文字サイズ
標準
色の変更

研究開発された技術紹介

  1. トップ
  2. 研究開発技術検索
  3. SOFC用の多孔質金属基板の開発により、高強度SOFCを実現させることで低環境負荷のSOFCの普及に貢献する。

精密加工

SOFC用の多孔質金属基板の開発により、高強度SOFCを実現させることで低環境負荷のSOFCの普及に貢献する。

埼玉県

ポーライト株式会社

2025年1月24日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 固体酸化物形燃料電池(SOFC)の高強度化のための多孔質金属基板の開発
基盤技術分野 精密加工
対象となる産業分野 環境・エネルギー、電池
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)
キーワード 燃料電池,SOFC,金属,多孔質,多孔体
事業化状況 実用化間近
事業実施年度 令和2年度~令和4年度

プロジェクトの詳細

事業概要

多孔質金属基板に必要な特性として、実用化サイズのSOFCが作製でき、SOFC作動環境の600℃以上の高温で使用できることを目標に、以下の3課題に取り組んだ。
(1)乾式成膜法で表面に緻密質膜が作製可能な多孔質金属基板の開発
(2)SOFCとしての実用化サイズの開発
(3)SOFC作動環境での安定性の確立

開発した技術のポイント

・微細な空孔の多孔質金属基板の開発
・100mm角以上で薄肉の多孔質金属の作製方法の確立
・多孔質金属基板を用いたSOFCセルの試作
・100時間の連続運転が可能な耐久性をもつSOFCセルの試作
・SOFC環境に適した原料材質の確認

具体的な成果

・空孔径7μm以下、空孔率40%以上の多孔質金属基板上に98.5%の緻密膜を作製
・100mm角で平面度0.09mm、厚さ0.29mm、空孔率49%の多孔質金属基板を作製
・多孔質金属基板を用いたSOFCセルを試作し、100時間以上の耐久試験で開回路電圧1.0V以上を達成
・SOFC環境に適した多孔質金属基板の材質として、耐熱性を向上させたフェライト系ステンレスを選定

知財出願や広報活動等の状況

・第32回 SOFC研究発表会にて「粉末冶金法を用いた金属支持固体酸化物形燃料電池の開発」で発表
・産業技術総合研究所のWEBに掲載(2023/12/11) 粉末冶金技術を用いた金属支持による固体酸化物形燃料電池(SOFC)を開発
・日刊工業に掲載(2023/12/12) ポーライトと産総研、金属基板に燃料電池積層 モビリティー向け
・知財出願 特願2023-204094
・知財出願 特願2023-204093

研究開発成果の利用シーン

開発した多孔質金属基板により、固体酸化物形燃料電池(SOFC)の強度を向上させることができる。
高強度の金属支持形SOFCが実現すれば、定置用だけでなく移動体用のSOFCにも適用可能となり、燃料電池市場の拡大に貢献できる。

開発した多孔質金属の作製技術により、ステンレス材以外の金属材質で多孔質金属基板を作製することができる。
電池の電極部材や水電解装置の部材などの多孔質金属として利活用が可能である。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

固体酸化物形燃料電池(SOFC)用の多孔質金属基板として、数社から引合いがあり、1社にサンプルを提供し、評価中である。
別用途の多孔質部材として、引合いがあり、1社にサンプルを提供し、評価中である。
ポーライト㈱で、多孔質金属基板を用いた燃料電池セルの開発をしており、1社にサンプルを提供し、評価中である。

提携可能な製品・サービス内容

設計・製作、素材・部品製造、製品製造、共同研究・共同開発

製品・サービスのPRポイント

本研究で開発した「多孔質金属基板」は、SOFCの高強度化に必要不可欠な材料であり、実際に本製品を用いてSOFCセルの試作に成功している。
また、100mm角以上の大面積化を達成しており、SOFCの実用化に向けて大きく前進した製品である。

開発した「多孔質金属基板の作製技術」により、ステンレス以外の金属材質(銅、ニッケル、チタン等)の多孔質部材を作製することが可能である。
厚さ、空隙率、空隙径などの調整も可能であるため、電極・集電体などの多孔質部材として利用することが可能である。

100mm角以上の多孔質金属シート
多孔質金属の拡大SEM写真
50mm角の金属支持SOFC写真
今後の実用化・事業化の見通し

SOFC用の多孔質金属基板、多孔質金属基板を利用したSOFCセル、多孔質金属基板の作製技術を利用した多孔質部材について、サンプルを提供しており、そのまま川下産業の製品化にあわせて採用して頂けるよう改善している。
また、電池産業や環境分野での認知度を増加させ、販路拡大できるよう営業活動を継続する。

実用化・事業化にあたっての課題

多孔質金属基板を用いた高強度SOFCは、特性面が既存品に追い付いていないため、特性向上が必要である。
燃料電池は評価期間が長いため、部材の評価開始から量産までの期間が長い。また、部材変更のスイッチングコストが大きい。

事業化に向けた提携や連携の希望

多孔質部材を用いる高強度SOFC、水電解装置や電池関連などを開発している企業と開発段階から連携や提携をしていきたい。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 ポーライト株式会社
事業管理機関 公益財団法人さいたま市産業創造財団
研究等実施機関 国立研究開発法人産業技術総合研究所
アドバイザー 株式会社シンクロン

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 ポーライト株式会社(法人番号:6030001007696)
事業内容 粉末冶金製品の製造販売
社員数 583 名
生産拠点 伊奈工場(埼玉県)、熊谷工場(埼玉県)、海外(台湾、マレーシア、中国、インド)にも展開
本社所在地 〒362-0806 埼玉県北足立郡伊奈町小室4852番地1
ホームページ https://www.porite.co.jp/
連絡先窓口 研究開発部 高橋寛明
メールアドレス hr.takahashi@porite.co.jp
電話番号 048-588-6183