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測定計測

放射線による外部・内部被ばく量を見える化して緊急時放射線業務従事者の健康を守る

東京都

株式会社アドフューテック

2025年1月21日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 ポータブル環境放射線測定機器による放射線量率及び放射能濃度のリアルタイム可視化システム
基盤技術分野 測定計測
対象となる産業分野 医療・健康・介護、産業機械、情報通信
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(小型化・軽量化)、高性能化(精度向上)、低コスト化
キーワード 放射線計測、スペクトル測定、大気ダスト、空間放射線量、スマートグラス
事業化状況 研究実施中
事業実施年度 令和2年度~令和4年度

プロジェクトの詳細

事業概要

本機器の開発にあたり、①可搬性のある測定機器、②α線、γ線の線量評価を同時に出来る機器、③線量評価による危険区域の可視化 の3点に着目し開発を行った。
既存の可搬性のある放射線測定機器は主としてγ線による外部被ばくを評価するものに限られており、α線やβ線による内部被ばく線量を測定する機械の重さが100キロほどで持ち運びができないため、同時に評価することが不可能であった。そこで、弘前大学の特許技術である較正方法を活用し、外部と内部被ばくの両方を評価可能な機器開発を行い、重さを1.3キロまで小型軽量化し、運搬可能なサイズにするとともにスマートグラス等を用いた放射線量の高い区域を可視化出来るようにした。
これらにより小型で安価、信頼性、安定性の高いポータブル測定機器かつ放射線を可視化するシステムの開発を行った。

開発した技術のポイント

●ポータブル測定機器の小型・軽量化
初期試作よりもサイズを削減し、最終的に1.3kgの軽量な装置にまとめ、専用小型バッテリー装着により8時間の連続測定が可能な運搬しやすい設計を実現した。有事には作業着への装着もしくは鞄等で運搬出来る事により、両手を線量測定に使用せず作業が可能となる。
●リアルタイム可視化システム
放射線量率と放射能濃度のリアルタイム表示が可能であり、測定値が閾値を超えた場合に、視覚(スマートグラス)と聴覚(骨伝導ヘッドセット)の両方において警告することにより、救助活動中の安全を確保するための支援技術を開発。特にこれまで不可能であった、γ線の外部被ばく線量評価とα線の内部被ばく線量を同時に測定出来ることで、作業時における危険区域の侵入認識が可能となる。また、防災ネットワークと連動することで新たな災害情報の入手も可能である。
●データ転送機能の実装
測定データを中央管理センターと即時に連携できる機能を搭載し、緊急対応時に有効なデータ通信を実現した。これらは作業者の被ばく線量の情報把握が可能となり、更に後続の作業者に対する危険区域の情報展開に応用が可能である。

ポータブル環境放射線測定機器及びリアルタイム可視化システム
具体的な成果

本研究により、ポータブル放射線測定機器のサイズと重量を削減し、現場での使用に適した機器を実現した。また、リアルタイムで放射線の可視化を可能にするシステムを開発し、救助活動時の放射線防護を強化することができた。さらに、Bluetoothなどの無線技術を活用して、測定データの転送を効率化した。この結果、従来の測定機器に比べて、迅速かつ正確な放射線の評価が可能となった。
今後、原子力関連施設、放射線関連研究所のみならず、有事を想定した際に、消防、警察、病院等、様々な機関において当機器を活用出来る。

知財出願や広報活動等の状況

国内外の放射線防護関連の学会にも参加し成果発表、機器展示を行うとともに、国際誌に原著論文として投稿する。測定機器については、国内での実績をもとに国際標準化を目指す。弘前大学被ばく医療総合研究所内に設置した標準化に向けた委員会で得られた成果をまとめ、今後は国際標準化の提案に向けた手続きを進める予定である。また、特許技術である較正機器による性能保証との組み合わせにより、市場独占を目指す。放射線量率・放射能濃度リアルタイム可視化システムについては、ユーザーインターフェースの意匠権やプログラム著作権、ビジネスモデル特許など、従来の特許権に縛られずに知的財産権の取得を目指し、他の測定機器と組合せることによるシステムの外販も検討していく。

研究開発成果の利用シーン

本研究開発によるポータブル環境放射線測定機器とリアルタイム可視化システムは、原子力災害時や事故現場での被ばく管理に活用されることが期待されている。特に、緊急対応を行う消防や警察、さらには原子力関連施設、病院、研究所などで、放射線量率や汚染状況をリアルタイムで把握することが可能となり、現場作業者の安全確保に貢献する。また、原発廃炉作業や病院での放射線作業においても、モニタリング機器としての利用が見込まれる。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

ポータブル放射線測定機器は、日本国内の原子力関連施設や研究機関への初号機納入を目指している。日本原燃などでの実証試験が進行中であり、今後はOEM供給を通じた量産化と、川下製造業者への製品提供を予定している。公共調達案件として、警察庁や消防庁をターゲットにした営業活動も展開しており、フォルテを総代理店とした販売体制を構築している。

提携可能な製品・サービス内容

試験・分析・評価

製品・サービスのPRポイント

本システムの特徴は、小型軽量でありながら、リアルタイムで放射線量率や放射能濃度を可視化できる点にある。測定データはBluetooth経由で中央管理センターと即時に連携できるため、災害時の迅速な対応が可能となる。また、ユーザーインターフェースの直感的なデザインと、複数の測定機器との組み合わせによる高い汎用性を提供しており、様々な現場での利用が期待される。そのため、原子力関連施設、放射線関連研究所のみならず、有事を想定した際に、消防、警察、病院等、様々な機関において当機器を活用出来る。

今後の実用化・事業化の見通し

今後の実用化に向けて、さらなる小型軽量化とバッテリー寿命の延長が検討されている。また、既存の放射線測定機器に代わり、本製品が災害救助活動や原発廃炉作業での標準装備となることが期待されている。国際規格の取得や標準化を進めることで、国内外での市場展開も見込んでいる。特に、欧米市場では、既存製品の代替として普及が進む可能性がある。
可視化部分において、情報伝達、危険区域の表示など、応用開発が可能であり、引き続き研究開発を進めていく。また、視覚のみならず警告音等の聴覚での認識においても開発を進める。

実用化・事業化にあたっての課題

課題としては、製品のさらなる小型化と無線化が挙げられる。また、測定結果のデータ共有や信頼性の向上に関する技術的な改善も必要であり、国際規格の認証取得を通じた信頼性確保が今後の事業化において重要な要素となる。さらに、円安物価上昇により使用部材等の価格が高騰してしまったため、販売価格を下げるために使用部材等について再検討する。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社アドフューテック 放射線事業部
事業管理機関 国立大学法人弘前大学 被ばく医療総合研究所
研究等実施機関 株式会社フォルテ
有限会社パルネット弘前
アドバイザー 富士電機株式会社
日本原燃株式会社
青森県商工労働部
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
国立研究開発法人産業技術総合研究所

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社アドフューテック(法人番号:6010001134781)
事業内容 放射線測定装置および分析機器の製造・販売並びにIT関連サービスの提供
社員数 18 名
本社所在地 〒101-0021 東京都千代田区外神田5-6-3 殿塚ビル2F
連絡先窓口 放射線事業部 福原隆宏
メールアドレス tfukuhara@adfutec.com
電話番号 03ー6803ー0177