製造環境
EV化時代に増大する磁気センサの需要を見据え検査能力を3倍に向上させた磁気センサ検査装置の開発
宮城県
株式会社東栄科学産業
2025年1月27日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | EV化時代に増大する磁気センサの需要を見据え検査能力を3倍に向上させた磁気センサ検査装置の開発 |
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基盤技術分野 | 製造環境 |
対象となる産業分野 | 自動車、産業機械、情報通信、半導体、エレクトロニクス |
産業分野でのニーズ対応 | 高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(使用機器削減)、低コスト化 |
キーワード | 磁気センサ、MRAM、電磁石、テスタ、検査 |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化間近 |
事業実施年度 | 令和3年度~令和5年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
本事業は、磁気センサの検査能力を従来比で3倍以上に向上させることを目的とした技術開発である。EV化により、車載用磁気センサの需要が大幅に増加していることを踏まえ、より効率的な検査装置の開発が急務であった。具体的には、磁場の立ち上がり時間を従来の300ミリ秒から30ミリ秒に短縮し、検査効率を飛躍的に高めることを目標にしている。サブテーマとして、電磁石の磁気回路に使用する材料の最適化や、コイルの設計による電流立ち上がり時間の短縮、プローブカードの低背化などを実現することで、全体的な検査プロセスの効率化を図った。
開発した技術のポイント
・磁場立上がり時間の大幅短縮: 従来の300ミリ秒から3.1ミリ秒にまで短縮し、目標値である30ミリ秒を大幅に超えた成果を達成した
・検査能力の飛躍的向上: テスト時間を従来の7.4秒から1.48秒に短縮し、月産検査能力を従来の100万個から500万個に引き上げた
・最適化された材料とコイル: 電磁石の磁気回路には高透磁率材料を採用し、コイル構造の最適化により、電流立上がり時間の短縮と検査効率のさらなる向上を実現した
これらの技術は、車載用磁気センサ検査にとどまらず、他の電子部品にも応用可能である。
具体的な成果
磁場立上がり時間と検査能力の大幅な改善を達成した。従来技術では磁場立上がり時間が300ミリ秒かかっていたが、最終的には3.1ミリ秒まで短縮され、目標値であった30ミリ秒を大幅に上回る成果を挙げた。また、検査能力についても従来の5倍に向上させ、月産検査能力を100万個から500万個に拡大した。これにより、EV市場における車載用磁気センサの全数検査が可能となり、カーボンニュートラルの実現を支える重要な技術基盤が構築された。さらに、電磁石の材料とコイル設計の最適化により、検査プロセス全体が効率化され、他の半導体デバイスにも応用できる技術が開発された。
研究開発成果の利用シーン
開発された技術は、主に車載用磁気センサの検査に使用されるが、その応用範囲は広く、他の産業分野にも影響を与える。特に、MRAMやHDDなどの記憶デバイスの検査にも応用が期待されており、生産効率を大幅に向上させる可能性がある。また、今後は医療分野への応用も視野に入れており、生体磁気を利用した診断装置の開発が見込まれている。これにより、さらなる市場拡大が期待されている。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
本プロジェクトの成果を基に、磁気センサ検査装置の事業化を進めている。現時点では特定企業へのサンプル出荷が行われている。将来的には、国内では5社程度、海外では米国や中国の磁気センサメーカー(それぞれ1~2社程度)が対象として販路を拡大していく。。事業展開は順調に進行しており、EV市場の拡大に伴い需要が増加する中、株式会社東栄科学産業は市場シェアの拡大を図っている。今後はさらに多様な分野での展開が期待されている。
提携可能な製品・サービス内容
製品製造、共同研究・共同開発
製品・サービスのPRポイント
本プロジェクトで開発された磁気センサ検査装置は、従来の技術を大幅に凌駕する性能を持っており、月産500万個の検査能力を実現する。その特徴として、磁場立上がり時間の短縮と検査効率の向上が挙げられる。これにより、コスト削減と生産能力の向上が可能となり、特に自動車産業向けの磁気センサ検査において、大きな競争力を発揮する。また、MRAMやHDDのテストにも応用可能であり、他の電子部品検査分野でも広く利用できる技術となっている。
今後の実用化・事業化の見通し
さらなる装置の性能向上とコスト削減を進め、より効率的な生産体制を整える予定である。EV化が進む中で、磁気センサの需要が増加し続けており、株式会社東栄科学産業はそれに応じた柔軟な対応を進めている。特に、医療分野への応用が注目されており、生体磁気を検出する診断装置としての市場展開も見込まれている。また、今後は国内外での販売展開をさらに強化し、事業拡大を図る方針である。
実用化・事業化にあたっての課題
まずは製品のコスト削減が重要である。特に、材料費や製造プロセスの効率化が求められる。また、装置の小型化や、さらに短縮された磁場立上がり時間の実現も課題となっている。加えて、増加する磁気センサ需要に対応するための生産体制の強化が必要であり、製造ラインの拡張や新技術の導入も検討されている。株式会社東栄科学産業は、これらの課題に対応しながら、実用化への道を歩んでいる。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社東栄科学産業 名取工場・磁気応用部 |
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事業管理機関 | 公益財団法人みやぎ産業振興機構 産業育成支援部地域連携推進課 |
研究等実施機関 | 公益財団法人電磁材料研究所 |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社東栄科学産業(法人番号:3370001002030) |
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事業内容 | 理化学機器商社・装置開発製造 |
社員数 | 110 名 |
本社所在地 | 〒982-0032 宮城県仙台市太白区富沢4-8-29 |
ホームページ | https://www.toei-si.jp/ |
連絡先窓口 | 磁気応用部 佐藤茂行 |
メールアドレス | gijutsu@toei-tc.co.jp |
電話番号 | 022-382-6681 |
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