栃木県
株式会社誠和
2025年1月23日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 産業横断的に脱炭素を推進するための農工連携による循環型エネルギー活用ソフトウェアの開発 |
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基盤技術分野 | 情報処理 |
対象となる産業分野 | 環境・エネルギー、農業、情報通信 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、環境配慮、デザイン性・意匠性の向上 |
キーワード | 資源循環、カーボンリサイクル、農業、循環経済、清掃工場 |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化間近 |
事業実施年度 | 令和4年度~令和5年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
施設園芸と工場等の排出エネルギーに関するビッグデータ基盤を構築し、資源循環の効果を可視化する共通プラットフォーム型のソフトウェアを開発した。佐賀市の清掃工場から排出されるCO2や余熱量等のデータと、誠和が保有する施設園芸に関するデータを結合し、エネルギー利用シミュレーション技術を開発した。開発したソフトウェアは、誠和の営業支援システム上に搭載し、関係者間での情報共有と資源循環の推進を図る。
開発した技術のポイント
・施設園芸における最適環境を実現するためのCO2量と熱量を可視化する機能
-地域、園芸施設の高さ、栽培作物によって異なる最適な栽培環境に応じた最適エネルギー量と、それに掛かるエネルギーコストをシミュレーションできるようにした
・被覆資材導入による省エネ効果を定量的に示す機能
-クラウドシステム上で気象庁の気象オープンデータと連携することで、より地域や季節に適したエネルギー投入量と省エネ効果を可視化できる
-導入前後の化石燃料使用量とコスト、CO2排出量比較を可視化し、経済的及び環境的価値を定量的に示す
・工場等の排出エネルギーを最大限に活用できる施設園芸面積を算出する機能
-資源循環によって得られるCO2排出削減量、工場側の排出エネルギー販売による増収効果、施設園芸側のエネルギーコスト削減効果、炭素生産性などを定量的に示すことができる
具体的な成果
・施設園芸における最適環境の可視化
-トマトなど5品目の生育ステージに最適な環境条件を可視化した
-800箇所以上の地域の日射量データに対応し、きめ細かいシミュレーションを実現した
・被覆設備導入による省エネ効果の可視化
-14種類の被覆資材の省エネ効果を、燃料削減量とコスト削減額から可視化した
-CO2排出量削減効果も可視化し、環境負荷低減効果を定量化した
・ 資源循環による効果の可視化
-工場等の排出エネルギー量から必要な施設園芸面積を算出できるようにした
-CO2排出削減効果と経済的メリットを定量的に示せるようにした
知財出願や広報活動等の状況
令和4年度中に以下の4件の特許を出願済み
・二酸化炭素シミュレーション装置、コンピュータプログラム及び記録媒体 (令和5年2月28日出願)
・農業用ハウス設計支援装置、コンピュータプログラム及び記録媒体 (令和5年2月28日出願)
・生産者が最も経済的なCO2濃度設定を判断できるシミュレーション装置 (令和5年3月22日出願)
・多様なカーテンフィルムの組み合わせにおいても、放熱係数を予測できるシミュレーション装置 (令和5年3月22日出願)
以下2つを受賞
・経済産業省中小企業庁「はばたく中小企業・小規模事業者300社」GX分野
・日本DX対象 SX(サステナビリティトランスフォーメーション)部門 優秀賞
研究開発成果の利用シーン
・開発したソフトウェアは、「施設園芸エネルギーデザインシステム」として、大規模施設園芸団地の企画・設計に活用される。
・カーボンリサイクルプラント等の建設を検討する企業や自治体に対して、投資効果や脱炭素効果を可視化するツールとして活用される
・施設園芸の既存生産者や新規参入者に対して、資源循環型施設園芸の導入を促進するツールとして活用される
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
「施設園芸エネルギーデザインシステム」は、カーボンリサイクルプラント建設を検討する企業や自治体、及び施設園芸の生産者や新規参入企業のニーズに応える事業展開が期待されている。佐賀市の事例では、清掃工場の排出エネルギーを活用した15~20ha規模の園芸施設建設が可能と試算された。誠和は本ソフトウェアを用いて、大規模施設園芸団地の企画・設計、コンサルティング業務、自社製品の販売強化に活用する予定である。横浜市からの調査事業依頼による100万円から200万円程度の売上も見込んでいる。
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、技術ライセンス、技術コンサルティング
製品・サービスのPRポイント
・環境問題への貢献
-CO2排出量の大幅削減と化石燃料依存の低減を実現する
-工場からの排出エネルギーを施設園芸に活用し、資源循環を推進する
・経済効果
-施設園芸: エネルギーコストを最大50%削減し、生産性向上を支援する
-工場: 排出エネルギーの収益化と設備投資の促進を可能にする
・社会的意義
- 地域経済の活性化や雇用創出に貢献する
- 持続可能な社会の実現に寄与する
・技術的特徴
- 国際特許取得の可能性が高い独自のシミュレーション技術を搭載している
- 800箇所以上の日射量データや14種類の被覆資材データを活用し、高精度なシミュレーションを実現する
- クラウドシステム上で動作し、専門知識がなくても簡単に操作できる
このシステムは、環境問題への貢献と経済効果の両立を実現する画期的なソフトウェアとして期待されている。
今後の実用化・事業化の見通し
資源循環型モデルを採用する地域の増加に伴い、大規模施設園芸団地の企画・設計を推進している。自社製品販売では、省エネ農業用暖房システムの台数計算や被覆資材の販売強化にシステムを活用する予定である。さらに、国際特許取得の可能性が高い技術を基に、令和6年度と7年度中に国際出願を行い、グローバル展開を目指している。
実用化・事業化にあたっての課題
カーボンリサイクルプラントや大規模施設園芸団地の建設に必要な多額の初期費用の調達と事業リスクの低減が重要な課題である。また、資源循環型施設園芸モデルの普及に伴い、関連法規の整備や規制緩和が必要となる可能性がある。工場と施設園芸間のエネルギー需給調整や地域間連携体制の構築も不可欠である。さらに、多様な条件に対応した精度の高いシミュレーションを行うためには、更なるデータ蓄積とモデルの高度化が求められる。加えて、システムの普及には認知度向上と理解促進のための広報活動が重要となる。
事業化に向けた提携や連携の希望
現在、金融機関5行、事業会社3社と協議を重ね、佐賀における更なる資源循環型園芸を推進している。
その他、二酸化炭素分離回収設備を商用化している事業者との連携も進めており、様々な事業者との連携による事業化の協議を行っている。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社誠和 |
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事業管理機関 | 株式会社誠和 |
研究等実施機関 | 佐賀県農業試験研究センター 佐賀市バイオマス産業推進課 |
アドバイザー | 佐賀市企画調整部バイオマス産業推進課 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社誠和(法人番号:8010501031907) |
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事業内容 | (1) 施設園芸用の環境制御機器、養液栽培システム、省エネ・省力機器の製造販売 (2) 大規模プラントの開発、製造、販売 (3) 流通事業構築 |
社員数 | 172 名 |
生産拠点 | 栃木県本社工場にて一部生産を実施。基本的にはファブレスであり、協力会社へ外注している。協力会社は日本全国にいる。 |
本社所在地 | 〒329-0412 栃木県下野市柴262-10 |
ホームページ | https://www.seiwa-ltd.jp/ |
連絡先窓口 | 大出浩睦、新村素晴 |
メールアドレス | info@seiwa-ltd.co.jp |
電話番号 | 0285-44-1114 |
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