材料製造プロセス
皮膚細菌叢のバランス維持と目的の菌の生育のみを抑制する次世代型皮膚用剤の高精度生産技術を開発
香川県
株式会社伏見製薬所
2025年2月17日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | ヒト皮膚マイクロバイオームのバランス維持による悪玉菌の活性抑制型皮膚用 |
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基盤技術分野 | 材料製造プロセス |
対象となる産業分野 | 医療・健康・介護、化学品製造、化粧品 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(精度向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、高効率化(生産性増加) |
キーワード | スキンケア、抗菌、細菌叢、ニキビ、加齢臭 |
事業化状況 | 研究実施中 |
事業実施年度 | 令和2年度~令和4年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
本研究の目的は、アルキル-L-ソルボシドを使用した次世代型皮膚用剤の開発である。特に、ニキビ菌や加齢臭の原因菌を抑制しつつ、皮膚に常在する有益な菌群を保護する素材の高精度な生産技術の確立が目標とされた。研究では、高純度化技術や大量生産技術を開発し、1,000kg/day、収率75%以上を実現する製造条件を確立した。また、安全性試験および機能性試験において、化粧品の基準を満たすことを確認している。
開発した技術のポイント
・高純度化技術の開発
-反応生成物中の不純物を5.0%以下に抑える技術を確立。
-原料のL-ソルボースを使用し、高純度のアルキル-L-ソルボシドを生産。
・大量生産技術の開発
-生産量1,000kg/day、収率75%以上を実現する製造条件を最適化。
・安全性および機能性試験
-化粧品の安全性基準を満たすことを確認し、選択的抗菌特性を持つ素材を開発
具体的な成果
・高純度化技術の開発:
-不純物の含有量を5.0%以下に抑える技術を確立。
-HPLCを用いた定量分析条件を確立し、各物質の構造をNMR測定で決定。
-化学的・酵素的手法で不純物の分解除去が可能。
・大量生産技術の開発:
-1,000kg/day、収率75%以上の大量生産技術を確立。
-試験製造を行い、大規模生産の可能性を確認。
・安全性・機能性の確認:
-安全性試験で刺激性がないことを確認。
-保湿性、肌の改善、ニキビ予防効果を確認し、選択的抗菌性も裏付けられた。
知財出願や広報活動等の状況
・特許取得: 特許番号 7153969「抗菌剤」(登録日: 令和4年10月6日)。
-この特許は、アルキル-L-ソルボシドの選択的抗菌効果に関するものであり、皮膚用剤としての実用化に向けた重要な発明である。
また、広報活動として、学会発表や共同研究が進行している。
研究開発成果の利用シーン
皮膚用剤としての幅広い応用が期待されている。具体的な利用シーンは以下の通りである。
・化粧品: ニキビや加齢臭の原因菌を抑制しつつ、皮膚に常在する有益な菌を保護する成分として、化粧水やクリームに応用可能。
・医薬部外品: 皮膚のバリア機能を保護しながら、肌トラブルを予防する製品として医薬部外品にも使用される。
・トイレタリー製品: ボディソープやシャンプーにおいて、皮膚の健康を維持するための成分としての活用が想定される
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
事業化に向けた取り組みは進行中であり、いくつかの企業との共同研究や試作が行われている。令和5年度からは、川下企業に向けての試作品提供や評価が進められており、化粧水などの製品に組み込まれる予定である。
また、製品の市場投入に向けたマーケティング企画も進行中であり、商品の特徴や用途の明確化、市場の絞込みといった活動が行われている。さらに、四国の中小企業との連携を強化し、新たな販路の開拓が進められている。
提携可能な製品・サービス内容
原料提供
製品・サービスのPRポイント
アルキル-L-ソルボシドを使用した皮膚用剤のPRポイントは以下の通りである。
・選択的抗菌効果: 皮膚に常在する有益な菌を保護し、ニキビや加齢臭の原因菌のみを抑制する。
・安全性 日本化粧品工業連合会の基準を満たしており、安全性が確認されている。
・環境に優しい: 従来の抗菌剤に比べて、皮膚や環境への影響が少なく、持続可能な素材として評価されている。
これらの特徴から、エンドユーザーに対して安心して使用できる製品として広くアピールすることができる
今後の実用化・事業化の見通し
今後の実用化に向けて、さらなる研究開発が必要とされているが、現在の技術レベルで事業化の準備は整っている。特に、川下企業との共同研究を通じて、市場ニーズに合致した製品の開発が進行している。今後の課題としては、原料コストの削減や製造プロセスの効率化が挙げられるが、これらを克服することで、広範な市場への展開が期待されている
実用化・事業化にあたっての課題
ヒト常在菌叢に関する研究はおよそ2010年以降増加傾向にあるが主として腸内細菌叢に関するものであり食品業界では腸内細菌叢のコントロールを目的とした製品が多く生み出されてきた。一方、ヒトの皮膚細菌叢の研究は徐々に増えているが皮膚表面の細菌叢がどのような状況であれば、肌が良好なのかについてようやくまとまってきつつある段階である。このような情報はようやく川下企業において拡がりつつある。さらに一般消費者にこの皮膚細菌叢のバランス異維持が皮膚の健康に重要であるとの概念が浸透することが市場形成、事業化における課題と考えられる。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社伏見製薬所 港町事業所 糖質・バイオ研究部 機能性糖質グループ |
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事業管理機関 | 公益財団法⼈かがわ産業⽀援財団 技術振興部 研究開発支援課 |
研究等実施機関 | 国⽴⼤学法⼈九州⼤学 大学院農学研究院 生命機能科学部門 国⽴⼤学法⼈⾹川⼤学 創造工学部 先端材料科学領域,農学部 応用生物科学科 |
アドバイザー | 香川県産業技術センター |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社伏見製薬所(法人番号:5470001007604) |
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事業内容 | 医薬品、工業薬品の製造販売 |
社員数 | 208 名 |
生産拠点 | 香川県丸亀市 |
本社所在地 | 〒763-8605 香川県丸亀市中津町1676 |
ホームページ | https://www.fushimi.co.jp |
連絡先窓口 | 株式会社伏⾒製薬所港町事業所糖質・バイオ研究部 ⽵下圭 |
メールアドレス | takeshita@fushimi.co.jp |
電話番号 | 0877-55-6763 |
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