精密加工
高精度2次元集光X線ミラーの形状・粗さ計測技術の確立
大阪府
株式会社ジェイテックコーポレーション
2025年1月28日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | X線測定・分析の高効率化に資する高精度2次元集光X線ミラーの製造法の開発 |
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基盤技術分野 | 精密加工 |
対象となる産業分野 | 光学機器 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(精度向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮) |
キーワード | 2次元集光X線ミラー、CGH干渉計、放射光施設、SPring-8、形状計測 |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中 |
事業実施年度 | 令和3年度~令和5年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
本事業では、CGH(コンピュータ生成ホログラム)干渉計技術を活用し、ミラー形状の計測精度を飛躍的に向上させることを目指している。この技術の導入により、2次元集光X線ミラーの高精度な製造が可能となり、放射光施設におけるX線集光の効率と精度が向上することが期待される。これにより、科学研究や産業応用における成果が最大化されるだけでなく、施設の利用効率も大幅に向上する見込みである。特に、ミラーの製造プロセスを革新することで、今後の放射光利用技術の発展に大きく寄与することが予想される。
開発した技術のポイント
・CGH干渉計の測定原理について
-干渉計からの平面波をCGHパターンで回折し、非球面波面に変換。
-各光線はミラー表面に垂直に入射し、正反射する。
-ミラー面の微小な形状誤差を干渉縞の乱れとして検出。
・CGH干渉計の技術課題について
-高精度アライメント方法の確立。
-ゴースト対策としてデータ合成による補完。
-システムエラーの補正方法の確立。
・基礎的評価の実施
-除振装置や簡易空調を使用し、大気揺らぎの影響を低減。
-波面再現性1nm以下を達成。
・CGH素子の評価
-画像歪の補正方法やゴーストの除去方法を検討。
-システムエラー補正方法を提案し、精度を検証。
・スティッチング処理
-各計測データを合成し、形状データを補完。
-補正誤差を除去し、精度向上を図る。
・試作ミラーの評価
-CGH計測を主にした精密加工で形状誤差9.2nmRMSを達成。
-従来法と比較し、集光性能や不要散乱光の大幅な向上を確認。
具体的な成果
・CGH干渉計計測技術と計測システムを構築
-各種誤差要因を解析・処理する技術を獲得し、長さ1mまでの各種形状の2次元集光X線ミラーを計測可能な計測システムを構築した。
-生産性向上を目的に、自動計測や各種データ処理機能を開発実装し、既存技術より高精度でかつ高速な計測システムを構築した。
・CGH干渉計測システムを主とした製造工程においてWolterミラーの製造を実証
-試作したミラーを放射光施設(SPring-8)にてX線評価したところ、CGH干渉計測で決定したミラー形状が妥当であることが確認された。
-従来の製造手法より、ミラーの到達精度が大幅に向上したことを確認した。
研究開発成果の利用シーン
・放射光施設のビームライン構築
-規格化したミラーを利用して、効率的にビームラインを構築できる可能性がある。
-将来の新規ビームライン構築において、需要が高まることが期待される。
・研究開発や産業応用分野での活用
-新型コロナウイルス治療薬の開発や創薬、先端材料解析など、精密なX線集光が求められる分野での利用。
-高精度な2次元集光ミラーの製造技術は、これらの分野での応用が期待される。
・顧客ニーズに応える生産性の向上
-CGH計測による高精度かつ高速な形状計測を実現したことで、ミラーの製造コスト削減と生産性向上が可能に。
-従来法に比べて、計測時間を大幅に短縮し、顧客に対する納期の短縮が見込まれる。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
本事業で開発されたCGH干渉計システムにより、高精度な2次元集光X線ミラーの効率的な製造が可能となり、これまで対応が困難だった需要にも応えられるようになった。現行の生産目標は年間20本であり、その達成に向けた体制を整備中である。今後、需要に応じて生産本数を増やすため、CGHシステムの追加導入を計画し、事業の拡大を目指している。これにより、国内外の需要に対し、迅速かつ安定的な供給が可能となり、事業化が大きく進展する見込みである。
