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情報処理

(1)ロボセンの付帯装備高度化技術の開発
(2)AIによる水質予報技術の開発

兵庫県

日本海工株式会社

2025年1月27日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 四胴型自動航行船の研究開発と、AIによる水質予報技術の確立
基盤技術分野 情報処理
対象となる産業分野 産業機械、情報通信、養殖漁業
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(精度向上)
キーワード ロボット,AI,省力化,水質予報
事業化状況 事業化に成功し継続的な取引が続いている
事業実施年度 令和2年度~令和4年度

プロジェクトの詳細

事業概要

海面・内水面養殖業においては、水質予報のニーズが高まっている。このため、四胴型自動航行船の付帯装備の高度化技術を開発し、得られた水質ビッグデータを用いて超高分解能水質シミュレーションの精度を向上させる。また、AI技術を導入して養殖場の水質予報システムを開発する。付帯設備が高度化した四胴型自動航行船による水質ビッグデータと、市販PCで実行可能な水質予報システムを両立させることで、養殖漁業の持続可能な成長に貢献する。

水質計測技術
水質予報技術
開発した技術のポイント

・ロボセンの付帯装備高度化技術の開発
-1人で運用できる通信モジュールとアプリが完成。
-平均距離4m以上で障害物を回避する性能が確認され、実海域での運用が可能に。
-自動着岸装置を開発し、実際の係船を自動化。
-自動アンカリング装置が緊急時の流出防止に寄与。
-水質計測の前に測深を行い、降下深度を決定するシステムが実現。
・AIによる水質予報技術の開発
-水質シミュレーションの高解像度化により、塩分の変動を詳細に把握。
-水質予測モデルが実用化され、時系列での変動把握が可能に。
-予報システムが完成し、3日先の水質変動を高精度で予測。
-PCやタブレット、携帯端末での水質予報表示が可能になった。

通信アプリケーション
障害物回避システム
自動着岸システム
自動アンカリングシステム
深浅測量システム
超高分解能水質シミュレーション
水質予測システム
水質予報システム
具体的な成果

・ロボセンの付帯装備高度化技術の開発
-陸上基地局からの遠隔操作でロボセンへの司令伝送、手動操縦、取得した水質データのクラウド化を1人で運用できるシステムを開発。
-他船との衝突回避および安全対策として、昼夜問わず前方検知距離20m、ロボセンとの平均距離4m以上を保って障害物を回避する技術を開発。
-自動係船のための自動着岸法アルゴリズムをプログラム化し、自動着岸装置を開発。
-緊急時対策として、自動アンカリング装置と制御プログラムを開発。
-水質計測器降下深度の測定および座礁回避のための深浅測量システムを開発。
・AIによる水質予報技術の開発
-空間解像度を水平方向10m、鉛直方向10cmまで向上させた高分解能水質シミュレーションを開発。塩分の時空間変動を詳細に把握可能に。
-連続観測データを学習データとして、天気予報を入力データとして組み込んだAIによる水質予測モデルを開発。
-3日先の水質変動をピンポイントかつきめ細かく予報する水質予報システムを確立。

通信アプリケーション
障害物回避システム
自動着岸システム
自動アンカリングシステム
深浅測量システム
超高分解能水質シミュレーション
水質予測システム
水質予報システム
知財出願や広報活動等の状況

・プロペラガード
特願: 2021-064493(2021年4月5日)
・船舶および船舶係留システム
特願: 2021-165123(2021年10月6日)

研究開発成果の利用シーン

・開発したロボセンの付帯装備高度化技術により、ロボセンの操作性を向上させることができる。牡蠣やウニの養殖場での自動航行や水質測定といったシーンでの利活用が可能である。
・開発したAI水質予報技術により、水質変動の予測精度を高めることができる。自治体や漁業組合における水質管理や災害対策といったシーンでの利活用が可能である。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

北海道浜中町火散布沼、石川県七尾湾、広島県広島湾、兵庫県播磨灘、その他各地において養殖場の水質データを収集し、水質情報を漁業者に公開する取り組みが行われている。

提携可能な製品・サービス内容

調査サービス

製品・サービスのPRポイント

・世界初の低塩分水、貧酸素水塊、赤潮の監視・予報ツールを確立し、水質問題に対する事前対策が可能。
・ロボセンを用いて、赤潮やその他の水質問題による養殖魚介への被害を未然に防ぎ、漁業者の経済的損失を軽減する。

今後の実用化・事業化の見通し

ロボセンによる水質環境調査は、本事業終了後、養殖場周辺海域の水質環境調査業務を実施するなど、すでに実用化が進んでいる。一方で、水産分野に囚われない多分野での活用を目指し、海上工事現場やダム湖でのトライアル調査を実施している。事業領域拡大へのアプローチとして、多分野への活用のほか、多機能化にも取り組んでおり、水質計測装置以外の機器をロボセンに搭載する研究開発を現在実施中である。
AIによる水質予報システムについては、IoT機器メーカーと連携し、火散布沼(北海道厚岸郡)において水質予報システムの運用を実施。水質予報システムは学習データに応じて複数のモデルを適用し改良を図ることで予報精度の向上に努めている。今後もデータ取得と予報を引き続き実施しながら、システムの向上を図っていく。

実用化・事業化にあたっての課題

従前、ロボセンのような移動型自動水質計測装置が存在しなかったため、広範囲かつ高密度な水質の連続観測が行われていなかった。よって、市場を創出するところから始めなければならない。そのために、環境や水産分野での活用にとらわれず、展示会への出展や多分野におけるデモンストレーションを実施し、技術の認知度向上に努めている。
養殖場等のピンポイントで予報できるAI予報システムは、現状、競合するシステムが無く、本技術については一般に認知されてないため、市場を創出するところから始めなければならない。そのために、環境や水産分野での活用にとらわれず、展示会への出展や研究機関、水産関係機関、協業先の企業等への意見交換を実施し、技術の認知度向上に努めている。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 日本海工株式会社 事業本部 ロボット事業推進グループ
事業管理機関 一般財団法人大阪科学技術センター 技術振興部
研究等実施機関 株式会社東京久栄 カーボンニュートラル戦略室 ブルーエコノミー推進グループ
公立大学法人大阪 大阪公立大学 工学研究科 航空宇宙海洋系専攻
国立研究開発法人 国立環境研究所 地域環境保全領域 海域環境研究室
アドバイザー 北海道浜中町散布漁協
釧路総合振興局釧路地区水産技術普及指導所
石川県水産総合センター
和歌山県農林水産部
広島県総合技術研究所
株式会社KDDI総合研究所
日立造船株式会社(現:カナデビア株式会社)
広和株式会社
JFEアドバンテック株式会社

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 日本海工株式会社(法人番号:9140001012187)
事業内容 建設業・土木工事業・とび土工工事業・鋼構造物工事業・ほ装工事業・しゅんせつ工事業・水道施設工事業
社員数 117 名
本社所在地 〒650-0032 兵庫県神戸市中央区伊藤町119番地
ホームページ https://www.nipponkaiko.co.jp/
連絡先窓口 増田憲和
メールアドレス n_masuda@nipponkaiko.co.jp
電話番号 078-391-1791