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研究開発された技術紹介

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機械制御

ハイパースペクトルカメラによる物性情報、偏光カメラによる環境情報と深度カメラによる位置・形状情報のハイブリッド情報を用い、機械学習により対象物を識別する技術を開発。その技術を用いたスーパーロボットビジョン搭載ピッキングロボットを実現する

大阪府

智頭電機株式会社

2025年1月22日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 透過散乱光に適応するハイブリッド情報を用いたスーパーロボットビジョン搭載ピッキングロボット技術の開発
基盤技術分野 機械制御
対象となる産業分野 医療・健康・介護、環境・エネルギー、ロボット、農業、産業機械、食品、物流・流通
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)
キーワード ロボットビジョン、ピッキングロボット、透明物体、深度カメラ、機械学習
事業化状況 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中
事業実施年度 令和3年度~令和5年度

プロジェクトの詳細

事業概要

物流倉庫や生産工場では、光の透過や散乱の影響を受けずに、把持が難しい対象物をピッキングするロボットが求められている。本事業では、ペットボトルやブリスターパックなどの透明物体を対象に、偏光カメラを用いて深度情報を取得し、RGBおよび深度情報を入力とする機械学習による把持アルゴリズムを開発した。これにより、透明物体をピッキングするための基盤技術を構築した。また、透明なブリスターパックをピッキングするロボットのプロトタイプを開発し、パッケージメーカーに導入した。

開発した技術のポイント

・ハイパースペクトルカメラ(HSC)の開発
-可視光や近赤外領域の情報を取得するハイパースペクトルカメラを選定し、撮像環境を構築。
-水分を含むペットボトルなど、従来技術で認識が難しかった物質の検出を実現。
・照明環境の最適化
-複数の照明方式を比較し、バー照明を最適と判断。
-950nm帯の赤外線照明を用いて、透明物の反射や透過を正確に撮像。
・偏光カメラの導入
-偏光カメラで透明物の形状や表面特性を把握し、深度情報を取得。
-クロス偏光技術を用いて背景の影響を最小限に抑えた画像取得を実現。
・機械学習モデルの開発
-RGB、深度情報、950nm帯データを組み合わせたハイブリッド認識モデルを構築。
-データの増強と学習サーバー利用でピッキング精度を向上。
・ピッキングロボットのハードウェア開発
-人工筋肉を用いたハンドを設計し、様々な物体の把持に対応。
-透明ブリスターパックや柔軟物体を対象に、正確なピッキングを実現。
・システムの最適化
-デジタルツイン技術を用いてシミュレーション環境と実環境の誤差を解消。
-現場作業者の使いやすさを考慮した設計を実現。

具体的な成果

・ハイパースペクトルカメラによる物性測定技術の研究開発
-ハイパースペクトルカメラを用いて物性情報から商品の特定率を90%以上達成。
-データ自動測定装置の開発を完了。
・偏光カメラによる撮像条件の改善技術の研究開発
-ハイパースペクトルカメラの代替として950nm帯に絞った画像情報の取得を行った。
-対象物の3次元形状の推定精度を向上させる法線取得方式を開発。
-RGB情報、深度情報および950nm帯のハイブリッド情報を使って、対象物の把持位置を推定するRGBD+1chの機械学習モデルを開発。
-学習済みモデルによるペットボトルのピッキング成功率は98%を達成。
・ロボットビジョンを入力とする機械学習技術の研究開発
-RGB+1chの機械学習モデルを開発し、学習済みモデルによる透明ブリスターパックのピッキング成功率は99%を達成。
・ピースピッキングロボットのシステム技術の開発
-透明ブリスターパックのピッキングロボットのプロトタイプを製作し、最適化と高速化を行い、パッケージメーカーに導入。

