立体造形
高齢患者に適した手術治療のために、素材面、加工面、設計面のそれぞれからアプローチして最適化を目指す技術開発
大阪府
株式会社丸ヱム製作所
2022年1月25日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 高齢者患者のためにカスタマイズされた低ヤング率チタン合金製脊柱矯正用プリベントロッドの開発 |
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基盤技術分野 | 立体造形 |
対象となる産業分野 | 医療・健康・介護 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(信頼性・安全性向上) |
キーワード | 新素材、曲げ加工、ソフトウェア、FEM、疲労強度 |
事業化状況 | 実用化間近 |
事業実施年度 | 平成30年度~令和2年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
健康寿命延伸に貢献するため、高齢者の多くに認められる成人脊柱変形を治療するための脊柱矯正用プリベントロッドを開発する。高齢者用にカスタマイズされた製品とするため、素材面では生体適合性の高い低ヤング率チタン合金を適用し、加工面では信頼性の高い手術前曲げ加工(プリベント)を用い、設計面では個別患者の脊柱矯正に最適化された形状に設計する。
開発した技術のポイント
・素材面:TiNbTaZr合金の低ヤング率と高疲労強度の両立に成功
-酸素添加、熱処理、表面硬化処理を組み合わせることで、引張強度1,100MPa以上、ヤング率70GPa以下、既製品(Ti64合金)以上の延性および4点曲げ疲労強度を達成できる技術を開発
・加工面:脊柱ロッドのベンディング技術の開発に成功
-Φ5~7のTi合金あるいはCoCr合金製ロッドを、曲率R40以上の任意弯曲に連続的に曲率を変えながら冷間加工できる技術を開発
・設計面:プリベントロッド形状の設計技術の開発に成功
-キャリブレーションマーカを使用した回転撮影台を開発
-カメラキャリブレーションを使用せずに脊柱3次元カーブを取得する方法を新たに確立
-脊柱矯正シミュレーションのアルゴリズムを確立
具体的な成果
・高齢患者に適した低ヤング率脊柱矯正ロッドの開発に成功
-低ヤング率ロッドを用いることで、proximal junctional kyphosis(PJK)を抑制でき得ることをFEMで証明 [合併症のリスク低減]
-低ヤング率ロッドを用いることで、術後日常動作時にロッドに加わる応力を低減できることをFEMで証明 [ロッド折損リスク低減]
・脊柱矯正ロッドプリベンディング装置の開発に成功
-プリベンディング装置を用いることで、ノッチを発生させずに成人脊柱変形患者の脊柱カーブ範囲の任意加工(スプリングバック補正機能付)が可能 [ロッド折損リスク低減]
・プリベントロッド形状の設計ソフトウェアの開発に成功
-プリベントロッド設計ソフトウェアをロッドのプリベンディング装置に組み込むことで、患者の術前X線画像の入力→プリベントロッド設計→ロッドのプリベンディング加工をシームレスに実施することが可能 [術者の負担低減、ロッド折損リスク低減]
知財出願や広報活動等の状況
・特許出願
-特開 2020-139179
・論文掲載
-Shin Oe, Kengo Narita, Kazuhiro Hasegawa, Raghu N Natarajan Yu Yamato, et al., Global Spine Journal, (2021)
・学会発表
-井出浩一郎、成田健吾、大和雄ら、日本整形外科学会基礎学術集会(2021)
-成田健吾、日本塑性加工学会医療材料加工分科会(2021)
-成田健吾、長谷川和宏、Raghu N Natarajan、田島直訓、日本臨床バイオメカニクス学会(2019)
研究開発成果の利用シーン
開発した低ヤング率脊柱矯正ロッド、プリベンディング装置およびプリベントロッド形状の設計ソフトウェアを組み合わせて用いることにより、術後PJKの抑制、ロッド折損リスク低減、術者の負担低減を可能とする。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
事業化に向けた技術開発は完成しているが、事業化に向けた本格的な取り組みには至っていない。
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、加工・組立・処理、素材・部品製造、製品製造、共同研究・共同開発
製品・サービスのPRポイント
・開発した低ヤング率脊柱矯正ロッドを用いることで、proximal junctional kyphosis(PJK)を抑制できる。 [合併症のリスク低減]
・開発した低ヤング率脊柱矯正ロッドを用いることで、術後日常動作時にロッドに加わる応力を低減できる。 [ロッド折損リスク低減]
・開発した脊柱矯正ロッドのプリベンディング装置を用いることで、ノッチを発生させずに成人脊柱変形患者の脊柱カーブ範囲の任意に加工できる。[ロッド折損リスク低減]
・開発したプリベントロッド設計ソフトウェアをロッドのプリベンディング装置に組み込むことで、患者の術前X線画像の入力→プリベントロッド設計→ロッドのプリベンディング加工をシームレスに実施することができる [術者の負担低減、ロッド折損リスク低減]
今後の実用化・事業化の見通し
事業化に向けては、従来は医師が担っていた領域をロッド供給メーカーが責任を持って行う必要があり、その覚悟を持てるかどうかが重要となる。また、医師が持っている考え方を変容させることが必要であり、まずは技術開発の結果を臨床的に証明し、学会誌へ投稿するなどしていく必要がある。
実用化・事業化にあたっての課題
・低ヤング率ロッドの有効性の臨床的に証明し、インパクトのある学会誌へ複数投稿する
・プリベントロッドの設計ソフトウェアにおいて、手術目標とする脊柱弯曲とプリベントロッド形状と実際には異なるため、脊柱矯正シミュレーションの成果を組み込むことで、脊柱矯正を考慮したプリベントロッドの設計ソフトウェアとして改良、発展させる
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社丸ヱム製作所 |
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事業管理機関 | 株式会社丸ヱム製作所 メディカル部フェロー 成田健吾 国立大学法人新潟大学 理事・副学長・医学部保健学科教授 坂本信、医学部保健学科教授 小林公一 |
研究等実施機関 | 学校法人新潟工科大学 工学部工学科教授 笹川圭右 学校法人近畿大学 理工学部機械工学科教授 仲井正昭 |
アドバイザー | 新潟脊椎外科センター センター長 長谷川和宏 国立大学法人浜松医科大学 特任准教授 大和雄 国立大学法人東北大学 名誉教授 新家光雄、他2名(脊椎製品アドバイザー、FEMアドバイザー) |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社丸ヱム製作所(法人番号:9120001089946) |
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事業内容 | ねじ(ステンレス、タッピング、ボルト)、冷間鍛造精密部品、エンジニアリングプラスケック、金型、歯列矯正ワイヤ製造 |
社員数 | 135 (パート除く) 名 |
本社所在地 | 〒542-0086 大阪府大阪市中央区西心斎橋1-10-28(心斎橋本社) |
ホームページ | http://www.maruemu.co.jp |
連絡先窓口 | メディカル部フェロー 成田健吾 |
メールアドレス | k-narita@maruemu.co.jp |
電話番号 | 072-863-0105 |
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