バイオ
プラズマローゲンを安定化して流通と利用を拡大し国民の健康増進を目指す
宮城県
青葉化成株式会社
2025年1月27日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 認知症予防に向けた海鞘プラズマローゲンを安定化する酵素架橋ゼラチンマイクロカプセル化プロセスの開発 |
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基盤技術分野 | バイオ |
対象となる産業分野 | 医療・健康・介護、食品 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上) |
キーワード | マイクロカプセル、コーティング、安定化、機能性、食品 |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中 |
事業実施年度 | 令和3年度~令和5年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
本事業の目的は、認知症予防に有望とされる海鞘プラズマローゲンを、食品に応用できる形で安定化させることにある。特に、化学的に不安定なプラズマローゲンをマイクロカプセル化し、酸化安定性、耐水性、耐熱性を高める技術が開発された。プラズマローゲンを架橋ゼラチンに中に100nm以下の微細油滴状に分散保持させる技術が確立されたことで、クッキーやハンバーグなどの加熱を伴う食品に添加しても効果を失わない形で応用できるようになった。また、酸性食品においては残存率が低下するが、その他の食品では広範囲な応用が期待できる。
開発した技術のポイント
・プラズマローゲンを安定的にサブミクロンレベルでマイクロカプセル化する技術を開発
・架橋ゼラチンを基材とし、酸化安定性、耐水性、耐熱性を高めるプロセスを確立
・プラズマローゲンの含有量を2mg/gとし、40℃で3ヵ月保存後でも60%の残存率を達成
・賞味期限12ヵ月以内に1mg/gのプラズマローゲン含有量を保証できる製品設計が可能
・溶剤を使わないエコフレンドリーなプロセスを開発し、海鞘の可食部を無駄なく利用
これらの技術は、今後の認知症予防食品開発に大きく貢献する。
具体的な成果
プラズマローゲンをマイクロカプセル化し、その結果、従来法では実現できなかった酸化安定性と長期保存性を付与することに成功した。保存試験では、25℃、12ヵ月間で約70%のプラズマローゲン残存率を達成し、賞味期限12ヵ月以内の製品設計が可能となった。加えて、クッキーやハンバーグといった加熱工程を伴う食品にプラズマローゲンを添加しても、加工後も90%以上の残存率を維持できた。これにより、加工食品への応用が現実的となり、今後の食品市場での展開が期待されている。
知財出願や広報活動等の状況
”ほやプラ”の商標を出願した。
研究開発成果の利用シーン
本研究で開発されたプラズマローゲンマイクロカプセルは、高齢者向けの認知症予防食品としての応用が期待されている。具体的には、クッキー、パン、ハンバーグ、煎餅など、加熱を伴う加工食品への応用が可能であることが確認されている。また、酸性食品に対しては残存率が低下するため課題は残るが、それ以外の多くの食品に対して応用できる技術であり、今後の市場拡大が期待される。さらに、健康食品市場においても競争力を持つ製品として注目されている。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
量産化に向けたスケールアップ試験が成功し、プラズマローゲン含有量2mg/gの製品を一度に10kg製造する技術が確立された。OEM先で製造試験を実施し、量産化が可能になったが、想定の倍以上コストがかかり、適正価格にあわせるとほとんど利益が得られないことが判明した。一方で、第12回公募事業再構築補助金にホヤプラズマローゲンの製造販売事業が採択となり、自社工場内に量産設備を導入し、2025年度内に製造を完全内製化できる見込みである。また、製品の安全性評価とECによる販売準備を進めており、2025年8月頃にテスト販売を開始する予定である。海水温上昇の影響で、三陸産の海鞘がこの先二年間入手困難になることから、当初計画していた原料販売は供給責任が果たせない可能性があり、DtoC販売から始める計画である。
提携可能な製品・サービス内容
素材・部品製造、製品製造
製品・サービスのPRポイント
プラズマローゲンマイクロカプセル化技術は、酸化安定性と長期保存性に優れた食品加工技術として大きな強みを持つ。特に、海鞘の有用成分を無駄なく活用するエコフレンドリーな製造プロセスが特徴で、食品産業においても環境に配慮した技術として注目されている。さらに、健康食品としての市場競争力を高めるため、製品の品質と機能性を強調したPR活動が行われており、今後の市場展開に向けた準備が整っている。
今後の実用化・事業化の見通し
プラズマローゲンマイクロカプセルのプロトタイプが完成し、量産化フェーズに進行している。補助金により製造設備導入の資金調達のめどが立ったため、2025年度内に自社工場での製造を開始する予定である。原料となる三陸産海鞘が入手困難になっているため、北海道産ホヤを使用し、原料供給が安定するまではECでのみ販売する計画に変更した。製品化に向け商標出願、パッケージの作製、仕様書等の作製を進めおり、2025年8月にテスト販売を開始することを目標にしている。
実用化・事業化にあたっての課題
酸性食品への応用では残存率が低下するという問題から、経口摂取した場合、胃酸でプラズマローゲンが分化し有効量が減る可能性がある。耐酸性を向上させ、最終的にはヒト試験で体内吸収性を検証することを、みやぎ中小企業チャレンジ応援基金事業として実施しており、改善される見込みである。また、海水温上昇により、三陸産ホヤの幼生が死滅し、数年間回復する見込みがなくなった。北海道産ホヤで代用できるが、今後、確実な原料確保が課題である。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 青葉化成株式会社 泉開発研究所 |
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事業管理機関 | 公益財団法人みやぎ産業振興機構 産業育成支援部地域連携推進課 |
研究等実施機関 | 国立大学法人東北大学 未来科学技術共同研究センター |
アドバイザー | 株式会社サン・クロレラ |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 青葉化成株式会社(法人番号:4370001002509) |
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事業内容 | 各種商品卸売業 |
社員数 | 149 名 |
生産拠点 | 泉工場(宮城県) |
本社所在地 | 〒981-3137 宮城県仙台市泉区大沢3-2-5 |
ホームページ | https://www.aobakasei.co.jp/ |
連絡先窓口 | 商品開発課 阿久津光紹 |
メールアドレス | akutsu.mitsuaki@aobakasei.co.jp |
電話番号 | 022-346-1377 |
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