精密加工
電気自動車向けモータ用巻線の高品質・短納期製造を可能にする異形引抜き工具製造技術の開発
山口県
泉ダイス株式会社
2025年1月22日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 電気自動車向けモータ用巻線の高品質・短納期製造を可能にする異形引抜き工具製造技術の開発 |
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基盤技術分野 | 精密加工 |
対象となる産業分野 | 自動車 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(小型化・軽量化) |
キーワード | 異形線、平角線、モーター |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中 |
事業実施年度 | 令和3年度~令和5年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
モータ巻線の断面形状を丸から異形断面(平角)に変更することにより、導体占積率をあげ、軽量かつ高性能モータの研究開発がなされている。モータに用いられる平角巻き線は、異形ダイスを用いた引抜き加工により製造され、高寸法形状・精度が要求される。引抜きダイスの角度を含めた形状及び引抜き加工条件が、巻き線製品の形状・寸法精度に影響を与える。異形ダイス形状の最適化については、これまで理論的な検討や考察もなく、現状では経験と勘、手作業でダイス製造がなされてきた。厳しい巻き線の寸法形状・精度、高表面性状が要求されるため、ダイスの作り直しも頻繁にあり、納期が3ヶ月から6ヶ月と長く、ダイス価格も高価となっている。
本事業は、異形ダイヤモンドダイスの製造技術を高度化し、製造期間の短縮を図ることを目的とした取り組みである。
開発した技術のポイント
・理論的なデジタル引抜き加工FEM解析によるダイスの最適形状の導出、デジタルによるCAD・CAM加工技術、デジタルによる工具計測をデータでつなぎ合わせ、高品質・短納期な異形ダイスを提供する技術を確立する。この技術により電気自動車の性能を向上させ、モータ巻き線製造のための異形ダイスの高品質化・最適形状化とその短納期製造を可能とする。
・有限要素法(FEM解析)を用いて、平角ワイヤの引抜き加工における最適なダイス形状を導出した。
具体的な成果
・ダイスの最適形状を製作する手法が確立された。デジタル解析(FEM解析)を活用し、大型電動自動車用モータ巻き平角線および超マイクロモータ用巻き線のダイス設計が最適化され、製造期間が短縮された。
・品質確保と短納期での製造技術確立により、自動車メーカーの要求に応じた品質を維持しつつ、製造プロセスの見える化が進展した。また、インラインでの表面欠陥検査装置の開発が成功し、生産効率の向上に寄与した。これらの成果により、製造プロセスの効率化と品質の安定化が実現した。
研究開発成果の利用シーン
・モータ巻線の断面形状を丸から異形断面(平角)に変更することにより、導体占積率をあげ、軽量かつ高性能となる。
・電動自動車のモータ部品において安定した品質の平角巻線を提供するために重要であり、自動車メーカーの需要に迅速に応えることができる。
・異形ダイヤモンドダイスの製造技術は、医療機器や電子部品などの他分野にも応用可能であり、今後の事業展開が期待される。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
電動自動車市場向けの新たな展開が進行中である。
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作
製品・サービスのPRポイント
・電動自動車(EV)の普及に不可欠な高性能モータの製造技術に特化し、環境負荷の低減と効率的な生産を両立できる。
・デジタル解析やCAD/CAMの導入により、異形ダイヤモンドダイスの最適形状を迅速に設計・製造する技術を確立。
・精密な寸法管理と品質評価技術を活用し、EVモータ用巻線用異形ダイヤモンドダイスの短納期・高精度生産を実現。
今後の実用化・事業化の見通し
・技術の直結効果
-本研究開発で得られた技術は、電動自動車(EV)のモータ性能向上と製造効率化に直結しており、事業化の可能性が大きい。
・市場の現状とニーズ
-現在、日本製の平角巻線が市場の9割以上を占めており、国内外のEVモータメーカーは短納期で高精度なダイヤモンドダイスを必要としている。
・技術の特長と効果
-FEM解析によるダイス形状の最適化とデジタル加工技術により、従来の製造期間を短縮、迅速な製品供給が可能。
販売体制と展開
-既存の国内外のワイヤメーカーへの供給ルートを活用し、グローバルなネットワークを通じて展開。
・将来の展望
-この技術は、日本が市場を独占的にリードする可能性があり、早期の事業化が見込まれる。
-今後、技術のさらなる改良と市場ニーズへの対応を進め、世界的な競争力を強化し、持続的な成長を図る。
実用化・事業化にあたっての課題
・異形ダイヤモンドダイスの製造技術に関する課題
-最適な設計と加工技術は確立しつつあるが、寸法測定精度のさらなる向上が求められている。
-特に、マイクロ異形サイズの寸法測定に関しては、解決すべき課題が残っており、精度向上が必要。
-ダイスの短納期対応には、高精度加工を迅速に行える技術が必要であり、現在の短納期対応能力の強化が必要。
・電動自動車市場における対応体制の強化
-モータ用平角ワイヤの需要増加に伴い、国内外の顧客ニーズに迅速に対応できる体制の構築が必要。
-川下企業の要求に応じた高精度で再現性のあるダイスの製造能力の確立と供給体制の整備が必要。
-ダイスの品質管理と検証方法を改善し、生産効率の向上を図る必要がある。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 泉ダイス株式会社 |
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事業管理機関 | 地方独立行政法人山口県産業技術センター |
研究等実施機関 | 東邦インターナショナル株式会社 SL輸入事業部 東海大学 |
アドバイザー | エネックス古川マグネットワイヤジャパン株式会社 株式会社TOTOKU |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 泉ダイス株式会社 (法人番号:3250002020431) |
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事業内容 | 部品加工、加工機の販売 |
社員数 | 25 名 |
生産拠点 | 平生工場(山口県) |
本社所在地 | 〒742-1513 山口県熊毛郡田布施町大字麻郷554-14 |
ホームページ | https://www.izumidies.com |
連絡先窓口 | 黒川響一郎 |
メールアドレス | kyo@izumidies.com |
電話番号 | 0820-57-1019 |
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