測定計測
ワイドバンドギャップ半導体ウエハの非破壊検査を他の手法よりも、簡便、安価で精度よく高速で観察する。
東京都
セラミックフォーラム株式会社
2025年1月22日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 次世代パワーデバイス用結晶中欠陥の3次元非破壊検査装置の開発 |
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基盤技術分野 | 測定計測 |
対象となる産業分野 | 半導体、光学機器 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高性能化(精度向上)、低コスト化 |
キーワード | 非破壊検査,ワイドバンドギャップ半導体ウエハ,結晶中の欠陥検査,高速計測,高分解能 |
事業化状況 | 事業化に成功 |
事業実施年度 | 令和3年度~令和5年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
本研究では高分解能位相差顕微鏡法やPLトポグラフ偏光顕微鏡法を組み合わせた新しい検査装置の開発に取り組み、WBG半導体結晶の高品質化を図り、次世代パワーデバイスの生産コスト低減と信頼性向上を目指している。
開発した技術のポイント
・光源の高度化
-短波長405nmのLED光源を採用し、XY面と深さ方向の解像度を向上。
-偏光変調を減少させるため、芯出しアライメント操作時にハーフミラーを挿入し、観察時には抜き出す機構を開発。
・コンデンサレンズの高解像度化
-NA0.9のレンズを搭載し、20倍対物レンズで解像度1.1μmを実現。
-半導体結晶観察用にレンズの最適値Rを検討。
・偏光位相差コントラスト観察
-偏光子を用いて、SiCやGaN結晶の転位像の偏光効果を評価。
-転位のBurgers vectorと偏光位相差コントラストの関係を研究課題に設定。
・高速応答AFシステムの開発
-ラインセンサ方式のAFシステムを採用し、サーチタイムを0.3秒以下に短縮。
-ステージ移動と連続掃引を組み合わせ、撮像と同期する新しい撮像方式を開発。
・検査装置の高速化
-広域視野と同時画像解析を用いて、従来法より約11~15倍の高速化を達成。
-撮像と画像解析を並行処理し、検査時間の短縮を実現。
具体的な成果
・高分解能位相差顕微鏡システムの開発
-貫通転位の非破壊検出。
-高速検査: Φ6インチウエハ全面 最短25分。
-3次元検査: ウエハ表面から裏面までZ軸スライシング分析。
-高解像度: 高密度転位の分離判別(≦密度3×106cm-2 。
-微小MP(<1µm)やエピ閉塞MPも透過検出。
・PLトポフラフ偏光顕微鏡システムの開発
-同一領域でPLトポグラフ像と透過偏光像の連続撮像を可能にすることで正確に各種欠陥の位置関係を計測。
-解像度: 1.3µm/pixel。
知財出願や広報活動等の状況
・主要業界イベント(ICSCRM:SiC国際会議)での論文発表や、APL(Applied Physics Letters)などへの論文投稿を通じて、技術の優位性を広くアピールし市場認知度の向上を図る。
・日本および海外のSiCやGaNを使用するウエハメーカーやデバイスメーカーを主要なターゲット顧客として特定し、これらの企業への直接営業活動を計画。
・特許出願 『結晶欠陥観察装置』特願2024-074894 、『結晶欠陥評価装置』特願2023-24678 /特開2024-118320
研究開発成果の利用シーン
開発した検査装置を用いてSiC、GaN等ワイドバンドギャップ半導体結晶開発におけるウエハ全面の結晶品質の非破壊・高速評価をすることができる。SiC、GaN等のウエハの開発・製造及びそのデバイス開発・製造において、開発した検査装置を用いるとウエハ全面の欠陥分布・種類の製造前全数非破壊検査が可能となる。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
事業化の初期段階では、研究開発成果をもとに新規測定と統合を行い、製品化に向けた仕様調整や顧客要望を反映させる。約24ヶ月間で顧客試料の測定、試作機の改善、ソフトウェアの改良を実施。その後、18ヶ月かけて試作品の改良と製品試作を行い、最適な性能を持つ製品を確定する。さらに製造体制を構築し、品質安定化を図る。最終的には18ヶ月間で商談を進め、市場展開を加速させる。全体で約2年間の計画的進捗とリスク管理を行い、事業化を目指す。
提携可能な製品・サービス内容
製品製造、試験・分析・評価
製品・サービスのPRポイント
・高分解能検査性能
-微小な欠陥(転位密度3x106cm-2)を識別可能な高分解能位相差顕微鏡システム。
-Φ6”ウエハを最短25分、Φ8”ウエハを43分で全面検査できる高速検査能力。
・非破壊検査の信頼性
-PLトポグラフ法と偏光顕微鏡法を複合化し、精度の高い欠陥情報を取得。
-積層欠陥分布や転位による歪分布を正確に重ね合わせて観察可能。
・業界標準機を目指す
-転位種の詳細分類が可能で、微小欠陥の検出において業界標準となる機器開発。
・次世代半導体材料対応
-SiCやGaNなど、次世代パワーデバイスの基材に適した欠陥検査技術。
-基板とエピ層で異なる観察条件を最適化し、高精度な欠陥検出を実現。
・拡張性の高い非破壊検査装置
-IR(>750nm)観察に対応し、基底面転位の検査も可能。
-様々な半導体材料に対応する非破壊検査装置としてのシリーズ化を計画。
今後の実用化・事業化の見通し
・初期段階(約2年間)
-追加研究と仕様調整を行い、試作機の改善を実施。
・製品試作(約1年半)
-試作機をベースに製品を改良し、最適な性能を追求。
・製造体制構築(約1年半)
-複数台の製造プロセスを確立し、品質を安定化。
・事業化フェーズ(約1年半)
-顧客との提携や市場展開戦略を進める。
・全体計画
-全工程を並行して進め、約2年間で安定的な事業化を目指す。
実用化・事業化にあたっての課題
・位相差顕微鏡をSiCウエハの転位検査法として基板の検査は対物4x、エピ層の検査は対物10xで高速検査を業界標準検査法として普及させること。
・PLトポグラフ偏光顕微鏡では、IR(>750nm)の検出感度の更なる改善を行い基底面転位(BPD)の検査を確立することにより、エピ中の積層欠陥やキャロットなどの面欠陥と基板中の欠陥との位置関係を正確に確認することによってその原因となる欠陥を同定し、検査法として確立すること。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | セラミックフォーラム株式会社 神戸研究室 |
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事業管理機関 | 一般財団法人ファインセラミックスセンター |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | セラミックフォーラム株式会社(法人番号:5010601040133) |
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事業内容 | 半導体ウエハ、半導体用関連機器、及びガラス製造関連機器の仕入れ販売、半導体検査装置の製造販売 |
社員数 | 17 名 |
生産拠点 | 神戸研究室 |
本社所在地 | 〒101-0054 東京都千代田区神田錦町3-19-6 楠本第3ビル9階 |
ホームページ | http://www.ceramicforum.co.jp |
連絡先窓口 | 本社 営業部門 |
メールアドレス | semi@ceramicforum.co.jp |
電話番号 | 03-5577-2947 |
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