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立体造形

機能と魅力を兼ね備えた新時代の部材

岐阜県

DAISEN株式会社

2025年1月27日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 単一材料による発泡粒子を用いた、遮音(吸音)、軽量、断熱性や意匠性を有する自動車用部材向け2層機能構造体の一体成形技術開発
基盤技術分野 立体造形
対象となる産業分野 自動車、スマート家電、建築物・構造物
産業分野でのニーズ対応 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(遮音(吸音)性、断熱性)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、高効率化(生産性増加)、低コスト化、デザイン性・意匠性の向上
キーワード 自動車用部材,発泡成形,遮音(吸音),意匠性,断熱性
事業化状況 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中
事業実施年度 令和2年度~令和4年度

プロジェクトの詳細

事業概要

発泡樹脂材料を用いて自動車用部材の遮音、吸音、断熱、意匠性などの機能を備えた2層構造体を一体成形する技術を開発することを目的とした。従来のエンジンカバーなどに使われる材料では、国際的な騒音規制への対応が難しくなっており、これを解決するために発泡成形技術の高度化が必要であった。プロジェクトは、遮音・吸音材料としての性能を最大化しつつ、低コストでの大量生産を実現するため、金型加熱技術の改良や成形サイクルの短縮を目指した。

開発した技術のポイント

・表皮成形技術の確立 ‐ 加熱温度や圧縮条件を最適化し、表皮層を高精度で成形する技術を確立した。
・シャトルテーブル付トランスファ対応縦型成形装置の開発 ‐ 発泡、表皮、冷却工程を3か所で同時に行える成形装置を開発し、成形時間の短縮に成功した。
・ターゲット製品の試作 ‐ エンジンカバーの試作に成功し、遮音性能が従来製品よりも向上していることが確認された。

具体的な成果

作成した2層構造の成形品は、エンジンカバーとして評価された結果、従来のエンジンカバーと比べて遮音性能が平均0.85dB向上していることが確認された。また、成形工程においては成形サイクルの短縮に成功した。これにより、生産コストの大幅な削減が見込まれている。また、成形品の強度や平面度に関する評価も行い、実用に耐える性能を持つことが確認された。

知財出願や広報活動等の状況

原料メーカーと交わしている使用制限により、特許出願は行っていない。 自動車用途に関しては広報活動は行っておらず、自動車メーカー(ティア1)へは直接やり取りを行っている。

研究開発成果の利用シーン

開発した2層構造の成形技術は、以下の自動車用部品に活用されることが想定される。
・エンジンカバー
吸音・遮音性能の向上により、エンジンから発生する騒音を大幅に低減する。
・車内インテリアパネル
発泡成形技術による軽量性と意匠性の向上により、高級感を演出しつつも軽量な車内パネルを提供可能。
・フロアスペーサ
吸音・遮音性能が求められる部品として、フロアカーペットと自動車ボディとの間に設置することで遮音層が出来、車内の静粛性を向上させることができる。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

開発された技術は自動車メーカーとの共同開発の段階に移行している。成形サイクルの短縮に成功したことにより、生産コストの削減と量産体制の強化が進めつつある。

提携可能な製品・サービス内容

素材・部品製造

製品・サービスのPRポイント

・軽量でありながら優れた遮音・吸音性能
 従来品と比べ、平均0.85dBの遮音性能向上を実現。
・短時間での成形が可能
 成形サイクルを1,200秒から300秒に短縮し、生産効率を大幅に向上。
・一体成形による高い意匠性
 表皮成形技術の導入により、滑らかな表面を持ち、デザイン性の高い製品が可能。
 従来表皮層と吸音層を別工程で生産し、貼り合わせていた工程を1工程でできるようにした。

今後の実用化・事業化の見通し

今後の展望として、さらなる成形技術の改良を進め、他の自動車用部材にも応用を広げていく予定である。エンジンカバーの量産が順調に進むことで、市場でのシェア拡大が期待されている。また、軽量化技術を他の車内外部材にも展開し、自動車の燃費向上や騒音低減に寄与することで、自動車産業全体における環境負荷の軽減を目指す。

実用化・事業化にあたっての課題

・材料コストの問題
発泡成形に用いる特殊材料が高価であるため、さらなるコスト削減が課題となる。
・技術の普及
発泡成形技術を他の車内外部材にも展開するには、現在の技術レベルをさらに向上させる必要がある。
・量産体制の構築
今後の市場投入に向けて、安定した量産体制の確立と物流の整備が急務である。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 DAISEN株式会社 化成品事業
事業管理機関 公益財団法人岐阜県産業経済振興センター
研究等実施機関 岐阜県産業技術総合センター

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 DAISEN株式会社(法人番号:2200001023408)
事業内容 成形機事業、金型事業、発泡プラスチック製品加工事業、太陽光発電事業
社員数 72 名
生産拠点 本社(岐阜県中津川市)
本社所在地 〒508-0014 岐阜県中津川市駒場町2番25号
ホームページ https://www.daisen-inc.co.jp/
連絡先窓口 取締役執行役員 楯 泰貴
メールアドレス tate@daisen-inc.co.jp
電話番号 0573-66-1321