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、製品製造、共同研究・共同開発
製品・サービスのPRポイント
・高精度な2次元集光X線ミラーの製造
-CGH干渉計を用いた新技術により、従来の製造方法に比べて形状精度が大幅に向上し、1μmレベルの集光性能を実現。
・短時間での高精度計測
-MSI計測に比べて計測時間を1/10に短縮し、生産性が飛躍的に向上。多品種少量生産にも柔軟に対応可能。
・コスト削減と高い再現性
-自動化と高精度アライメント技術により、計測の再現性が向上し、品質を維持しながら製造コストを削減。
・多様な応用分野での利用が可能
-新型コロナウイルス治療薬の開発や先端材料解析など、放射光を活用する幅広い分野での応用が期待される。
・光軸調整が簡便
-従来のミラーと比べ、光軸調整が容易で、セットアップ時間の短縮が可能。ユーザーの負担を軽減。
今後の実用化・事業化の見通し
・現行の生産目標は年間20本であり、これを達成するための体制整備を進行中。
・CGHシステムの追加導入を計画し、生産能力をさらに拡大する予定。
・高精度な2次元集光X線ミラーは、放射光を利用した研究や産業分野での需要が世界的に増加している。
・国内外の研究機関や産業界への供給を視野に入れ、販売ネットワークの拡充や提携先の拡大を検討。
・自動化技術の導入により、製造工程の効率化とコスト削減を実現し、より多くのミラーを迅速に供給可能に。
・アライメント技術の高度化により、従来の測定方法を補完し、品質を維持しながら生産性を向上。
・加工技術の高度化にも取り組み、より幅広い用途に対応できる製品を提供予定。
・放射光施設の新設や既存施設の拡張に伴い、ミラー需要は今後も増加が見込まれ、長期的な成長が期待される。
実用化・事業化にあたっての課題
・CGH干渉計システムの高精度化と生産性向上には、アライメント技術やデータ処理のさらなる自動化が不可欠。
・製造工程を自動化し、作業者の熟練度に依存しない安定した品質と効率を確保する必要がある。
・幅広い2次元集光ミラーの製造に対応するため、傾斜面など複雑な形状の加工精度を向上させる必要がある。
・加工スポットの安定化や、加工ツールの制御システムの開発など、加工技術の革新が求められる。
・現行の生産能力(年間20本)を超える需要に対応するためには、複数台のCGHシステムを導入し、生産体制を強化する必要がある。
・設備投資や生産ラインの拡張に伴うコスト負担を抑えつつ、供給体制を強化することが課題。
・高精度な2次元集光ミラーの品質を維持するため、計測と加工の全工程にわたる品質管理体制を強化する必要がある。
・製造時の微細な誤差や欠陥をリアルタイムで検出・補正できるシステムの構築が求められる。
・世界的に需要が拡大する中、競合他社との差別化を図り、技術力とコスト競争力を確保する必要がある。
・海外市場への販売戦略や現地パートナーとの協力体制の構築も課題である。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社ジェイテックコーポレーション |
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事業管理機関 | 一般財団法人大阪科学技術センター 技術振興部 |
研究等実施機関 | 国立大学法人東海国立大学機構 工学研究科物質科学専攻量子ビーム物性工学・松山智至 国立大学法人大阪大学 大学院工学研究科物理学系専攻精密工学コース・山内和人 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所太陽系科学研究系・坂尾太郎 |
アドバイザー | 国立研究開発法人理化学研究所 放射光科学研究センター(RSC) 公益財団法人高輝度光科学研究センター |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社ジェイテックコーポレーション(法人番号:5140001023717) |
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事業内容 | 業務用機械器具製造業 |
社員数 | 48 名 |
生産拠点 | ・本社/開発センター(大阪府茨木市) ・栃木生産技術センター(栃木県那須塩原市) / ・細胞培養センター(大阪府吹田市) |
本社所在地 | 〒567-0086 大阪府茨木市彩都やまぶき2丁目5-38 |
ホームページ | https://www.j-tec.co.jp/ |
連絡先窓口 | 事業企画室 森田 健一 |
メールアドレス | kenichi.morita@j-tec.co.jp |
電話番号 | 072-655-2787 |
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