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精密加工

レーザ技術で加工、計測、検査を同時に実施。溶射エンジンの品質向上とコスト削減を可能にし製造業界に革新をもたらす

広島県

ANALYZER株式会社

2025年1月28日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 溶射エンジンブロックのボア内面加工品質向上と製造コスト削減を実現する計測と欠陥検査を一体化した世界初の革新的レーザ加工装置の実用化開発
基盤技術分野 精密加工
対象となる産業分野 環境・エネルギー、航空・宇宙、自動車、農業
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高性能化(小型化・軽量化)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高性能化(精度向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、高効率化(人件費削減)、高効率化(生産性増加)、環境配慮、低コスト化
キーワード レーザ加工、全数検査、自動化、三次元装置、溶射エンジン
事業化状況 研究実施中
事業実施年度 令和2年度~令和4年度

プロジェクトの詳細

事業概要

エンジンブロックのボア内面における溶射加工の品質向上を目的として、2種類のレーザ光源を用いて加工、計測、欠陥検査を同時に行う世界初のレーザ加工装置の開発を行った。特に、プラズマの発生状態や加工時に生じる飛散物の観察を行い、その影響を最小限に抑えることが重要な課題とされた。
エンジンブロックのボアに対する溶射では、ミクロンレベルの精度が求められ、それに対応する加工・計測・欠陥検査の精度も必要となる。しかし、これらを同時に実施する際には多くの課題があり、特にレーザ加工の形状評価方法が確立されていない点が問題視されている。
研究課題と目標は以下の3点
・加工現象の解明: ボアの曲面で発生する加工飛散物やプラズマ発光現象は未解明であり、それらの影響を把握することが重要。
・一体化装置の開発: レーザ加工による飛散物や発光現象の制御・除去を行う機構やアルゴリズムを開発すること。
・装置利用技術の確立: 新たな剥離強度評価方法を含む加工形状の最適化手法を開発すること。
この研究により、エンジンのボア内面加工の品質向上を図ると同時に、製造コストの削減も目指す。

開発した技術のポイント

・ボア内面のレーザ加工時に発生するプラズマや加工飛散物を画像化し、その挙動を把握。
・エアジェットを用いてプラズマの影響を除去するシステムを導入。
・加工、計測、欠陥検査を同時に行う一体化装置を設計し、動作検証を行った。
・新たな剥離強度評価方法として、せん断方式を導入し、従来技術と比較して剥離強度を大幅に向上させることに成功した​

具体的な成果

・加工現象の解明: 曲面加工時に発生する加工飛散物やプラズマの特性を、高速度カメラと波長計測を用いて明らかにし、それらが欠陥検査に与える影響が少ないことを確認。さらにエアジェットを使うことで、影響をさらに低減できることも分かった。
・一体化装置の開発: これまでの知見を基に、加工・計測・欠陥検査を同時に行える一体化装置の設計を実施し装置を作製。加工・計測・欠陥検査を同時に行えることが確認された。
・装置利用技術の確立: 溶射膜の剥離強度を評価する新しい方法を確立し、従来の機械加工に比べて強度が3倍以上になるレーザ加工形状を発見した。

レーザ加工時の高速度カメラ撮像.jpg
一体化装置での加工状況
レーザ加工と従来の機械加工前処理の溶射膜剥離強度の比較グラフ
研究開発成果の利用シーン

本プロジェクトで開発されたレーザ加工装置は、エンジンブロックのボア内面加工において、加工精度の向上と品質管理の強化に寄与する。また、自動車部品の製造においても、製造コスト削減と品質向上を同時に実現できるため、高性能エンジンの製造に最適な技術である​

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

プロジェクトは研究段階から事業化への移行を目指している。開発した一体化装置の動作検証が完了し、製品化に向けた調整が進められている。今後、さらに装置の最適化を図り、商業生産に向けた体制を整えていく予定である

提携可能な製品・サービス内容

設計・製作、加工・組立・処理、素材・部品製造、製品製造、試験・分析・評価、共同研究・共同開発

製品・サービスのPRポイント

本製品は、加工、計測、欠陥検査を一体化したレーザ加工装置であり、従来の技術では実現できなかった精度と効率を両立する。特に溶射エンジンの加工において、品質向上とコスト削減を実現する技術であり、エンジン製造業界に革新をもたらす技術である​

今後の実用化・事業化の見通し

加工現象の解明については、高速度カメラを用いて曲面加工時の加工飛散物やプラズマを可視化し、プラズマの波長成分を計測した。これにより、加工時の影響が小さいことが確認され、さらにエアジェットを用いることでその影響をさらに軽減できることも確認された。
一体化装置については、動作検証を実施し、加工・計測・欠陥検査を同時に行えることが確認できた。また、溶射エンジンの荷重方向に適したせん断方式の剥離強度評価方法を確立した。さらに、レーザ加工による溝形状が従来技術に比べて3倍以上の剥離強度を実現することも判明した。
今後の実用化に向けては、動作中に発生したミラー破損の問題を解決し、装置の信頼性を向上させることで、具体的な実用化検討段階に移り、エンジン製造業界への導入が進むことが期待される。

実用化・事業化にあたっての課題

・一体化装置のミラーが破損したため計画していた検証を全ては実施できなかった。まずは破損した原因と考えられる加工レーザの焦点位置のずれをプロファイラで検証できるよう装置を改造し測定を行う。その上で加工と同時に欠陥検査、寸法計測をする上での課題にその都度対応し最終化を図る。
・溶射膜の剥離強度評価方法については、従来用いられてきた評価方法と異なるためアドバイザーや川下企業と協議の上、評価方法をチューニングしていく必要がある。新たな評価基準を設けるためにはN増し評価をすることも必要となるためアドバイザーや川下企業と協力の上、検証を進めていく。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 ANALYZER株式会社 本社
事業管理機関 公益財団法人ひろしま産業振興機構 ものづくり革新統括センター 部長 神田敏和
研究等実施機関 国立大学法人広島大学 先進理工系科学研究科 教授 山本 元道
国立大学法人筑波大学 数理物質系 教授 伊藤雅英、医学医療系 教授 安野嘉晃
アドバイザー 株式会社SUBARU

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 ANALYZER株式会社(法人番号:7240001060153)
事業内容 検査装置、計測装置及び測定装置の設計開発・製造販売 機械装置及び通信機器の設計開発・製造販売 コンピュータ及びコンピュータ周辺機器の設計開発・製造販売 システムソフトウェア、サーバシステム及びインターネットシステムの企画開発・構築・運用及び保守並びにそれらの支援 マーケティング関連製品・サービスの企画・設計・製作及び運用
社員数 11 名
生産拠点 ANALYZER株式会社 本社
本社所在地 〒739-0046 広島県東広島市鏡山3丁目13番60号
ホームページ https://analyz.jp
連絡先窓口 ANALYZER株式会社 世良 博史
メールアドレス sera@analyz.jp
電話番号 082-426-6672