ピッキングロボットプロトタイプ
知財出願や広報活動等の状況

・2023国際ロボット展(2023年11月29日(水)~12月2日(土)於:東京ビッグサイト)に出展。
・垂直統合インテグレータ企業などを通じて、EC事業者や物流事業者などへのサンプル出荷や製品販売を予定。
・関西Tech to Biz ネットワーク 技術提案ピッチイベントでプレゼン(2024年2月9日(金)於:グランフロント大阪)
・ロボット学会学術講演会で講演(2023年9月11日~14(日)お:仙台国際センター)

2023国際ロボット展-1
2023国際ロボット展-2
研究開発成果の利用シーン

自動倉庫の導入により人手不足を解消し、物流倉庫内の作業効率を向上させる。商品の積み下ろし作業を自動化し、人員の負担を軽減できる。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

本研究開発の成果を活用したピッキングロボットは、既にいくつかの実証実験を経て、特定の市場セグメントで事業化が進行中である。まず、パッケージメーカーにおいて透明なブリスターパックのピッキングロボットを導入し、製品化に成功。これにより、生産ラインでの手作業を自動化し、労働コストの削減と作業効率の向上を実現している。さらに、物流業界向けにもECサイトでの多品種小ロット商品のピッキングに対応するシステムとして、試験導入が進められている。現在は、ピッキング精度の向上や、ロボットハンドの多機能化に取り組み、異なる業種への適用範囲を広げている。また、透明物体認識技術のコア部分を他社にライセンス供与する形での事業展開も模索しており、複数の企業と商談が進行中である。これにより、物流、製造、医療といった多様な分野での活用が期待されている。加えて、製品化に向けた製造コストの低減や、カスタマイズ対応なども行い、競争力を高めている。今後は、垂直統合型の企業とのパートナーシップを強化し、EC事業者や物流事業者向けのシステム販売を本格化させる予定である。

提携可能な製品・サービス内容

設計・製作、製品製造

製品・サービスのPRポイント

・透明物体の高精度ピッキング技術
-ハイパースペクトルカメラや偏光カメラを用い、透明ペットボトルやブリスターパックの認識とピッキングを実現。
・多様な商品への対応力
-異なる形状や素材を識別できるロボットハンドを搭載し、EC倉庫や製造現場での多品種小ロット取扱いに最適。
・作業効率の大幅向上
-自動化により手作業の負担を軽減し、作業スピードを向上。人手不足解消やコスト削減に貢献。
・簡単な導入と操作性
-直感的なユーザーインターフェースにより、特別な技術知識がなくても簡単に操作可能。既存ラインにも柔軟に組み込める。
・高い汎用性と拡張性
-物流、製造、医療、リサイクルなど多様な業種で活用可能。ロボットハンドや認識技術をカスタマイズ。
・高いコストパフォーマンス
-特許技術の活用によりコスト効率を追求。認識機能を最適化し、システム全体のコストを抑えるソリューションを提供。

今後の実用化・事業化の見通し

透明物体を検出するためのカメラ認識技術を構築し、スーパーロボットビジョン搭載ピッキングロボットの実証実験をパッケージメーカーにて実施。今後は、垂直統合インテグレータ企業などを通じて、EC事業者や物流事業者などへのサンプル出荷や製品販売を目論んでいる。

実用化・事業化にあたっての課題

物流業界の多種多様な商品のピッキングに対応するには、高度なロボットハンドが必要である。特に、柔軟で繊細な商品や不定形の商品を確実に把持するためには、ロボットハンドの研究開発が必要。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 智頭電機株式会社
事業管理機関 一般財団法人大阪科学技術センター
研究等実施機関 国立大学法人大阪大学

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 智頭電機株式会社(法人番号:1120001157792)
事業内容 生産用機械器具製造業
社員数 101 名
本社所在地 〒571-0051 大阪府門真市向島町1-8
ホームページ https://www.chizudenki.co.jp
連絡先窓口 プロジェクトマネージャー 原田 洋
メールアドレス h-harada@chizudenki.co.jp
電話番号 06-6901-5174