材料製造プロセス
独自シリコン接合技術による600mm角の四角形状単結晶シリコン基板
山口県
日本新工芯技株式会社
2025年1月30日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 独自のシリコン単結晶接合技術による半導体ドライエッチング装置用大型シリコン電極の低コスト製造技術の研究開発 |
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基盤技術分野 | 材料製造プロセス |
対象となる産業分野 | 半導体 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、環境配慮、低コスト化 |
キーワード | 大型単結晶シリコン、半導体ドライエッチング装置、単結晶シリコン接合技術、低消費電力、環境配慮 |
事業化状況 | 研究実施中 |
事業実施年度 | 令和2年度~令和4年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
キセノンランプを使用した赤外線加熱法により、φ600mmの単結晶シリコン板を短時間で製造する技術を開発した。この技術により、従来法で96時間必要とされていた処理時間を12時間以下に短縮できる。また、製造に必要な電力消費量も50KW時以下とし、従来の半分以下に抑えることが可能となった。本技術の最終目標は、半導体ドライエッチング装置に使用される大規模シリコン電極の低コストかつ高品質な製造プロセスを確立することである。
開発した技術のポイント
・赤外線ランプスキャン機構の開発
- 厚さ15mm、長さ620mmのシリコン板を効率的に加熱し、接合部の溶解と凝固を最適化する技術を確立した。
・補助加熱機構の開発
- 製造中に発生する応力や歪みを軽減するため、カーボンヒーターを活用して接合部周辺を均一に加熱するシステムを導入した。
・溶解モニタリング機構の導入
- 溶解状況をリアルタイムで監視することで、品質を安定させる技術を開発した。
具体的な成果
厚さ15mmのシリコン板接合技術を向上させ620mmまでの接合が可能となった。
接合装置にはモニタリング機構が追加され、溶解状況の確認と温度測定が可能となった。
これにより円盤部品の製造が可能となり、エッチング装置用シリコン電極の部品全形状に対応できる技術が確立された。
また、φ600mmのシリコン円盤製造では、接合時間や電力消費を大幅に短縮し、目標値を達成しました。
研究開発成果の利用シーン
半導体ドライエッチング装置に使用されるシリコン電極の製造に応用される。この技術により、大型の単結晶シリコン電極の高効率かつ低コストな製造が可能となり、従来の製造プロセスに比べて約1/2のコスト削減と大幅なエネルギー削減を実現した。この結果、先端半導体デバイスのエッチング工程における消耗品としての需要が増加し、特にエッチング均一性の向上が求められる業界において大きな貢献が期待される。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
・第1ステップでは、国内半導体装置メーカーとの関係を活かし、φ420mm製品の実績を確立する。日本の半導体装置市場における競争力を強化し、装置と材料分野での貢献を目指す。
・第2ステップでは、アジア市場(日本、中国、韓国)への進出を図り、コスト競争力を活かして市場拡大を狙う。韓国や中国のビジネスチャネルを活用しつつ、独自のビジネス展開も模索する。
・第3ステップでは、中国、韓国、台湾における特許権を活かし、現地での生産事業を展開。現地でのシリコン部品直販により、事業規模の拡大を期待。
・異種材料への展開では、シリコン以外の材料にも接合技術を適用し、特にパワーデバイス用のシリコンカーバイドや酸化ガリウムなどへ応用を広げる。
・異業態への展開では、部品補修装置のニーズを受け、半導体レーザーを活用したコンパクトな補修装置を開発し、環境負荷低減やコスト削減を目指す新事業展開も視野に入れる。
提携可能な製品・サービス内容
素材・部品製造、技術コンサルティング
製品・サービスのPRポイント
本技術の最大の特徴は、従来のシリコン製造プロセスに比べて大幅なコスト削減とエネルギー効率の向上を実現する点である。従来のシリコン電極製造に要していた電力を約50KW時以下に抑え、処理時間を12時間以下に短縮できる。この技術は、特に半導体デバイスの製造において消耗品としての需要が高く、エッチング均一性の確保や寿命の延長に大きく寄与する。また、環境負荷低減にも貢献し、サステナビリティを重視する企業にとって強力な選択肢となる 。
今後の実用化・事業化の見通し
今後の実用化に向けて、さらに技術の改善が進められる予定である。特に、φ420mmの単結晶シリコン電極の量産体制の構築が進行中であり、消耗品としての市場ニーズに応える形で事業拡大が見込まれる。また、シリコン電極以外にも、シリコンカーバイドや酸化ガリウムなど他の材料への応用が期待されており、これらの技術を利用した新しい製品分野の開拓も視野に入れている。事業展開においては、アジア市場への進出が重要な戦略となっている
実用化・事業化にあたっての課題
・φ420mm電極の実機評価
-エッチング工程で異常消耗が無いこと
-寿命が従来の多結晶材と比べ1.5倍であること
-エッチング中の発塵レベルが許容範囲(30nmパーティクルで300mmウエハ換算5個以下)であること
・φ600mm電極の実機評価: 国内半導体装置メーカのアドバイザーからのフィードバックを受け、開発の継続が求められている。自社で導入予定のシングルワイヤーソーを使い、φ600mmの円盤製造技術を確立し、φ420mmと同様の実機評価を行う。
・ラマン分光による非破壊歪み評価技術の確立: 産業技術研究所のアドバイザーからのアドバイスに基づき、ラマン分光を用いた局所的な歪み測定技術の開発を進める。これにより、大型部品の内部歪みを非破壊で評価できる手法を確立し、令和5年度中に評価を実施する予定。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 日本新工芯技株式会社 |
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事業管理機関 | 地方独立行政法人山口県産業技術センター |
研究等実施機関 | 地方独立行政法人山口県産業技術センター |
アドバイザー | 東京エレクトロン宮城株式会社 産業技術総合研究所 |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 日本新工芯技株式会社(法人番号:4010701026751) |
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事業内容 | 金属製品加工 |
社員数 | 6 名 |
本社所在地 | 〒743-0063 山口県光市島田6町目4番15号 |
連絡先窓口 | 日本新工芯技株式会社 藤井智 |
メールアドレス | fujii@thinkon.jp |
電話番号 | 03-5946-6870 |
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